2009年09月28日

境界領域を埋めるために

脳科学と一言でいっても、その中には色々な専門分野があるわけで、
得られている知見を統合して理解するのも、専門家によって意見が違いそうです。

とりわけ人間の脳の機能を調べる場合には、脳波などの画像解析系統の他には
人体実験するわけにいかないところもありますから、
実際には猿や猫やマウスなどの実験結果を元に推測している内容もあるようです。

その点、病理学の知見から得られてくる脳の損傷と機能との関係は
かなり直接的な情報を与えてくれると考えられます。


そんな中で得られた知見として、言語野の存在があります。

言語野には、運動性言語野として知られるブローカ野、
感覚性言語野として知られるウェルニッケ野があり、
それぞれの損傷で起きる言語活動も違っています。

ブローカ野は発話に大きく関わり、
ウェルニッケ野は言語理解に関わっている。

その部位の損傷と機能との関係から、その結論が導かれているわけです。

そして、PET や fMRI などの画像診断においても
言語と関連する活動部位として研究されている。

ただ、ここで脳科学だけで考えていくと
短絡的な結論が導かれるケースがあるように思うんです。

というのは、脳の研究をしている人にとって、多くの場合、
人間が表面的、意識的に行っている作業の内容は
人によって全く別物かもしれないという可能性が考慮されていないからです。


例えば、文法理解と脳の活動部位の関係を fMRI で調べた研究では
「文法を理解するときにはブローカ野が使われる」
という結論が導かれているようですが、
これは実験方法と結論の関係に飛躍が感じられる内容なんです。

同じ英文を見せて、スペルのミスを探す課題と文法上のミスを探す課題をさせたとき、
文法上の課題を見つけるときにはブローカ野が優位に働いていた、という話。

このような実験は被験者によって結果が変わる可能性が考えられます。

被験者が文法の詳しい専門家であれば、文法上のミスを探すときに
字面の間違いから見つけるかもしれないし、過去の記憶のパターンと照らし合わせて、
直観的にミスを見つけてしまうかもしれません。

ところが、被験者が文法なんて普段は全く意識しない人であれば、
文法上のミスを探そうとすると、頭の中で行う作業として、
心の中で一度ひとり言として発話をしてみて、
自分が普段使う言い回しかどうかで判断するかもしれません。

同じ「文法の間違いを探す」という言葉で表現される作業も
人によって頭の中・心の中でやっている内容が違う可能性があるんです。

英語圏の人の場合、スペルの記憶は映像で処理する場合が多いというのが
NLPの知見として調べられていますから、
「スペルの間違いを探す」という課題は視覚を使って
映像的になされていることが多いだろうと想像されます。
(ちなみに日本語の漢字の場合には、書くときの体感覚で判断する人が多いそうです)

それと比べると、文法の間違いを探す行為は、内容が別物です。
活発に働く脳の部位も違って当然でしょう。

その中でブローカ野が活発に働いていたのなら、
まずは被験者に「文法の間違いを探すとき、どんな手順で何をしていたか?」
と尋ねてみて、より具体的な本人の中での作業内容を調べる必要があるはずです。

そこで文法間違いを探すときに、心の中で文章を発話してみていたとしたら、
それは「ブローカ野は文法に関係する」という結論ではなく、
「ブローカ野は病理の知見で得られていたように、発話の作業と関係する」
という結論に導くほうが妥当だと思います。


他にも、例えば「本を読む」という行動だって、
人によって心の中・頭の中でやっている内容が違いますから、
「本を読むときに活発になる脳の部位を探す」という実験は不正確だと考えられます。

本を読むときに、心の中で音読するような感じで
自分が話す感覚を利用しながら内容を理解する人もいれば、
心の中で自然と文章を読む声が聞こえてきて
他人の話を聞いて理解するように文章の内容を把握しようする人もいます。

両社では作業の内容が違うのですから、
同じ「本を読む」という行為であっても働く脳の部位は違うでしょう。

実験の仕方を工夫すれば、もっと詳細な理解ができると思うんです。


NLPには人が当たり前にやっている行動を分解して記述する方法があります。
文法の間違いを探すときの方法も、本を読むときの方法も、
NLPの表現を使って調査すれば、より明快な結論を引き出せると思います。

とても重要な着眼点があるんです。

脳科学の研究者も言語学者も気にしていない重要な着眼点がNLPにある。
それをベースに調査が進んでいったとき、
これまでにはなかったような統合的な見解が得られるような気がします。

そこをアピールできるような機会があれば良いんですが。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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