2009年03月17日

積み木崩し

人の内面は様々な要素が積み上げられて出来ているように感じます。

全体としてバランスを取りながら建てられている立体的なもの。
それに上下方向があるイメージ。
下が上を支えているというニュアンスです。

土台になる下のほうは、人間の表面に表れている部分で、
日頃の言動や振る舞い、身体的特徴や外見的特徴も含みます。

一方、上のほうに乗っかっているのは、自分というものに対する捉え方。
「私は〜である」と言った時に出てくる部分でしょうか。

例えば、下のほうにある表面的な振る舞いとして、常日頃から
お金を無駄遣いしてしまったり、ビジネスチャンスを逃してしまったりする人は、
上のほうに「私は金に縁がない」というものが乗っかっているという感じです。

「お金に縁がない」の下には、沢山のパーツが積み重なっていて
様々な形のパーツが隙間を作りながら微妙なバランスで支え合っている。
ジェンガみたいなイメージでしょうか。

パーツの歪みや、パーツ同士の組み合わせが上手くいかなくて出来る隙間は
本人にとって望ましくない部分ということです。

歪みが身体的特徴に出てくれば体の症状になるでしょうし、
行動に出てくれば悪習慣になるというわけです。

「お金に縁がない」の場合には、下のほうに歪んだ部位が沢山あって、
それらが「無駄遣い」とか「ギャンブル」とか「チャンスを逃す」とか、
そうした行動に表れていると考えられます。


このように自分の中に納得できない部分があると、
それを問題と考えたり、目標に置き換えて考えたりして、変化を望むことになります。

一般に、悩みや問題というのは上のほうに乗っかっている部分になりやすく、
目標は下のほうにある(人間の表面に出ている)部分になりやすいでしょう。
「お金に縁がない」が悩みになって、「収入を増やす」が目標になるという具合に。

ここで重要なのが、上のほうのパーツを取り換えようとしても
元のパーツに戻ってしまうことがあるというところです。

上のほうのパーツの形が変わり、重さやバランスが変わると、
それを支えている下のパーツの組み合わせに対して
これまでと違った荷重がかかるわけです。

土台の下のほうが隙間だらけで、絶妙なバランスで形が保たれている上のほうを
今までと違うバランスのものに乗せ替えたら全体が崩れてしまいかねません。

もちろん人間は、積み木やパズルのように柔軟性のないものではありませんから
上のパーツを乗せ替えた瞬間にグシャッと一気に崩れてしまうことはないでしょうが、
歪みが徐々に大きくなっていくとか、上のパーツを元に戻そうとするとか、
そういう形でバランスの取れた状態を作り出していくと思われます。

逆に、下のほうの土台のパーツを入れ替えても
上からの荷重のバランスを取れずに崩れてしまうこともあるでしょう。

むしろ通常は、バランスを崩さないように別のパーツまで入れ替えて
土台の変化で生じたバランスの乱れを調整しようとするものです。
悪習慣をやめたら別の悪習慣が出来てしまった、というような場合です。

だからこそ、人の変化というのは難しいわけです。


強いて言うと、下のほうの土台のパーツをコツコツと
形の整ったものに少しずつ変えていくことで、
土台をシッカリしたものに造り替えていく方向性が確実でしょう。

同じようなことですが、違うイメージで表現すると、
パーツに弾力を持たせていくことで歪みを吸収しやすくして
徐々に土台の隙間を埋めていく、という感じ。

とにかく土台を安定させていくことが必要だということです。

そうして土台の隙間が埋まり、安定感が出てくると、
全ての歪みが無くなってはいない状態でも、
上のほうのパーツを入れ替える余裕が出てくるわけです。

同時に、土台が変わっていくうちに、上のパーツにも影響が出てくる。
柔軟性が生まれてきて、少しずつ形が変わっていく。

上のほうのパーツを変えるには、時期があると思うんです。

この点、エリクソンは絶妙だったように思います。
クライアントの土台の歪みを少しずつ変えていた。
そして、歪みを最も上手く修正できる形で土台の一部を変えていた気がします。

クライアントの些細な行動を変え、その結果として起こる出来事を通じて
全体のバランスを土台から少しずつ調整していった。

自殺願望は上のほうのパーツです。
「生きている意味がない」というようなパーツでしょうか。
それを一気に「私は素晴らしい」というものに置き換えさせるのは無理があります。

クライアントを深いトランスに入れて、
「あなたは素晴らしい、あなたは素晴らしい、…」と暗示を繰り返しても
土台のバランスが悪ければ上手くいきにくいはずです。

それよりも、エリクソンはクライアントの行動を少しずつ変えさせたんです。
服装を変えさせ、髪型を変えさせ、外見から魅力を高めさせた。
それによって変わってくる周囲の反応によって少しずつ土台を変えていったんです。

その結果、「生きている意味がない」という上のほうのパーツが
「生きている価値がある」というようなパーツに変わっていったのでしょう。

土台の小さなパーツを変えることから始める。
それが確実な手段だと思います。

その技術が高まってくると、エリクソンのように
小さくても影響が大きいパーツを狙って扱えるようになるんだと思います。

人の発達段階を無視した大きな変容を期待するのには疑問があります。

「私には自信がない」というパーツを、土台も整えることなく
「私は万能の神だ」というパーツに置き換えたとしたら、
その人は単に妄想的な人になるだけじゃないでしょうか。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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