2008年07月20日

『パート』という言葉

自分の中には色々な自分がいるものです。

一人でノンビリとテレビを見ている自分、
いつもの職場の自分、
仕事の場面で初対面の人と接している自分、
尊敬する人物と話すことができたときの自分、
家族と一緒に話しているときの自分、
中学時代の友人と話しているときの自分、
車を運転しているときの自分、
通勤ラッシュで揉みくちゃにされている自分、
趣味の世界に没頭している自分…。

どれも自分ですが、それぞれの自分には違いがあることに気づけるはずです。

誰かとの関係であれば、それは役割を演じているとも言えるでしょう。
八方美人という言葉もあるように、
相手によってコロコロ態度を変えることを良しとしない見方もあるようですが、
逆に全ての人に対して完全に同じ接し方をしていては社会性に問題も出てくるはずです。

相手に合わせて振り回されすぎるのも自分にとってストレスとなるでしょうし、
いつでも自分を一定に保っていくのもコミュニケーションという観点では
困る状況が出てくるでしょうから、バランスが大事なことは言うまでもありません。

相手によって態度が変わるというのは相手に合わせることが自然とできる、
つまりペーシングが上手いという見方もできるわけです。

ただ、注意したほうが良いのは、相手との関係が膠着していないかということです。
ある程度、相手との関係が継続していくと、お互いに一定のパターンで
コミュニケーションをとるようになっていく傾向があります。

相手に合わせるところから出来上がってきた関係であったとしても
自分のペースで関わってきた中で出来上がった関係であったとしても
ある程度の時間が経過すると関係性が硬直しやすいわけです。

自分の中にいる沢山の自分の中から、
「その人と一緒にいるときの自分」というのが決まってくるんです。


で、そういう色々な自分には、それぞれ個性があるようです。
自分の中に様々な人格があると思ってもいいかもしれません。

それをサイコシンセシスでは『サブパーソナリティ』と呼びます。
日本語に訳して『副人格』というケースもあるようですが、
多重人格のような印象を感じる言葉のようにも感じます。
違いは、それぞれの人格のときの記憶が残っているか、です。

NLPではサブパーソナリティと同じような考え方として
『パート』というものを扱います。

自分の中の一部分を色々な形でイメージしたりするんです。

そこには身体感覚を視覚的にイメージする形でトランスを深めていく種類の、
フォーカシングと似た手法も混ざっているように考えられます。

エリクソンは、もっと無意識を全体的に信頼しながら関わっていたようですから
身体的に表れる反応を無意識のメッセージとして
コミュニケーションをとっていたのではないかと思います。

自分の中には色々な自分がいる。
その自分は時に、自分自身が望んでいないような行動をしてしまう。
自分の中の一部の人格が勝手に困ったことをしてしまう、という感じです。

もちろん大半の人はその時の記憶があるので、後で思い返して後悔するわけですね。
困ったことの多くは、「つい、やってしまった…」という後悔を伴います。

つまり、自分の中の「ある自分」がやってしまう行動。
それは無意識の行動とも言えるわけです。

だからこそ、その「ある自分」という無意識の部分に対して
コミュニケーションをしていく手法が生まれるのでしょう。

NLPでは、その「ある自分」のことを『パート』と呼ぶことにしましょう、と。

そのこと自体は非常に重要な内容だと思います。


パートという考え方の起源がどこにあるのかは知りませんが、
家族療法家のヴァージニア・サティアはセラピー中の語りかけとして
「それは、あなたの中の〜というパートがしてくれてるのね」
というような表現をしていたそうです。

これは日本語に訳すときの問題も含むように思います。

サティアの文脈を推測すると、それは素直に「部分」と訳して良いんじゃないでしょうか?
「その行動をするのは、あなたの一部分なのね」というニュアンス。

サティアの言っていた『パート(part)』という表現は
「それは、あなたという人間全体が生み出している問題ではなくて
 あなたのホンの一部分だけが生み出している問題なのね」
と、部分化しながら受け止めていた、
彼女の優しさの表れだったんじゃないかと思うんです。

一人の人には色々な部分がある。
自分勝手に振る舞うときもあれば、他人に優しく接するときもある。
でも、それだって全て、その人の一部分なんです。

色々な部分を持っているけど、その人という存在は素晴らしい。
色々なところがあって、その人なんだ。
そんな前提のもと、その人全部を受け入れるような姿勢が
『パート』という言葉の裏側にあるような気がします。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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