2008年08月27日

整理するタイミング

相談を受けながらメモをとるケースというのがあります。

警察の調書、病院のカルテ、その他にも必要な情報を取るために
紙面を見ながら話を聞くケースというのは世の中に多く見受けられます。

僕は余程のことがない限りメモは取りませんが、
メモを取る人の中にはメモ書きの形式で理解を深める人もいます。

一般的に、人が自分の内面的なことを話し始めるとき、
その内容はあまり整理されていないので情報の関連性に脈絡がハッキリしずらいものです。

話の脈絡がハッキリしていて、滔々と話す内容が論理的になっていれば
それは話し手の中で情報が相当に整理されている状態です。
整理しきれていないから困っているというのが大半なわけですから
整理された情報を期待するのは無理というものでしょう。

だから話の順番通りに記録するのではなく、
情報の関連性を図に示しながらメモをとる。
そうすることで理解を深めようという人もいるようです。

それは非常に効果的なやり方でしょう。
状況を整理するための1つの方法と言えます。

誰もが無意識的には情報の関連性を掴みながら整理するわけですが
その頭の中の整理の方法が映像的に見える人がいるんです。
そうした人は、その整理の仕方を書いてしまったほうが上手くいくということです。


しかしながら、メモをとるというのはリスクが大きいものです。
相手からすると、メモを取っている瞬間、視線が外されますし、
何をメモしているのか不安になることもあるでしょう。

しっかり聞いてくれているという風にとる人もいますが、
嫌な気持ちになる人もいるはずです。

そのリスクを避けるために、効果的な方法があります。

それは相手にも見せるということです。
2人で共同作業として整理するように、話し手と聞き手の双方が
1つの紙面やメモ書きを見ながら進めていけば安全です。

2人の意識が共通したところへ向きますから、一体感も得られるでしょう。
話し手も、書かれたものを目にすることで新たな気づきが得られることもあります。

とはいえ、メモを取っている間に相手の反応を見られなくなる、
という非常に重要な要素が抜け落ちるデメリットは避けられません。
言葉以外のメッセージを大切にするのであれば、
紙よりも相手を見たほうが良いと思うわけです。

困っていることは紙の上ではなく、相手の中にあるわけですから。


ところで、問題や課題について自分なりに整理をしてから相談する人もいます。
その場合には、十分に状況が明確になった上で自分で対処できないことを相談する、
という行動を取っていることになります。

そのように整理された相談内容に対しては、関係性を明確にした上で対処が変わります。

問題を十分に整理できるだけの力があって、自分の力を問題解決のために使える人と
相互に信頼関係が成立していて、その人が自分の選択に対して責任をとれる、
そういう前提では、本人が整理した内容に対して
取り組むべき内容を決めていくことになります。

もしかすると本人の整理の仕方に偏りがあって、本当の問題解決のためには
その取り組み内容では適切でない可能性も残ります。
しかし、本人が自分で整理した内容に取り組む選択をしたことに責任が取れるのであれば、
結果として納得のいくものが得られなかったとしても
自分の整理の仕方に新たな課題を見つけることで納得できるはずです。

ただし、自分で問題を整理してから話す場合、必ずそこに思い込みや判断が含まれます。
弁護士などが対立する双方の意見を聞いたら、内容に食い違いがあるのはザラでしょう。

必ず思い込みが含まれるということは、自分なりに整理してから問題を話す時に
決して解決できない形で整理されることもあるわけです。
それは逆に言えば、本人が解決を心から望んでいない可能性を示していると考えられます。

「どうだ?私の悩みは、こんなにも大変なんだ。お前に解決できるか?」
極端な言い方をすれば、そういう意図もあるかもしれません。

何を尋ねても、上手くいかないことを証明するような言葉が返ってくるでしょう。
必死で勉強した質問法を駆使しても、例外を探そうとしても、
困ってしまうような答えしか返ってこないわけです。

それもそうでしょう。
その時点では解決を望んでいないのですから。

整理した時に決めつけた考えや思い込みを解くことが必要です。
そのためには、整理される前の情報を聞き出すことが大切だと言えます。

ただ、それよりも優先されるのは信頼関係を築くことだろうと思われます。
本当の意味で解決を望んでいない可能性を含んでいるのであれば、
そこで重要視されるべきは、ねぎらいです。

「お話を伺っていると、もう手も足も出ないような状況に聞こえます。
 それは苦しいですよね。
 そんな苦しい状況でも逃げ出さずに頑張っている、
 そこで大切にしているものは、本当に大切なことなんでしょうね」

例えば、そういった言葉が求められているのかもしれません。


情報を整理すれば、必ずそこに意味が生まれます。
整理する情報は、整理する時点からすると過去の出来事と未来への推測です。
未来への推測には、推測に至る根拠があって、その根拠すらも思い込みです。

具体的な情報そのものは膨大にあるわけです。
それは時間的な順序こそあれ、相互の関連性は不明瞭なものです。

「〜があったから…になった」
そういう因果関係は、個人の判断結果以外の何物でもありません。
もしかすると他にも要因があったかもしれないのに、そう判断してしまうわけです。

その意味では、あらゆる因果関係は仮説に過ぎないんです。
その仮説も他の情報が加わることで大いに変わってくるはずです。

だからこそメモを取りながら話を聞くのは危険だという部分もあるんです。

メモを取るという行為は、相手の話や状況を整理することです。
逐語録を取るのとは違います。
自分が重要だと思ったことを記録するわけですから、
メモをとった時点で情報は既に整理され始めているわけです。

そして、相手の話をメモに取ったら相手が話している順序に沿って
整理の仕方が決まってきます。
前に聞いた情報に上乗せされて行きながら整理するわけですから。

整理されていない話の順序に沿って記録をとるよりは
整理しながら話を聞くことには意味があります。

しかし、そうした情報の整理は話し手本人がすべきことです。

とはいえ、整理しきれていないから困っている場合もあるわけなので
話を聞きながら2人で整理していく姿勢が重要だと考えられます。

聞き手が常に整理しながら話を進めてしまうと、
話し手はその整理された流れに引き込まれる可能性があるわけです。

話した内容を絶えずメモに取りながら話を聞いていくことを想定すると、
場合によっては同じ話を違う順序で話してもらった時、
展開が大きく変わってしまう可能性すら考えられるんです。

相手の話を整理するのは、ある程度の情報が集まってからのほうが無難です。
聞き手は判断をいれずに情報を集め、その情報を並列的に取り入れ、
全ての情報を使って理解する。
そんなプロセスができれば理想的なのかもしれません。

なかなか出来ることではありませんが。

その意味で現実的に大切なのは、自分が理解している情報に対しても、
客観的に眺めて自分の判断が入ったものを区別できるようになる視点と、
いつでも情報の関連性を崩せる柔軟なモノの見方なのでしょう。

そういうトレーニングもやってみたいですね。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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