2009年03月22日

好みの質問

コミュニケーション関連のセミナーをやっていると
質問の仕方の癖から、その人のやってきたことが見え隠れするときがあります。

研修講師、営業、面接官、コーチ…。
職業的な癖もあれば、トレーニングで身につけた方法もあるのでしょう。

最近のテレビなどで良くなされる質問に
「あなたにとって〜とは何ですか?」
というようなものがありますが、これなども日常的な質問ではありません。

相手に深く考えさせたり、相手の心情をシフトさせたり、
思ってもみなかったような部分にフォーカスを当てさせたり、
質問によって今までに気づかなかった部分を気づかせようとするものもあります。

確かに、人は日常生活の中で自分にとって当たり前のことしかしていません。
自分と向き合って、自分の当たり前を吟味する機会は少ないものです。
その意味では、深く考え込むような質問も意味のあるものだと思います。

世間一般で「質問力」を磨くといった時には、
意外とこの「考えさせる」方向性の質問が取り上げられる気がします。

普段では気づけなかったことを気づかせてくれる。
無意識だったところを意識できるようになれる。
それに対して「おかげで深く考えることができました」と感じるケースもあるでしょう。


ただし、気をつけないといけないのは、
そうした質問が相手に対してプレッシャーをかけるものだということです。

全ての質問は、質問内容そのもの以外のメッセージとして、相手に
「答えて下さい」という命令のメッセージも一緒に伝えているんです。
質問は相手に負担をかける行為なんです。

なので、深く考えさせる質問というのは
特に相手を苦しめることになっているわけです。

場合によっては、思いつきで答えを出せることもあるでしょうが、
深く考えた答えが自分にとって納得がいきにくい時には
むしろ答えを出せないままに疑問の印象だけが残り続けてしまいます。
これは不快なものです。

答えてみたけど実はシックリきていないこともあれば
答えられずに「分かりません」と言わなくてはいけないこともあります。
それが嫌な人もいるはずです。

ですから、相手に考えさせる質問をするには、
前提となる状況と、お互いの関係性が求められます。
コンサルティングや面接の場面と、日常会話では状況が違うんです。

また、コンサルと採用などの面接にも違いがあります。

コンサルティングの質問は相手のための質問なんです。
相手の視野を広げ、自分と深く向き合って、必要な情報を探しに行く。
それはクライアントが期待する方向とあっているべきものです。

自分が知りたいことと関連しながら深く考えたり、感じてみたりするから
クライアント自身にとって役に立つわけです。

一方、採用などの面接は相手を知るために質問をします。
考えさせる質問や、深く本人の内面と関わっている内容を聞くことで
相手を理解しようという試みです。

ある意味では非常に失礼な行為だとも思います。
値踏みをしているわけですから。

相手はどの程度のものを持っているかを質問を通じて探ろうとする。
今までに考えたことのないような内容であれば、それによって考え方の癖を見られます。
今までにも考えたことがあれば、どれだけ準備ができているかが分かるのでしょう。

日常では聞かれないような質問を投げかけることで、
相手がどういう人物かを知ろうとするということです。

コンサルティングの質問は相手のための質問ですが、
採用などの面接でなされる質問は自分のための質問と言えます。

質問が、相手のためなのか、自分のためなのかを意識するのは大切なことだと思います。
自分のための質問は、特に自覚をもって慎重に行うほうがいいと思うんです。

相手にとっては答えなくても差し障りがないことを
無理矢理に聞き出しているわけですから。
場合によっては、考えることで悪影響が出る場合だってあるかもしれません。

相手が深く考える質問や、意識の方向性がシフトする質問、
気づきが得られる質問というのは、それまでには相手自身に無かった視点です。
そこに聞き手が質問によって、相手に新たな視点を導入しているんです。

「勝手に相手の中に別の視点を加える作業」だと考えてもいいはずです。
許可をとることが出来ないままに質問するわけです。

「質問してもいいですか?」なんて聞いたところで変わりません。
何を質問するかが分からないで許可をとるほうが相手を束縛しています。

「質問してもいいですか?」「ダメです」という関わりには
既に相手の質問を受け入れてしまっているというダブルバインドがあります。

質問を実際に聞いたときに、それに対しての視点が生まれます。
通常、それを拒否するのは難しいものです。

だからこそ、質問をするときには相手への影響を考える必要があるということです。
その内容が、相手に深く考えさせるようなものなら尚更でしょう。


ちなみに、カウンセリングの勉強をした人は
相手の気持ちを質問する傾向があるような気がします。

「それで、どう思ったんですか?」
「そのとき、どんな気持ちだったんですか?」
「そういうことに対して、何を感じますか?」

NLPでも体感覚の質問によって、相手の状態を理解しようとする質問がありますが、
こうした質問も使いどころが重要だと思います。

僕は基本的に、相手の気持ちを聞く質問はしません。

それが野暮だと思っているからです。

「私は怒っています」と言いながら怒る人は滅多にいないものです。
気持ちや感情は、相手に言語化させることなく感じ取りたい。

「言わなくても気持ちを分かってくれる」というのが
日本人の心の機微というものじゃないでしょうか。

人には言葉にしたくないことだって沢山あるんです。

それを何でもかんでも質問でほじくり返すような方法は
僕の好みには合いません。

あくまで好みの問題ですが。


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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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