2009年05月06日

お好きなように

経験によって学習されてきたパターンは、
多くの場合、幼少期の影響を強く受けていると考えられます。

生まれる環境が違えば、育ち方が違う。
その後の人生も当然のように違ってきます。

日本に生まれるのと、アメリカに生まれるのと、アフリカに生まれるのでは
どのような人生になるかは全く別物でしょう。

同じ日本に生まれていても、東京に生まれるのと、大阪に生まれるのと、
北海道に生まれるのと、沖縄に生まれるのとでも、影響は違うはずです。

国の影響は経済的、文化的なものもあれば、言語レベルのものもあります。
地域差もまた文化の違いを生み出すでしょうし、それが人に与える影響もあるでしょう。

同じ国、同じ地域の、となり同士の家に生まれた二人であっても
それぞれの家庭が違うというのも避けられません。

家族の習慣も、周囲の考え方も、置かれている状況は全て異なるわけです。

その意味では、自分がどこに生まれるかというのは非常に大きいと言えます。

精神分析では
「良い母親の元に生まれることは、
 銀のスプーンを持って生まれることよりも、はるかに大切だ」
というような言い方をすることがあるようですが、
これはまさに生まれ育つ環境が人に与える影響の大きさを述べた考えでしょう。

確かにこの側面は大きい。
僕も今の自分があるのは、確実に育ってきた環境に依存していると思います。

そのことについて、もう少し運命論的な考え方をする場合には、
「その家庭を選んで生まれてきている」と見ることもあるようです。

ただ個人的には、自分は今の環境に生きてきたことが当然だと思えるほど
他の何者かに人生を決定されているとは考えてはいません。

だからこそ、今の自分に生まれてきた偶然に感謝するような気持ちがあります。

「運が良かったなぁ…、でも、それが自分だし…」と複雑な想いだったりもします。
自分が自分に生まれてきていて、他の誰かに生まれてきていないことに
偶然というか、運命というか、不思議な感謝の気持ちがあるんです。


人は生まれてきた瞬間から、それぞれ違っている。
その後の人生もまた、当然のように違っている。
生きていく環境が違えば、人生が違うということです。

しかしながら、それが全てとも思いません。
ある程度、自分の意思というものもあるように感じます。

親から受ける影響が非常に大きいという考え方は、
ともすると自分の人生を親のせいにしてしまうことにも繋がりかねません。

親の育て方が与える影響が大きいのは事実でしょうが、
逆に完璧な育て方というのがあり得ないのも事実。

物凄く愛情を注いでもらって、信頼を得て、満たされて育ってきたとします。
素直で他人を信頼できる人に育つかもしれません。
でも、その人はきっと社会に出てから傷つきます。
世の中の厳しさに苦しむかもしれません。

社会に出れば様々な人と関わるものです。
社会には色々な特徴をもった人がいます。
その全ての特徴に対する効果的な関わり方を身につけながら成長することは不可能です。
親も1人の人間である以上、特徴に偏りが出るからです。
偏った親の特徴に対して、偏った対処の仕方しか学べないんです。

極端に過酷な生育過程を持っていると苦しみが蓄積してしまうかもしれませんが、
世間一般で出会う人の多くは、上手く偏った育てられ方をしているように思います。

その偏った特徴のために苦しんだとき、
本人がどうしていくかが重要なのではないでしょうか。
特に年齢を重ねるほど。

偏りがあるのは当然ですから、そのために苦しむときが訪れるのは当然です。
それは誰にもやってくる成長のためのチャンスのような気がします。

誰もが人生で苦しむときがある。
それが大切なことだと納得できてきているからでしょうか、
最近の僕は、悩み、苦しみ、挫折することを推奨さえする部分があります。

それを乗り越えることで、人生がより良いものになっていく。
そんな風に信じているのかもしれません。

その人にとって大事そうな問題ほど、もっと悩んだら良いと勧めたくもなります。

困っているから誰かに助けてもらうのもいいし、
困って考え続けているのもいいでしょう。
困っていることから目を背けるのもいいかもしれません。

一時的な対応をすれば、また同じような問題が起きるでしょう。
その時に、また悩むといいように思います。

困っていることを焦って、今すぐに、全てを解決しようとする必要はないと思うんです。
人生には、ある程度の長さがあります。
どの時期に、どのようになっていたいかを基準に考えてみれば、
ある程度の時間を悩み・苦しみに対して費やしてみるのも悪くない気がします。

悩んでいても、対処を決断しなくてはいけません。
今は待機するという決断も含めて、対処を決めるときがあります。

その決断も、全て良いものだと思うんです。
決断の結果として上手くいけば、喜ばしいでしょう。
決断の結果として逆に苦しくなったら、別の対処を学ぶ必要があるのかもしれません。
今はその問題に向き合わずに待機して、数年後に再び悩むのも良いわけです。

問題に気づかない、悩みを持たない人は、それも幸せでしょうし、
大きな課題にぶつかり悩むときがやってきたら、それは「おめでとう」でしょう。

いつか悩むときがあり、それは長い人生の中で大切なことだ。
今の課題を乗り越えたら、また次の課題がやってくる。
いつ乗り越えるんでも構わないと思います。

迷っていることがあるんなら
 好きにすればいいんです。

迷い続けるのも、迷うのをやめて待機するのも、行動に移す決断をするのも、
どれを選んでも必ず、一生の中で大切なことに結びつくはずです。
後悔だって大切なことなんです。

その意味では「他人を何とかしてあげたい」とか
「誰かの役に立ちたい」とかいう思いは、
ときに相手のためにならないこともあるんじゃないでしょうか。

くれぐれも相手の大切な課題を、他人であるはずの自分が勝手に解決してしまうのは
随分と筋違いのことをしているような気もします。

…まぁ、そういう筋違いな行動をすれば、いずれそのことを後悔して
 大事なことに気づく時がやってくるとも思いますが。

今の自分が思うことを、好きなようにやってみれば
それがいつでも最善の方向へ導いてくれる。

仮に、苦しくて、激しく後悔するようなことになっても
人生という範囲で眺めてみたら、きっとそれは大切な時期だと思います。

本人の人生です。
好きにやればいい。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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