2009年08月15日

リニューアルの場

8月の勉強会は、コミュニケーションの内容から少し離れて、
目標達成や願望実現というような自己啓発系のテーマを扱ってみました。

僕にとっては「勉強会」というよりは「ワークショップ」に近い印象が出てきます。

色々なスタイルの学びがあると思いますが、僕の中では「勉強会」と呼んだ場合、
あるテーマや考え方に対して理解を深め、考察しながら整理していく流れが浮かびます。

理解や納得をベースにして、考え方や取り組み方の基準を作ることで、
「なんとなく」やっていたことを意識的にもできるようになっていく。
そんな方向性が意識されている気がします。

多くの場合、それがコミュニケーションのスキルだったり、
人間理解や変化のための方法だったりしますから、そこには
理論を体験的、具体的に納得していくための体験学習の時間がセットになってきます。

特定のコミュニケーション・スキルをテーマとして扱えば、
それに関する理論的な整理の段階と、整理した内容を元にして実践してみるための
スキルトレーニングの段階が含まれることになるわけです。

一方、学びの中には、スキルを身につけることを主眼にせず、
自分自身と向き合って、自己変容や自己成長を目的にするタイプのものもあります。

そこでは自らの気づきが重要視され、取り組みの内容には
個人の体験をより意味深いものにするための刺激が意図されることになります。

8月の勉強会は、その意味で、スキルトレーニングの度合いよりも
自己変容や自己成長を目的にした取り組みの度合いが高かったと感じているわけです。

まぁ、その違いが「勉強会」と「ワークショップ」という呼び方の
一般的に正しい表現ではないと思いますが、なんとなく印象が違ったという話。

「勉強会」と呼ぶ背景には、僕の個人的な考え方を色濃く反映させていて、
誰かの受け売りや、特定の枠組みの中で制約された内容ではない
独自の自由なスタンスを表現しているところがあるようです。


ところで、本を読んでいたりすると、誰かの言葉を引用して
その内容に裏付けや説得力を与えようとしているかのような文面がありますが、
僕にしてみると、あれには違和感があります。

昔の本だろうが、有名人の意見だろうが、名著と呼ばれる作品だろうが、
誰かの考え方や意見を引用したところで、それは個人の意見の範囲を出ていません。

あくまで、その人の生み出した仮説。

サイエンスは、その点で違いがあります。
発見した人物の名前をセットにして引用するという前提もありますが、
それ以上にデータや理論で裏付けが取れていれば、
他の理論的背景と矛盾がない情報として取り入れていくことができます。

誰かの理論として引用するというよりも、
その理論や発見がサイエンス全体の一部として取り込まれていくわけです。

逆にいえば、そこに不一致があれば、それは受け入れられないか、
全てを覆す大発見となるはずです。

もちろん仮説の域を出ることができないのがサイエンスの宿命ですが、
それでもサイエンスという大きな仮説の中において矛盾がない仮説が
新しい発見として知見を広げていく仕組みがあるんです。

それが心理学やらコミュニケーション、自己啓発などの分野においては
話が違ってきてしまいます。
根本的な統一された理論がない。

あるのは、一人ひとりが自分なりの考えや人生経験を通じて見出してきた
世の中のルールや人間の仕組みなどを、その人の言葉で語ったものだけ。

それは個人の意見なんです。
客観的ではないし、正しいとも間違っているとも言えない。

過去の人の個人的な意見を引用したところで、
「あの有名な人も私と同じ考え方だったんですよ」と箔をつけるか、もしくは
自分で考えずに「有名な人が言っていたんだから、たぶんそうなんだろう」と
楽をしようとしているかのような気がしてしまいます。

まして、NLPなどでは良く起きることに思えますが、
過去の人の考えをベースにして理論を作ろうとしたせいで、
色々な意見を取り入れていくうちに全体の中に矛盾が出てしまうこともあるはずです。

過去の意見は、その当時に得られていた他領域の知見をベースにしたら
それが納得いくものとして本人のなかで整理されたのかもしれませんが、
新たな知見が得られていくうちに仮説が不一致になることはザラにあるわけです。

当時の人が、本人の中において、それで矛盾のない理解をしていたとしても
その意見を現代に引っぱり出してきて、後生大事に扱っていく必要は
必ずしもないと考えるのが僕のスタンスです。

考えや理論は、どんどんリニューアルされていって当然だと思います。

僕が今考えていることも、理解していることも、
もしかすると10年後には違った形で表現されていくかもしれません。

僕が小学生のころには当然のように習っていた
「水金地火木土天海冥」という惑星の呼び名も、
海王星が冥王星よりも遠くに行った時期には「水金地火木土天冥海」と
違った呼び方で覚えることになり、それが最近では
「冥王星は惑星ではない」という大幅な理論のリニューアルを迎えています。

何かを理解し、仮説を立てて、理論として説明をしていくという作業は
根本的にそういう性質を持っているものだと僕は思います。

それでも冥王星を発見した人の功績は変わらない。
冥王星という天体があることも変わらない。
それが「惑星」から「準惑星」とカテゴリーが変えられたとしても、
冥王星は他の準惑星とは別物の印象を放っているはずです。

何よりも、冥王星という星が見つかっていたから
「他にも似たような星があるぞ」とか、「小惑星と惑星は何が違うんだ?」とか
新たな議論に発展していったわけです。

「惑星」と「準惑星」を区別するような理論が作られたのも
冥王星の発見という過去の実績の上でのことだと考えられます。

心理学でも同様です。
フロイトやユングの無意識の説明は大きな偉業だと思います。

でも、いつまでも、その理論にしがみついて説明を続ける必要もないはずです。
あれは彼らが人間を理解しようとして生み出した彼らオリジナルの説明ですから。
逆にいえば、他の人が分かった風に説明すること自体、本人には失礼かもしれません。


人は皆、自分の人生を通じて、自分だけの説明の仕方で
「人生とは」「人間とは」「宇宙とは」「世界とは」「社会とは」…
というような大きなテーマを理解していくものではないかと思ったりもします。

その表現方法が人によって違う。
人生論を大っぴらに語るスピーカーもいれば、
それを数式で表現しようとする科学者もいる。
音楽や絵画、書などの芸術に求める人もいれば、運動に求める人もいるでしょう。
医療やビジネスのように、応用の形を追求する人もいるようです。

人それぞれ、なとなく人生観のようなものは持っているような気がします。

自分の考えを生み出すために、人の意見を参考にするのも素晴らしいでしょう。
理解を早め、議論の対象を得ることにもなる。
自分だけでは得られない発想を取り入れるチャンスにもなる。
その意味で、過去の偉人と対話をするのは面白いと思います。

そのようなテーマを表現することを前面に押し出して生きる人もいれば、
それを前提に、より良い人生を送ったり、身近な人をより幸せにしようとしたり、
より良く社会に貢献しようとしたりする人もいるのではないでしょうか。

たまたま僕は、そうしたテーマを考えて、整理していくのが好きなだけ。
その過程では、誰かの意見を鵜呑みにするのは面白くないんです。
応用していくよりも、解き明かすほうに、関心が上回っているようなので。

どうやら今のところ、僕の主目的は、
自分勝手に世の中を解き明かしていく方向みたいです。
それに興味を持って応用してくれる人がいれば、それに勝るものはないかもしれません。

勉強会は僕のワガママみたいなもんですね。

cozyharada at 23:04│Comments(2)TrackBack(0)clip!NLP | セミナー情報

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この記事へのコメント

1. Posted by 那由多   2009年08月17日 11:06
お久しぶりです。

原田さんのブログを拝読していると、大概いつも「ああ、僕とよく似てるよなあ」と勝手に思ってしまうのですが、今回の記事ほど強く思ったことはないと思います。

世の中に対する姿勢がサイエンスである点と、
「サイエンス」というものに取り組む姿勢あるいは「サイエンス」というものの考え方がよく似てるのだなと思いました。

ただちょっと僕の個性が出るのは、それを応用しよう・広めようという気持ちが強いということでしょうか。

僕の仕事のキーワードは
「繋げる」
「広める」
ということなんです。
これは研究してた時も今も何ら変わっていないと思います。
変わったのはその対象であり、より有益であると自分が思えるものを扱うようになった今は、昔よりも仕事に対するモチベーションも上がっています。
ただ、僕にも物事を突き詰めるという自分の性には抗えないものあり、その度に対象を変えていくのでしょうね。

ああ、久しぶりに自分の考えがそのままスムーズに文章になりました。
原田さんの記事にインスパイアされましたね。

inspire the next!

原田さんもそろそろそんな時期なのでしょうか?
2. Posted by 原田幸治   2009年08月26日 04:55
いつもありがとうございます。
同じように「サイエンス」の視点で世の中を眺めている方を知っていられることは嬉しいです。

科学を過信することも、毛嫌いすることもなく、ニュートラルに物事を理解していきたいと思っています。
日本のサイエンス分野の方々は専門範囲内での交流が中心で、
いわゆるアウトリーチのように「広げる」ことを意識するケースが少ないように感じます。
素晴らしい成果が広がっていくことを期待しています。

共同研究できる日を楽しみにしています。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
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