2008年10月16日

学習そのものを学ぶ

先日に開催した10月の勉強会は難しかったというコメントを何人からか頂きました。
そうだっただろうと思います。

僕の中では実体験を伴って納得できている内容ですが、
具体的な体験と結びついた理解の量が得られるまでは
なかなか実感に結びつきにくいところがあるかもしれません。

多くの方に共通していたのは、"頭での理解は"できているという部分に感じます。
具体的な体験を通じて納得できるという要素が少なかったのでしょう。

ですが、それは形式の上で仕方ないところがあって、
具体的な内容と結びつけようとすると、個人の必要とする課題を実施している場面で
体験的学習をする必要が出てきてしまうからです。

テーマが『学習』という抽象的なものになると、
その理解自体に、さらに高い抽象思考が必要になってしまうところも
ある程度は避けられないわけです。

具体的な体験を利用できれば納得感は増すかもしれませんが、
そのためには体験の量も増やしていかないと充実した抽象的理解にも繋がりにくいんです。

それはちょうど、小学校1年生ぐらいだと「ミカン1個」とか「リンゴ2個」とか
具体的なものを数えるようなところから計算を理解し始め、
小学校の頃には計算を全て「1」とか「2」とかの数字でやり、
中学校ぐらいになると「a」とか「b」とか「x」とか
記号だけの式で理解するようになっていく、というプロセスに似ています。

段階を踏むことと、各段階での体験の量が必要なんです。

具体的な体験を積み上げると抽象的理解もしやすくなる。
同時に、抽象的理解だけで物事を関連付けられるようになると
少ない情報量で本質を理解しやすくなるということでもあります。

それは多くの場合、慣れによるところも関係していて、
例えば、数学の得意な人であれば難しそうな記号ばかりの式を見て
実感を伴った理解ができるものでしょうし、
料理の得意な人であればレシピや料理番組の作り方を見ただけで
出来上がりの料理の味が想像できるようになるだろうと思います。

お菓子の類は見た目と説明書きで味を想像しやすいような気がします。
僕はそれで会社にいた頃、お土産選びに定評があったわけです。
それも慣れによる部分もあったのかもしれません。

なので、僕の説明の仕方に慣れていない人、
つまり僕と思考や情報の関連付けの仕方が大きく違う人は
僕が抽象化した説明の仕方では難しく感じるのも仕方ないとも思えるわけです。


そうした中で、何か1つの課題、
例えば「逆上がりができるようになる」ということの学習だけに絞って
実際に公園に行って逆上がりをしながら学ぶことも可能ですが、
先日はそれを選択しなかったんです。

確かに、実際の場面でプロセスを目にすることは意味の大きいことです。
ただ、この前の『学習』というテーマは抽象的なものですから、
抽象的な思考によって理解したほうが汎用性があると考えました。

ある程度、具体的な例を体験しながらも汎用性を出すための取り組みが
テーマごとにグループで話し合い、それを共有するという方法だったわけです。

具体的経験としては皆で童心に還って逆上がりをするほうが良いかもしれませんが、
『学習』そのものは汎用的なものなので抽象的なトレーニングを中心にしたということです。

そこには、抽象的思考の中で具体的体験と結びつけるプロセスが含まれています。
これがメタレベルの学習として効果があると考えました。

抽象的理解のプロセスそのものをトレーニングする意図もあったんです。

説明のモデルや理論など、抽象的な話をしたり聞いたりして理解を深める過程で
具体的体験と結びつける癖がついていると、実感的な理解をしやすくなっていきます。
抽象的理解に身体感覚が伴ってくると言っても良いと思います。

一般的な話として言うと、抽象的で難しい話をしている人の中には
実体験を伴っていない人もいるわけです。
いわゆる「机上の空論」と言われるやつです。

そういう人は説明をしながら実体験に基づく身体的な記憶が呼び起こされないため、
どことなく納得感が小さいんです。
誰かが言っていた話を伝えているとか、本で読んだことそのままとか、
利いている側からすると、薄っぺらいというか、言葉に重みがない印象が出るものです。

自分自身の実体験と抽象的な説明が結びついていると、
言葉の量以上に説得力を感じるようなんです。

そのためには、自分の中にある無意識的な体験記憶を呼び起こし、
抽象思考の説明と関連付けるトレーニングが有効だと考えられます。

特にその際、無意識下にあった体験記憶の詳細な情報を呼び起こすことが
日常生活ではしない頭の使い方となるので効果的なトレーニングになるわけです。

これまで、なんとなく出来ていたことや、なぜか出来なかったことを
一つ一つ意識化しながら振り返っていくプロセスそのものが、
無意識の行動に気づきやすい状態を作り出してくれるはずです。

今まで見過ごしていたものを見られるようになるためには、
自分の記憶の中で見過ごされていたものを見てみるところから始めるのも
1つの方法だと思うんです。


イチロー選手は自分のやっていることを全て説明できると言います。
技術的に自分の理論で説明できるということのようです。
だから自分は天才ではない、と。

メジャーの選手はメチャクチャに見えるのにホームランを打つから、あれは天才だ、
というのがイチロー選手の発想にあると聞きました。

無意識に任せながら、それを自分で意識できている。
まるで、社長が仕事を全て社員に任せながら、組織や人のことを全て知っているような、
そんな状態なのかもしれません。

また、以前に読んだマンガの話も思い出しました。

主人公が仙人から受ける修行として、全ての無意識的なプロセスを
遮断してしまうという荒行をやっていたんです。
なんだか気の脈を切るんだか、そんな話だったと思います。

それによって主人公は、呼吸も心臓を動かすことも、内臓全般を動かすことも、
手足や体全体の筋肉を動かすことも何もできない状態になります。
意識だけがある状態です。

そこから自分の意志で、すべての組織の活動を意識化していくというトレーニング。

それをやった結果、主人公は全ての活動をそれまでとは全然違うレベルで
意識的にコントロールできるようになって凄く強くなる、というような話でした。

そのマンガは大袈裟ですが、無意識にやっていることを意識化もできるようになる
ということには大きな意味があるという話です。


先日の勉強会では、抽象的な内容でしたが非常の重要なことをお伝えしたつもりです。
料理で言えば、かなり秘伝のレシピのつもりだったわけです。

シミュレーションだけで実際に料理をしなかったように感じた方もいるかもしれませんが、
調理実習の時間もあったはずなんです。

取らなかったのは試食の時間です。

作っていくプロセスだけで、食べなくても味が想像できるようになるような
トレーニングが行われていたという感じなんです。

あとは、このレシピで作って食べてみて下さい、というスタイル。

なので、次回は試食を中心にしてみようと考えています。
体験学習を増やそうということですね。

先日の勉強会にご参加下さった方であれば、
次回の内容をどのように「学習」していくのかということも
同時に学びの対象に変えて頂けるのではないかと思います。


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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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