2009年03月15日

イイ部屋の印象

セミナーが行われる会場は、多くの場合が会議室になります。
最近はセミナーも数多く開催されているので、貸会議室も人気があるようです。

そうした会議室にも色々な部屋があります。
同じビルであっても意外と部屋ごとに特徴が違っているものです。

そして、その部屋の特徴は「なんとなく」の印象として受け取られます。

窓が多いと明るい印象があったりしますし、部屋も広く感じられます。
天井が低いと圧迫感がありますし、壁の色でも雰囲気が変わります。

電灯の数や配置によっても居心地が違いますし、
カーペットの汚れなども印象に影響するでしょう。

あまり意識されないかもしれませんが、部屋の匂いや
雑音の聞こえ方、話し声の反響の仕方にも部屋ごとの特徴があるんです。

細かく調べていけば明確になるけれど、あまり意識されない部屋の特徴。
そういったものが「なんとなく」人の心に影響を与えているわけです。


こういうものは自分が住む部屋を探すときには気になるところでしょう。

ただ、多くの人が「どの要素が、どのような印象を与えているのか」までは
ハッキリと意識することができません。
意識しようとしていない、と言ったほうが正確でしょうか。

大抵は、「なんとなく」この部屋が良いとか、違和感があるとか、
理由は分からないけれども何らかの印象を感じているようです。

場合によっては、オーラだとか、何らかのイメージだとか、「気」だとかで
部屋の特徴を感じる人もいるみたいですが、
僕は個人的に、そうした「なんとなく」の印象も
細かい要素として明確にできるはずだと考えています。

これが意識できれば、さほど問題はありません。
悪い印象を与えやすい部屋にいるときに、自分が嫌な感じになっている理由が
その部屋の特徴のせいだと理解することができるからです。

ところが、「なんとなく」のままだと、人は理由の分からない不満を感じ続けます。
生理反応として生まれている気分の悪さを抱え続けるんです。

そして、普段であれば気にならないような細かいことや、
ちょっとした不満の対象を見つけたときに、「なんとなく」の不満まで
一緒に向けられることになってしまいます。

まるで、朝から機嫌の悪かった人が、ちょっとした挨拶の仕方だけに対して
ひどく怒りの反応を示すかのようです。

先に生理状態があるんです。
体の中の反応が気分を作り出す。
そして、その気分に対して都合の良い理由を、
どこか分かりやすい部分に見つけてしまうわけです。

生理状態が普段と変わっていることにさえ気づきにくく、
その生理状態が何に対する反応かも気づきにくい。

こうしたことをリチャード・バンドラーなどは利用しているようです。

わざと気になる部分を作り出しながら話をする。
すると聴衆が「気になる」状態になっていきます。
実際に気になっている対象は、話の内容とは関係のない部分なのに
気になる状態そのものが、話し手に対する関心のように錯覚される。

そんな風にして、聴衆が話に意識を集中するように工夫しているわけです。


状態が「なんとなく」変わっていくというのは、無意識的な部分です。
意識できていれば、状態が変わるキッカケの対象が分かります。

ですが、「なんとなく」感じる印象の場合には、理由が不明確なままです。
意識に上がりずらい背景の部分が「なんとなく」の印象に強い影響を及ぼすんです。

視野の中で焦点が当たっていない背景の景色。
話を聞こうとしているときの背景にある雑音。
すぐに気にならなくなってしまう部屋の匂い。

メインで意識したいことと違う部分の刺激が、五感を通じて受け取られ、
無意識のうちに生理状態に影響するわけです。
サブリミナルというやつですね。

テレビのドキュメント番組のコメントに、大学の先生や専門家が登場すると
VTRに流れる映像の背景に、専門書がズラッと並んだ本棚が置いてあるのも
背景から受ける印象をコントロールしようとしてのものでしょう。

注意が向いていないところが生理状態に与える影響が、
メインの内容に対する印象に混ざりこんでしまうということです。

セミナー会場の天井が低くて圧迫感があるようであれば、
その会場にいる人たちは無意識に窮屈さを感じやすいと言えます。
窮屈さが体に緊張感を生み出せば、ピリピリと張り詰めた状態になりやすいでしょう。

視野の端っこにゴチャゴチャと机や椅子が置かれていれば
無意識のうちに「雑多で整理されていない」印象が生まれるかもしれません。
その影響で、話の内容が分かりにくいと判断されないとも言えません。

「この部屋は明るくて、広々してて良いですね。開放感がありますね。」
なんていうポジティブなコメントを耳にすることはあっても
「壁紙の色が暗いのと、蛍光灯の位置が悪いので、薄暗い印象がありますね。
 ホコリ臭さに加えて、窓も少ないので息苦しさも感じます。」
なんていうネガティブなコメントをしてくれる方は滅多にいません。

会場というものには、多くの方が受容的なスタンスをお持ちのようです。
「ここでやるんだ」というだけで、当たり前のこととして受け入れてしまうんでしょう。
他に選択肢がない立場ですから当然と言えば、当然かもしれません。

ところが、無意識のうちには部屋の印象の悪さが生理状態に悪影響を及ぼしている。
部屋が良くないために気分が良くないというケースがあるんです。

このギャップは重要だと思います。

それは細かいことを気にする性格かどうかとは、あまり関係がありません。
敏感な人が一人でもいると、その人の発している反応が広がります。

不満を感じている人の仕草や表情、声や体温の変化など、
非言語のメッセージとして多くの情報が発せられます。
それが再び別の人に、注意を外れた部分として影響していくわけです。

人が「なんとなく」感じてしまう環境から悪影響。
それを考えておくことは、セミナーを行う側にとって大切なことだと思うんです。

不快感を与えない環境作りも重要な作業だということです。

時おり、僕が会場設営を気にしていると、そのことに対して
性格から生まれる細かいコダワリのように感じる方がいるようですが、
それは僕にとっては違う解釈です。

僕は全てを気にしているわけではありません。
無意識に悪影響を及ぼしてしまいそうな部分に注意しているんです。

無意識の感受性を甘く見ていないだけの話です。



 ちなみに、僕の勉強会はキッチリした「セミナー」という扱いではないですし、
 費用にもその部分は反映していませんので、会場はかなり適当になっています。

 その点はご了承ください。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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