2008年06月26日

使役動詞

使役動詞。
 「〜させる」


喜ばせる、
楽しませる、
笑わせる、
感動させる、
元気にさせる、
気づかせる、
決定させる、
変化させる、
成長させる、…。

どれも相手を変えようとしている。
操作しようとしている。

「…を幸せにする」も「…を幸せな気分にさせる」という意味では同じです。


ここには「相手はそのままではダメだ」という前提があるように感じます。
相手がその状態であることを自分が許せないように感じるんです。

使役動詞を使うとき、根本には「相手を自分の思い通りにしたい」
という気持ちがあるような気がします。
自分の都合を相手に押し付けていないかということです。

自然と使役動詞が口をつくこともあるでしょう。
別にそんなつもりで言ったんじゃない、ということもあるでしょう。

でも、言葉は体験と結びついたものです。
無意識のうちに、過去の記憶にある気持ちに適切な言葉を選ぶということもあります。

自分勝手な思いがないか。
使役動詞に気づいたとき、それを振り返ってみるのもいいのではないでしょうか。


少なくとも、僕が尊敬する心の専門家の方々の口から
使役動詞を聞いた記憶は滅多にありません。

指示の内容として「〜させて下さい」と言うことはあっても、
自分が誰かを〜させる、という意味合いでは耳にしないんです。

専門家として相手のニーズを満たすために
「気づかせ」たり、「考えさせ」たり、「答えを出さ」せたりすることはあるようです。
でも、そこにはハッキリとした覚悟を感じるんです。

相手のニーズに応えるため、相手への専門的援助のプロセスとして、
戦略的で作為的な関わりをすることもあります。
ただ、それは責任を伴った行為です。

人と人が関われば、そこにコミュニケーションが生まれ、
その結果としてお互いに何らかの変化が生じるものです。

その変化が大きいか微々たるものかは別にして、変化は必ず起こります。
少なくとも体験の記憶は変わるはずです。
絶対に変化が起こるんです。

そして、その変化が一度起きてしまったら、二度と元には戻れません。

そのことを分かった上での関わりには責任が生まれます。
分かった上で積極的・作為的な関わりをするとしたら、覚悟がなければできません。

自分の関わりによって相手に起こる変化へ責任を取る覚悟です。

もちろん、全ての責任を取るわけではありません。
相手の意思が前提です。
だからこそ、責任の範囲を明確にするために、相手へ確認する必要があるわけです。

「〜させる」と、使役動詞で話すとき、
その内容は相手に確認をとったものでしょうか。
他人の人生を勝手に変えようとしていないでしょうか。


特に「気づかせる」には注意が必要だと思います。

気づくのは時に苦しいものです。
気づきすぎるのも大変なんです。

そして何より、気づいてしまったら、気づく前には戻れないわけです。

自分自身が気づく体験を繰り返してきたら、
自分自身が気づきの苦しみの部分を実感してきていたら、
他人を「気づかせよう」とは考えないものだろうと思うんです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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