2008年08月11日

これでいいのだ

赤塚不二夫氏が亡くなり、その葬儀の模様が至る所で放送されました。
中でも、タモリこと森田一義氏の弔辞は人々の心を打つものでした。

ニュースでも取り上げられたように、森田氏の弔辞は
手に持った白紙を読んでいたように見受けられました。

確かに映像を見ても手に持ったものは白紙に見えます。
だとすると更に感動的なものに思えてきます。


僕はどういうわけか、誰かが読み上げた文章というのは
ほとんどの場合、耳を素通りしていく感じを受けるんです。
内容が全くと言っていいほど残りません。

これは小さい頃からずっとそうでした。

小学校の頃の国語の授業など、教科書を音読する時間があったように思いますが
僕はあの時間には無関心でした。
ボーッと時間が過ぎていくだけ。

今でもセミナーなどでテキストを読まれると全く内容が理解できません。
プレゼンでもスライドに書かれた内容を読まれると不愉快になります。
文字を読み上げる速さよりも、目で読む速さのほうが遥かに速いわけです。

自分で音読しても理解できません。
読んでいるときは「ただ発音しているだけ」という印象で
内容は全く頭に入っていかないんです。
テープレコーダーになった気分です。

僕にとって話すというのは完全にアウトプットの作業なのかもしれません。
読みながら声に出すと、目から入ったものが頭を通らずに口から出ていくような
奇妙な感覚を味わうわけです。

逆にインプットは文字を読むことに専念したほうが効率的なようです。
どうやら、読みながら自分の中にある他の情報との結びつけをしている気がします。
音読すると声に出す作業が、その結びつけを邪魔するような感じです。

音読された内容が入ってこないのは不思議ですね。
アナウンサーだと大丈夫なこともあるんですが、人による気がします。

読み手の状態が重要なのかもしれません。
内面が文字と一致していると内容が入ってくるように思えます。
その人の中から出てくる言葉だと内容が入ってくる、ということでしょうか。

セミナーの講師によってはテキストを音読させたりする人もいますが、
そんな僕にとって、テキストの読み合わせという行為は相当な迷惑なんです。

他の人が読み上げるのを聴いている時間は無駄に感じられてしまう。
自分の番になれば読んだ部分は理解できない。
読み上げを無視しながら自分で黙読して理解を進めているときに
自分に当てられたりしたら、どの部分なのかも分からなくなってしまいます。

チョット困りものです。


話が逸れましたが、僕には読み上げたものが伝わってこない癖があるようなので、
結婚式の新婦からの手紙なども、感動できないときがあるわけです。
気持ちの乗り方が重要なんです。

そういう意味で、森田一義氏の弔辞は気持ちが込もっていました。
白紙だっただろうと思います。

仮に白紙ではなかったとしても、そこには文字内容と一致した気持ちがあったはずです。

弔辞の中に
「あなたは今この会場のどこか片隅で、ちょっと高い所から、あぐらをかいて、
 ひじを付き、ニコニコと眺めていることでしょう。
 そして私に『おまえもお笑いやってるなら弔辞で笑わしてみろ』と
 言ってるに違いありません。」
という部分がありました。

白紙の弔辞を読み上げるという行為が、その応えなのかもしれませんね。
素晴らしい関係性を感じます。


僕は学生の頃、赤塚不二夫氏のトークショーを見に行ったことがあります。
上野の美術館で「赤塚不二夫展」をやっていたとき、
記念のトークショーが開催されたんです。

僕はかなり早い時間から友人と並んで、トークショーを見に行きました。
最前列で赤塚先生を見ました。
赤い顔をしていました。

そのトークショーには対談のゲストとして、
タモリこと森田一義氏と所ジョージ氏が来ていました。

本当に面白かったです。
3人の掛け合いは見事でした。

武勇伝のような昔話は、とてもテレビで放送できるものではなく、
ブログに書くのも抵抗があるような内容でもありました。

そうしたハチャメチャな行動も赤塚先生の魅力でしょうが、
また見事だったのがゲスト2人の話の拾い方でした。
呼吸が合っているというのは、こういう会話のことを言うんだろうと思いました。

3人が揃って顔を合わせたのも久しぶりだと言っていましたが、
そのような雰囲気は全く感じなかったのを覚えています。

バカボンのパパを地でいくような赤塚先生の自由な言動を、
2人が時にはバカボンのように、時にはママのように、時にはハジメちゃんのように、
見事なコミュニケーションでフォローしていました。

ある意味で完成された人間関係だったのかもしれません。
一見すると破天荒な場でしたが、誰もがそれを受け入れているようでした。
赤塚先生だけでなく、会場の全員が「これでいいのだ」と思えているようでした。

その光景を思い出すほどに、森田氏の弔辞は感動的です。
深い愛に満ちたものだと強く感じられます。
素直にカッコイイと思えます。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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