2009年10月19日

日本一のサブモダリティ

葛飾北斎の『富嶽三十六景』には富士山が登場しますが、
どの絵も実際の富士山より急勾配で描かれています。

どれだけの人が『富嶽三十六景』を見慣れていて、
無意識のイメージとして、その勾配を記憶しているかは分かりませんが、
富士山の絵を描かせると多くの人が実際よりも急勾配に描くそうです。


人は自分が見たものや聞いたものを、実際のままで記憶することは多くなく、
その記憶の内容は簡単に歪んでしまうそうです。
詳細に覚えていないことも普通にあるでしょう。

経験を通じて、典型的なパターンを記憶していくと考えられます。

そして、そのパターンと一致しているかどうかで意味を判断する。

色々な人の笑っている顔を見ているうちに、
典型的な笑顔のパターンを作り出し、
同じような表情をした人を見て、「笑っている」と判断できるわけです。

まぁ、笑顔に関しては生まれたばかりの乳児も反応を示すようですから
遺伝的にプログラムされている部分もあるのかもしれません。

そこから進んで、「目が笑っていない」という表情を区別できるようになるのは、
おそらく何度も色々な笑顔を見て、典型的なパターンを作ったからでしょう。
本当の笑顔のパターンと違う所に気づき、「目が笑っていない」と判断する、と。


で、このパターン化されたイメージの記憶は
実際のものと違っていても構わないというか、むしろ
実際には存在しない典型的なイメージになっていることがあり、
そのイメージの中には判別しやすくするための強調がなされていることがあるようです。

NLPでは人の内的なパターンのイメージを詳細に調べることで、
そのパターン特有の強調の仕方を探し出します。

その強調の仕方が「愛」や「尊敬」や「恐怖」や「威圧感」であったりします。

例えば、自分が威圧感を感じやすい相手というのがいたとしたら、
その威圧感を感じる反応を生み出すためのパターン(プログラム)が作動します。
これは、そのパターンに含まれる特有の見た目や声が引き金になって動き出す。

つまり実際に誰に対しても威圧的な態度を取る相手でなくても、
自分の中の威圧感パターンに含まれる見た目や声の特徴を持っている相手に対しては、
無条件に威圧感を感じる反応を引き出すためのパターンが作動してしまうということです。

仮に、眉間のシワが威圧感パターンの引き金になっているとしたら、
眉間のシワを見たとたんに、威圧感のパターン記憶が引き出されます。

そして、目の前の相手が実際に威圧感を感じる人かどうかは別にして、
自分の中の威圧感パターンを特徴づける強調の仕方が頭の中のイメージに反映される。

多くの場合、威圧感のイメージは下から見上げるような映像になりますから、
目で見た相手の姿を、頭の中で下から見上げるような映像に作り変えて、
その強調された後の映像に対して、怯えたような身体反応を生み出すことになります。

実際に見た相手の映像が、そのまま頭の中で描かれるのではない
というのが重要なポイントでしょう。
アントニオ・ダマシオも本に書いていますが、認知のプロセスで強調がなされるようです。

実際に目にしたものを頭の中で強調して、
その強調されたイメージに対して身体反応が引き出される。
そういう流れがあるわけです。


『富嶽三十六景』の富士山も、多くの人が適当に描く富士山の絵も、
どちらも急勾配という表現で強調されていると言えます。
「日本一高い」印象を、そのような急勾配にする表現方法で
強調してパターンに表しているのでしょう。

デフォルメして描いているという言い方もできるかもしれませんが、
上手く強調して描かれたものは、実際よりも遥かに「それっぽく」見えるんです。

CMの映像なんて良い例です。
食べ物の湯気も、冷たいグラスについた水滴も、ツヤツヤした輝きも、
映像の撮り方として強調されているはずです。

実物ではない。
にも関わらず、そうして強調されたほうが臨場感タップリに感じられる。

そこには人の認識の仕組みを知らず知らずのうちに利用してきた伝統があるようです。

こういうのを解き明かすのは、脳科学の実験で色々と計測するだけでなく、
人の心の中のイメージを質問して聞き出すという地道な作業と組み合わせたほうが
遥かに効果的だと思います。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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