2008年01月23日

自分が先に

名コーチ、名監督は名プレーヤーとは限らない、
なんていうことが言われますね。

僕はスポーツにそれほど詳しいわけではありませんが
プロ野球を見ていると、プレーヤーとして一流だった人が
監督としてはそうでもなさそうな場面を目にしたことはある気がします。

もちろん、名プレーヤーで名監督という人もいるようです。


一方、プロゴルフではプロのコーチという人達が活躍しています。
彼らは選手として活躍をしていないようですが、コーチとしては一流です。

スポーツ界で名を残す方法の1つとしてプロコーチという存在を
世間一般に知らしめたような印象さえあります。


ゴルフには監督がいませんのでコーチの存在が目立ちますが、
もしかするとプロ野球にも選手としてよりもコーチとして有名な人がいるかもしれませんね。

そういったことを考えると、コーチという役割にある特徴が見えてきます。

それは「コーチは自分ができる必要がない」ということです。

頑張るのは選手本人であって、コーチは援助する立場なのかと思います。
これはビジネス界のコーチングでも共通しそうです。

コーチは客観的に判断しながら、支えになれる存在なんでしょうかね。


コンサルタントでも人によっては答えをクライアントに出させるようですが、
基本的にはコンサルタントは専門分野があって答えを持っていることが多いようです。

ところが、ビジネスのコーチは答えを自分で持っている必要がない。
スポーツのコーチとはここが違いそうですね。

まぁ、いわゆる「コーチング」でも、
絶対にアドバイスをしてはいけないわけではないそうですが。


で、プロ野球の話に戻ると、テレビ番組の解説者という立場もありますね。
これは専門技術を一般向けに解説したりする話術も重要なようですが、
それ以上に自分の技術を言語化する能力も必要なはずです。

自分が身につけてきた技術や知識としてもっている情報を使って
他の選手の技術を解説していくわけです。

解説者の目線から見て、選手の素晴らしいところを見つけていく。
ここは違和感がありません。
 自分もそうやってきた。
 自分にはできなかったことを、この選手はやっている。
そういう解説は受け入れやすいんです。

また技術を専門的に分析・研究している人からのコメントは
多くの一流選手に共通するモデルだったりするので、説得力があります。

でも、解説者のなかには批判的なコメントをする場合もありますね。
 今のは肩の開きが早かった。
 これは体が泳いでしまった。
そういう解説になると、「言ってる自分はどうなんだ?」と言われかねません。


客観的な立場からフィードバックをもらうというのは有意義なことです。
うまく取り入れれば役立てられます。

そこで大事なのは、フィードバックとなるコメントの受け入れやすさでしょう。

何を言うかよりも、どういう風に言うか。
そして、誰が言うか。

「今のは肩の開きが早かったですね」では余計なお世話だったりするわけです。
本人だって分かっているかもしれません。

「この選手はステップするときに踏み込む足の落下と一緒に重心が下がる癖があって
 それと同時に上半身も前に出て来やすい傾向があるようですね。
 踏み込む前から重心を低めにして一定の高さを保ったまま
 ステップを踵側からスリ足のように踏み出していくと、
 体の開きが抑えられて引っ掛けた打球も減ると思うんですが・・・」
とかならマシかもしれません。

そして、同じ「肩の開きが早い」でも、
超一流選手だった人から言われれば違うと思うんです。

野球少年が、チームの監督から「素振りしろ」と言われて納得できなくても
尊敬するイチローから言われたら、毎日素振りをするようになるかもしれません。

伝える人のあり方なんでしょうかね。
同じ内容でも、その人のあり方が反映されるということです。


いわゆるコーチングでは、コーチ本人が知らないことでもコーチングできます。
コーチはコーチングの技術に秀でていれば良いのでしょう。

でも講師は違うかもしれないと思うんです。
自分が伝える内容をどれだけ実行できているか。
これも厳しく評価される部分だと思います。

ただ、その厳しさは技術的な部分に留まらないようにも思うんです。

コーチだから知らなくていい、というよりも
このコーチだったら知らなくてもいいと感じさせる何かがあるんじゃないか、と。


ユングは言っているそうです。

「たしかに医者は、病室を連想させるような不健康なものを心に抱いていることが多い。
 だが医者はこれらの内部葛藤に打ち克たねばならない。
 自分で克服しないで、どうして患者に克服せよと言えるだろうか。
 自分がまだ暗闇の中にいて、どうやって仲間を啓蒙できるだろうか。
 己が汚れていて、どうして他人を清められるか・・・。
 医者は他人の傷の手当てをすることによって
 自分自身の傷から逃れることは、もはやできない。
 膿の出る傷を持つ物は外科手術を行えないことを肝に銘ずるべきだ。」


他人に何かをする前に、自分に対してすることが沢山あると感じます。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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