2009年08月04日

フレーム

世の中には「フレームワーク」と呼ばれる類の考え方があります。
物事を分かりやすく整理するために、特定の枠組みに当てはめて考える。

それは便利だ思いますし、僕自身、それによって色々なことを理解するのが
かなり楽になった印象もあります。

コンサルティングでは特に良く使われ、体験型のセミナーでも
記入形式の実習として利用されることがあります。
その枠組みに当てはめるように、自分の中の情報を整理していくと
自然に理解が深まったり、新たな気づきが得られたりするわけです。

自分の中の情報を再構成していると言えます。
概念同士の関連性を整理していると言ってもいいでしょう。


そうしたフレームワークは心理の分野でも結構見受けられますが、
実際に目に見ることのできない心の中の働きを整理しようとしたら
分かりやすいモデルに当てはめるというのは仕方のないことかもしれません。

その意味では、フレームワークというのは言葉の説明だけで納得できないことも、
自分自身の頭の中で情報の分類をすることによって
実感を伴いながら整理できるので有効な手法だと思います。

そして、フレームワークを考えた人は、多くの場合、自分の頭の中でやっている作業、
もしくは他の活躍している人の発想の仕方を元にして
情報をカテゴリーに分けて、それぞれの関係性を表現しようとしていると考えられます。

なので、一般的には一人の人物が考えた複数のフレームワークというのは
ある程度の形や、フレームの取り出し方にまでパターンが読み取れ、
全体としての統一感が感じられるんです。

言ってみれば「○○さんのフレームワークを生み出すときのフレームワーク」
というような発想の癖みたいなものが見え隠れするわけです。

ユングであればユングなりの、アサジョーリであればアサジョーリなりの
心や無意識に対する理解の仕方が、統一感のある説明でなされている印象があるんです。

ミルトン・エリクソンを研究した人たちは、まさに自分の理解したことを
自分なりのフレームで整理して、独自の理論を発展させています。
エリクソンという現実を、弟子たちが自分のフレームで整理しているということです。

その点、エリクソン最後の弟子と呼ばれるオハンロンは、
非常に明快なフレームを生み出していて、高度で難解なエリクソンの技法を
分かりやすく整理してくれている印象があります。
(オハンロンに関しては、僕と発想の仕方が似ているから
 僕にとって理解しやすく感じられているのかもしれません)

さらにオハンロンは、エリクソンの技法を整理して自分のものにしているだけでなく、
自信の臨床経験から得てきたものを体系化して、これもまた
フレームワークで整理をしていたりするんです。

それはもうエリクソンの手法とは全くの別物ですが、
エリクソンに対して分析をするときと同じようなスタンスから
全てのフレームワークが明快に整理されている印象を強く受けます。

本人の中で全てが明快にまとまっていて、それを意識的に整理しやすいように
フレームワークという形で、複数の角度から切り出しているように見えるんです。

オハンロンの本を読み進めていく分に、フレームワーク同士が干渉したり
邪魔をし合ったりする感じは一切受けません。
「前に読んだ本との関係はどうなんだ?」という不明瞭な印象がないわけです。

一人の人物が、その人なりの方法で体験し、理解してきた内容を
分かりやすく整理するために図表を利用したフレームワークを作った場合、
それぞれに矛盾は出てこないはずなんです。

本人が納得して、分かっていることを、より分かりやすく整理するわけですから
フレームワークを通して混乱するなどということは基本的にあり得ません。

この点は、横浜国立大の堀之内先生も同様に思えます。
様々なフレームワークで、心理やコミュニケーションという複雑なプロセスを
分かりやすく整理して教えてくれます。

そこには原則のようなものまで見えてきますから、矛盾が感じられないのも当然でしょう。
堀之内先生だけから学んでいれば、その理論だけでスッキリと多くのことが理解でき、
他の人の話を取り入れないほうが現実的に役立つケースが多いようです。

シンプルなことを実践していると実生活で効果が実感でき、
それを別の複雑な情報と組み合わせたら効果が落ちる場合さえある以上、
いかに的確に整理されたフレームワークになっているかという話だと思います。


ところが、複数の領域や、複数の人の理論を集めてきて
それを1つの体系にまとめようとした場合には、
元になっているフレームワーク同士が邪魔をし合って、
理解のプロセスを混乱させたり、矛盾を感じさせたりすることがあるんです。

残念ながら、NLPの中にはその部分があると僕は考えます。

様々な用語、多くの概念、それを整理している図表が
作られた時期や引用元、まとめた人物によってバラバラな印象があります。
ハッキリ言ってしまえば、矛盾するところさえある。

ある程度、NLPをスッキリと理解するためには、
個別の内容を切り分けて、他との関係性を考えることなく、
その部分がどのように役に立つかだけに集中したほうが効率的かもしれません。

僕自身は、NLP以外の領域から学んできたことなどを含めて、
自分なりの1つの理論体系を作りながら理解を進めてきていますから、
自分の中では矛盾のない全体像を持てるように努力してきたつもりです。

その全体像を元に、NLPの内容をそれぞれ理解しようとすると、
1つ1つのフレームワークを解釈しながら一応説明することができますが、
それぞれが離れている度合いも見えてきたりします。

誰かが作ったフレームワークは、その人の理論体系の中では矛盾がなくても
他の人のフレームワークと一緒の舞台に乗せると、
矛盾が出てきてしまうのは仕方のないことでしょう。
フレームワークを生み出すためのフレーム自体が違うわけですから。

そうしたことはセミナーをする人にも起きる可能性があります。
色々と学んできたことをセミナーで伝える。
そのときに、別の人から教わった内容を、元々のフレームワークのままで伝えると、
1つのセミナーの内容の中に矛盾するところが出てくる恐れがあるはずです。


例えば、ここで何度も使ってきた「フレーム」という言葉も
まさに現実に存在するものではなく1つのモデルとして使われる概念ですが、
このフレームという発想はNLPのサブモダリティの理解を深めるほどに
両方を同じ理論の中で対等に扱うのが難しくなっていきます。

これに関して、僕の中では、サブモダリティの組み合わせ方のパターンを
便宜的に「フレーム」と呼んでいると理解しています。
注意の対象に特定の印象をつけるための情報整理の仕方ということです。
(この辺は、いずれ詳しく勉強会で説明しようと思います)

他にも「一次体験を言語で意味づけして二次体験にする」とか
「五感でインプットした情報をフィルターを通して体験にする」とか
「フィルターやプログラムの中身には、ビリーフや価値観、メタプログラムなどがある」
なんていうような説明は、それら単独では理解できるものですが、
サブモダリティやアンカーという概念と組み合わせると矛盾が出るところもあります。

認知療法や論理療法を中心に臨床心理で扱われてきた理論にも
昨今の自己啓発系プログラムの説明でも、そうしたビリーフシステム(信条体系)が
人の感情や行動、思考などの振る舞いを決めるという発想がありますが、
その考え方よりも根底にある部分としてNLP(直接的にはリチャード・バンドラー)は
サブモダリティというものに気づいてしまったのでしょう。

喩えるなら、これまで錬金術の知識を元にモノづくりをしていた中で、
原子や分子、イオンという概念に辿り着いたぐらいのインパクトでしょうか。

根本的な構成要素を見出したフシがあるわけです。

錬金術で起きていたことは、原子やイオンという化学の知識で説明できるはずですが、
それを錬金術の理論と一緒に組み合わせながらは説明ができません。
どちらでも説明できたとしても、同時に組み合わせることはできないでしょう。

NLPの多くの説明は錬金術の流れを尊重しているように思えます。
その中に、化学の知識である原子やイオンの話も混ぜてしまっている。
どちらを知っていても、それぞれの実験はできるでしょう。
ただ、統一的に理解しようとすると難しい。

原子やイオンの話で、錬金術がしていたことを全て説明したとき、
錬金術で説明する必要はなくなっていくわけですが、
もともと別流派の錬金術をやっていた人は、
原子やイオンの話を深めていく方向には進もうとしないのかもしれません。

僕は個人的に、サブモダリティとアンカーと記憶の性質を組み合わせると
NLPや心理療法、自己啓発プログラムのほとんど全てを説明できると考えています。

そうした方向性は、原子やイオンといった化学の視点で理解を拡げる行為であって、
今の流れの中では、かなりの異端の部類に入ってしまいそうな気がします。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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