2009年03月26日

住めば都

たしかNHKの「英語でしゃべらナイト」だったと思うんですが、
自分のハリウッド進出を夢に掲げて海外生活を始めた人が、インタビューされていました。

― 初めての海外生活、慣れない土地で大変ではなかったですか?
そんな質問だったと思います。

その人はこんなようなことを答えていました。
― 色々な街に行きましたが、どこの街にも良いところがある。
  日本もアメリカも、それぞれの街に良いところと嫌なところがあって、
  嫌なところに目を向ければ、どこも嫌いになってしまう。
  でも、それぞれの街の良いところに目を向けると、
  どの街も違った良いところがあって、どれも好きだった。

いわゆる「住めば都」というのとはチョット違ったニュアンスを感じたので
なんとなく印象に残ったんだと思います。


必ずしも環境に対して嫌なところが見えてこないということはないでしょうし、
好きな環境に順位がつくことが悪いことではないとも思います。

その人にとって重要なことがあって、それと環境がどの程度関連するかの問題です。

例えば、セミナーに積極的に参加して勉強したい人にとっては
東京や大阪などはメリットの多い土地でしょう。
でも、満員電車が嫌だということもあるかもしれません。

それで、その人が満員電車のない場所を選ぶのであれば、
セミナーへの参加よりも、満員電車を避けるほうに優先順位があるということです。

簡単な例で説明してしまいましたが、
言葉になっていても、いなくても、行動を決めるからには
何らかのことを大切にしようという意図があるわけです。

アメリカでも日本でも、どの街に住んでも快適だったと言えるのは、
自分自身の行動が街に作用されないところに高い重要度を置いていたから
という風に考えることもできるでしょう。

もしかすると、それだけハリウッド進出という夢が大切だったのかもしれません。
それに対する重要度が非常に高かったために、細かい環境要因は気にならなかった。
そんな考え方もできると思います。


そして、その人が語っていたように、良いところに目を向けるというのも大切でしょう。
嫌なところはあるものです。
嫌なところは住むところを変えれば別に出てくるものです。
100%満足できることはないはずです。

不満にばかり目を向けていれば、どの環境に身を置いても
決して満足することはないでしょう。

良いところに目を向けるというのも、全てを同じように素晴らしいと
受け止めるということでもないと思います。

良いところにも違いがあって、そこにも自分なりの重要さの順位があるはずです。
自分にとって大切なことが沢山ある環境が、望ましい環境に感じられるわけです。

良いところも、嫌なところも、表現の仕方の問題でしかないはずですが、
不思議と、嫌なところに目を向けると優先順位が分かりにくくなるような気がします。

嫌なものは嫌。
見たくもない。
離しておきたい。
そんな印象が伴うせいでしょうか。

嫌なことだって自分が優先したい何かがあるには変わりません。
「うるさいのが嫌」というのは「静かなところがいい」ということですから。

本当は、良いところに目を向けるのも、嫌なところに目を向けるのも
大した違いではないわけです。

ただ、人はなぜか嫌なことを常に意識するのが難しいようです。
嫌なことは、嫌な体験をしたときにやっと意識できる。
本当は重要なことなのに、常日頃は意識できていないことが多いようです。


そうしたことを踏まえながら、自分が大切にしたいことを思い巡らせてみる。
求めていることも、避けていることも、大切にしたいという点で同じです。

そんな大切なことの順位が自分の中にある。

ここで難しくなるのが、順位が一番のものさえ大切にできれば良い、
というようにシンプルにはことが進まないという部分です。

本当は大切にしたい順位の1位と2位が満たされているのに、
3位が満たされていないから不満に感じる。
そんなことがあるわけです。

1位と2位が満たされていることに無自覚のまま、
3位の部分を満たそうとして別の選択に移る。
そうすると、1位と2位のことが大切にできなくて嫌になってしまう。

場合によっては1位から5位まで満たされているのに、
6位が満たされないことを不満に感じるケースだってあるでしょう。

細かく見ていけば、自分の中には優先順位があるんです。
にも関わらず、人は満たされていることに気づかずに
満たされていないところに目を向けて嫌な気持ちになることが多い。

だから、良いところを見るようにしましょう、と言われるわけです。

「英語でしゃべらナイト」に出演していた人も
それぞれの街に不満が無かったわけではなかったでしょう。
でも良いところを見ていた。

いや、もしかすると色々と場所を変えた中で、
後から振り返ったときに色々な良いところと嫌なところが見えてきたのかもしれません。
そして、どこの街も良かったと思えたのかもしれません。

1位と2位と4位が満たされて、3位と5位が満たされなかった街。
1位と4位と5位が満たされて、2位と3位が満たされなかった街。
1位と3位、4位、5位が満たされて、2位が満たされなかった街。
どれにも全体として優劣はつけがたい。

だから、どの街も良いところがあって好きだった、と言えるようにも思えます。


大切なのは、「自分にとって」ということです。
自分にとっての「好み」の順位なんです。

良いか悪いかではないんです。
好きか嫌いかなんです。

自分が好きなところ、大切にしたいところの何番と何番が満たされているか。
大切にしたい重要度が高いものが多く満たされる対象が
自分にとって望ましいものと言えるでしょう。

そして、その中にも満たされない部分は必ず含まれる。
本当に優先したいところに目を向けることが大事だと思うんです。

自分にとって嫌いなところ、つまり自分が大切にしたいのに大切にできないところも、
別の人からすると大切な要素になってくるかもしれません。

静かなところが好きな人も、賑やかなところが好きな人もいるわけです。

場所に限ったことではないでしょう。
食べ物だろうが、仕事だろうが、同じように重要度によって好みを判断しているはずです。

人もそうです。
人の全ての特徴は、良くも悪くもありません。
誰かにとって「好き」と捉えられるか、「嫌い」と捉えられるか、です。

自分が大切にしたい要素を数多く満たしている人が
自分にとって望ましい人物ということです。

良い人も悪い人もいません。

何より、自分が出会う人の多くは、大切にしたいところが共通しているものです。
大切にしたいことが同じだから、似たような行動をして似たような場所に来るんです。

関わりがある時点で、大切にしたい要素は比較的近いものを持っていると考えられます。
その意味では、どうしようもないほど嫌いな人とは出会わないとも言えます。

自分が大切にしたいことを、同じように数多く大切にしているのに、
自分が大事なことの上位の何かを大切にしていない人には出会います。
そういう人が苦手になるんです。

ほんの少しの要素なんです。
ほんの少しの要素が、自分にとって重要度が高いんです。
だから残念な気持ちになるんです。

全体を見たら、かなり好きな人の部類でしょう。
でも、自分が大切にしたいところを大切にしていない。
そういう部分が数か所ある。

ただ単に、そういう人物なんです。
自分と違う人なんです。

自分にとっては好きじゃない部分が、好きだと感じる人だって他にはいるかもしれません。
全ては、人の個性だということです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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