2007年12月13日

白いクロクマ

つい先日に知ったのですが、カナダのある地方には白いクロクマがいるそうです。

通称でシロクマと呼ばれるホッキョクグマとは完全な別物です。
素人が見ても区別がつくぐらいに見た目から違います。

アメリカグマという種類だそうですが、体毛の色が真っ白なんですね。
ヒグマよりも小さいそうですが、その地方にはヒグマがいないらしく
クロクマがノンビリと暮らしていけるんだとか。

どんな動物にも突然変異で色素がなくなって全身が白くなる
アルピノと呼ばれるケースがありますが、白いクロクマはアルピノではありません。
白い鳩のように、体毛が白いだけのようです。

ちなみにアルピノっていうのは、金色のカエルが見つかったとか
白いヘビが見つかったとかいってニュースになるときのケースですね。
色が抜けたような印象が特徴的です。


で、その白いクロクマ。
ジャングル大帝みたいでなかなかカッコイイんですが、
当然、自然にあっては目立つ存在です。

森にいても川辺で鮭を取っていても、やっぱり目立ちます。

自然界では白い色というのは雪に覆われた地域で多く見られますが、
それは保護色として白い色が身を守るために効果的だからだと考えられます。

カナダのその地域は決して雪深くはなく、雪の時期はクマも冬眠するため
体毛が白いことに保護色としての効果はないようなんです。

となると目立ちますから、当然、敵に狙われやすくなります。
都会にも白い鳩は少ないですね。
狙われやすいんです。

幸い、その地方ではクロクマが一番強い動物のようなので
天敵から身を守る必要はなく、白くても問題はないそうなんですが・・・。
それにしても白いクロクマの割合が高いという特徴があったんだとか。


遺伝的に見ると、クロクマの体毛の色を決めるのは、ある1つの遺伝子です。
黒になる型と白になる型とがあって、黒のほうが優性遺伝子です。

つまり両親から黒型をもらえば、子供の体毛は黒くなり、
両親から白型をもらえば、子供の体毛は白くなります。
そして白型と黒型をそれぞれ受け継ぐと、黒が優性遺伝なので黒くなるんです。

普通に考えれば黒になりやすいわけです。
天敵からの狙われやすさを考慮しなくても黒が多いはずなんです。
なのに、その地域では予想以上に”白いクロクマ”が多い、と。

で、それを研究している動物学者が仮説を検証していました。
それは決して証明ではないんです。

仮説を聞けば「なるほど」と納得できますが、やっぱり仮説なんです。


その仮説はこんな感じ。

 白いクロクマと黒いクロクマでは白いほうが大きい傾向がある。
 そこで体毛から両者の栄養状態を比較した。
 その結果、秋の時期には白いほうが栄養をよく取っている結果が見られた。

 秋のクロクマの栄養と言えば、鮭。
 それを前提に両者の鮭の取り方を調べてみた。
 すると、黒いクロクマは川の中を暴れ回って鮭を取るのに対して
 白いクロクマは川の中で待ち伏せして鮭を取るという違いが見えた。

 実際の鮭漁の成功率も白いクロクマのほうが高い傾向。
 これが栄養状態の違いを生み出すと考えた。

 そして体毛の違いと鮭漁の方法の違いを調査したところ、
 原因は鮭の目の良さにあるものと推測された。
 川の中から見ると、白いほうが川面の光の反射で見にくいようで、
 実際に計測しても、黒いクマの模型に近づく鮭の数は、
 白い模型に近づく鮭の数よりもずっと少ないことが分かった。

 黒いクロクマは鮭が近づいてこないために川の中を追いかけ回す必要があり、
 それが鮭漁の成功率を下げ、その結果が栄養状態の差になると考察。


確かに納得できる説明だと思います。
だから白いクロクマが元気に生き延びているんだなぁと感じました。

この説明はなかなか説得力がありますが、不十分なところだってあるはずです。
例えば、秋の栄養状態の違いから鮭が原因と推測するところ。
本当に鮭だけを調べれば良いでしょうか?


何かを説明するというとき、それには実証するだけのデータが必要です。

日常会話では実際の事例であったり、体験談であったり、
色々と具体的な話を通して説明をしていくことになると思います。

そして、その説明の筋道が通っているように感じると
なぜか、それ以外の可能性に関しては頭に浮かばなくなることも多いようです。

そういった論点のズレや飛躍、不足部分などを責めていくとディベートになるのでしょうが、
まぁ、日常でそこまで細かく話を考える人は滅多にいないですよね。


ただ、人によってその論理展開や実証の内容に疑問を持つ度合いが違うようです。
これが分かりやすく話をする人と分かりにくい人の違いの1つの要素かと思います。

話している本人の中で納得できる展開でも、相手にはそうじゃないわけです。
「え、なんでそうなるの?」と思っても、話している本人は納得しているわけです。

相手の文脈を認めるのも大事だろうと思います。
「なるほど、そういう話もあるかもしれないね」と。

でも、相手のその主張に賛同できるかと言われたら別問題です。
「そう思うんだ」と受け止めることはできても、共感するかどうかは分かりません。
共感するには、その文脈に納得する必要があります。

認めることは意識的にできても、納得できるかどうかは人それぞれでしょう。
だからこそ、話のうまい人は納得させることが上手なんだろうと思います。


ちなみに、僕は心霊写真だとか言われても納得しません。

心霊写真だと主張するからには納得させるだけの根拠を示す責任があります。
それを実証責任と言います。

例えば、幽霊がいると主張する人の中には
「幽霊がいないっていうんなら証明してみせろ」と言う人がいますが
それは論理的に間違っているんです。
先に「幽霊がいる」と主張したほうに実証責任があるからです。

僕が別に幽霊がいるとか、いないとかを信じるという問題ではなく、
心霊写真だと言われたときには、その根拠を示してもらいたいんです。

別に幽霊を信じたくないからじゃありません。
幽霊を信じることと、心霊写真に幽霊が写っていることとは別問題です。

何か不思議な写真が撮れた。
それが面白い。
 そこまではOKです。

それが幽霊だと言われると僕はどうしても納得できません。
他の可能性だってあるでしょう、ということだけなんです。


心霊写真だという人は強力な前提を持っています。
幽霊がいて、それが写真に写る、ということです。

どうして霊能者のなかには、まったく何も写っていない普通の写真をみて
「この写真の場には幽霊がいる」と主張する人がいないんでしょうか?

どうして誰も「幽霊はいるけど写真に写るようなものではないんだ」と
主張しないんでしょうか?


僕は別に幽霊を信じないわけでも、心霊写真は嘘だと言っているわけでもありません。
中には本当に幽霊の写った写真もあるかもしれません。

でも、せっかく本物があっても、不十分な説明ばかりが蔓延していると
本物が台無しになってしまうんじゃないか?
そういうことを言いたいんです。

ある決まった見方、ひとつの可能性への執着。
そういったことが思い込みを作るんじゃないかと思います。

僕が何か特定のことを信じたがらないのは、可能性を探しているからかもしれません。
当然、僕の考え方も1つの可能性に過ぎないんです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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