2008年10月30日

推論の立て方

読書が趣味という方でも色々なケースがありますね。
古典的な文学作品が好きな人もいれば、哲学書が好きな人もいる。
ビジネス書を読みあさる人も、推理小説を読む人もいます。
エッセイが好きな人も、詩が好きな人もいるでしょう。

僕も本は買いますが、多くの本は勉強のためのような印象があります。
もちろん、読んでいて楽しいわけですから、娯楽の意味もありますが。

ですから、小説を読むことは多くないんです。
誰かから勧められたとか、流行っているとか、
そういう理由がないと自分から小説を読もうとはしません。

数年前に速読をやっていたときは自然と小説を読む機会も多かったですが、
最近では、めっきり読まなくなってしまいました。

それでも読んでいて面白いと思う種類もあります。
知的な活動が繰り広げられる内容のものです。
それは小説だけでなく、マンガにも共通するところですね。

要するに「謎解き」の類が好きだということです。

推理小説が好きな人の中には、自分でも犯人を予想しながら読む人がいるようですが、
僕はあまりそういうことはしません。

たぶん、一生懸命読んで、作者特有のカギになる情報の漏らし方を掴めば
ある程度の推理はできるようになるんでしょうが、
僕にとって文字情報から鍵を探すのは困難なようです。

それはマンガやドラマ、映画などでも同じことで、
最終的な結論をバラす場面で「そりゃ、分かるわけない」と感じてしまいます。

予測をしないで読んでいれば、大どんでん返しを素直に楽しめるわけですから、
自分からストレスをかけるように推理をするのは僕の好みではないんです。

もし、その物語の中の情報を自分の好きなように探しにいくことができれば
自分なりの情報整理をできると思うので、楽しさは出てくると思います。
自分の論理展開とストーリー展開がゴッチャになる感じも嫌なのかもしれません。

まぁ、僕が日常生活からインプットした情報を整理することを続けているから
わざわざ物語の中でまで推理をする気にならない、というところも大きいでしょうけど。
研究職のときも、今の仕事も、関連性を見出すという点では本質的に変わりませんから。


そんな僕にとっては、「そりゃ分からんわ」という感じのオチに繋がる推理モノは
面白いには面白いんですが、ちょっとストレスもかかるわけです。
無意識に考えていて、ガッカリしてしまうのかもしれません。

その点では、「古畑任三郎」のように犯人の姿が分かっていながら
物語が展開していくパターンのほうが楽しいようです。
どうやって犯人に辿り着くか、というプロセスのみを楽しめます。

同様に面白いのが、シャーロック・ホームズなんです。

シャーロック・ホームズも事件の真相が明確になるのは最終場面が多いですから
推理小説的な犯人探しをしながら読むと僕にはストレスになる部分があります。

僕が好きなのは、観察した情報をホームズが結びつけるシーン。

依頼人や登場人物を初対面で見抜くシーンが好きなんです。

もちろん、そこにも当時の情勢を知らなければ理解しようのないものも多々ありますが、
それにも増して、圧倒的な観察力を元に論理的な推理を展開するところが面白いわけです。

心地良いんでしょうね。
サイエンスの研究スタイルと似ているんです。

観察によって得られた情報は単なるデータに過ぎません。
そのデータを推理というプロセスで結論に導きます。
そのプロセスに無理がないんです。
論理的飛躍がない。

ここが重要です。

テレビの情報番組の多くで流される情報は、データがあっても論理展開がないんです。
「○○をすると脳のこの部分が活性化された。だから○○は頭を良くする効果がある」。
どうしてそういう結論になるのかが僕には理解できません。
短絡的にも程がある。

○○をしたことと、脳が活性化されたことの関連性も評価されていない。
活性化という言葉も便利ではあるものの、その内訳が分からない。
活性化されたとして、頭がよくなるという結論に導かれる根拠がない。

それっぽいデータを見せて、導きたい結論だけを主張しても
多くの場合では納得させられてしまいます。
その根拠を考える習慣が少ないのかもしれません。

データはデータに過ぎないんです。
それを主張に結びつけるまでの論理展開こそが重要なんです。
それが無ければサイエンスとして認められないものなんです。

そうした考え方に慣れているせいか、論理的飛躍がある時に僕は違和感を覚えます。
それはどんなセミナーや書籍であってもです。
自分が仕事で伝えている内容に対しても。


ホームズは徹底的に論理展開の矛盾を排除します。
観察から得られるデータを並べ、そこから考えられる可能性を全て視野にいれ、
最も辻褄が合う結論を推理の結果として言葉にするようです。

そして小説中でも、観察から結論に至るまでの推理のプロセスを話してくれます。
服装や歩き方、仕草や持ち物…。
そうした細かい情報を組み合わせて人物像を描ききる。

これは心理臨床でクライアントを理解するプロセスそのものです。

相談援助面接で言うならば、臨床像を描くというプロセスに通じ、
サイエンスの研究活動で言うならば、仮説や理論を作り上げるプロセスに通じます。

また、ホームズは、少ないデータだけから推理はしない、とも言います。
少なすぎるデータで作り上げた推理は新たな情報を曇らせるものです。
仮説に当てはめようとしながらデータを解釈してしまいやすいんです。

これも本質的な部分です。
情報を解釈して結論に導く全ての分野に共通する注意点です。

多くの人は自分の仮説に固執しやすいものです。
ホームズはその危険性を知っているからこそ、少ない情報での推理はしないのでしょう。

仮説を立てることはあるかもしれませんが、口には出しません。
可能性の1つとして視野に入れていても、いつでも自分の中で否定できるようにしてある。

仮説をいつでも否定し、新たな仮説に作り変えられる柔軟性も重要な要素なんでしょう。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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