2009年12月20日

光と色

レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉は、その膨大な量の手稿から辿ることができて、
その日本語訳が岩波文庫の『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』や、
レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上   岩波文庫 青 550-1
レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 岩波文庫 青 550-1
クチコミを見る

『知をみがく言葉』(青志社)などで読むことができます。
知をみがく言葉 レオナルド・ダ・ヴィンチ
知をみがく言葉 レオナルド・ダ・ヴィンチ
クチコミを見る


そんなレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を読んでいると
彼が観察を非常に大切にしていたことが感じられます。

徹底的な観察に基づき、現象を理解しようとするスタンス。
そこを感じ取れるのが、僕がレオナルド・ダ・ヴィンチに惹かれる1つの理由でしょう。

手稿を描くときの内面と、絵画作品を描いたときの内面には違いがあるように見えます。
手稿を描くときは、観察から理解までのプロセスを重視し、
一方、絵画作品を描くときは、それを応用して
自分の理解したことを1枚に集約しようとするような雰囲気が感じられるんです。

手稿は個人の世界、絵画は世の中との関わりを意識しているような印象。
抽象度の違いもあると思います。

で、僕は観察をベースに置いている点で、より強く敬意を抱くんだと思います。
そこが気になる時点で、僕自身が観察を大事にしようとしていることの表れでもある。

僕にとって「眼」は最も重要な体の一部であって、
見ることは本当に好きな行為でもあります。
緑の中で心を癒そうとしても、植物を観察したくなってしまうほど。

常日頃から、僕の身体感覚として、体の中の意識の中心は眼の辺りにありますし。

レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉にも見ることを意識した文章が多いようです。
好みの問題以上に、人が「見る」という行為に頼りやすい性質もあるかもしれません。


そんなレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉の中に色について述べられたものがあります。

「色の質は、光の助けを借りて見るしかない。

 とすれば、その色がどのようなものか、真に確かめようとすれば、
 明るい光の中で見なくてはならないことになる。

 影の多いところでは、影自身の持つ色に影響されてしまう。

 色の真の質は、明るい光の中で見よ、と画家たちには言っておきたい。」


おそらく、この言葉は実際に光と色の性質をメモしたものだと推測されます。
絵を描くときに、色を扱い方を注意する必要性を述べているのでしょう。

暗いところと明るいところで、同じ色として描いてはいけない。
それは「同じ色のはずだ」という思い込みを元に対象を見て絵にするのではなく、
実際に目で感じられる色を直接的に絵に反映させるということのように思います。

人が見えているものを素直に受け取っていないことを実感していたのでしょうか。
認知の仕組みも敏感に感じ取っていたようです。


同時に、僕はこの文章をメタファーとして受け取りたくなる部分もあります。
人に対しても同じではないか、と。

 人の個性や持ち味は、それを正しく知ろうとしたときには
 「光」のもとで感じ取る必要がある。
 「影」の状態や、「影」の近くでは、影響が出てしまう。

「影」というのは、本人の状態や気分が良くないときなど。
本人が不調なときもあれば、周りの人が落ち込んでいたり、
足を引っ張っていたりするケースもある。
上手くいきにくい状況が続いているときのようなイメージです。

逆に、「光」というのは、本人の状態が良かったり、
周りに良い影響を与えてくれる人がいたりする状況でしょうか。
上手くいきやすい状況が続いているイメージ。

本人が「光」の状態のときだけでなく、その人にとっての「光」になるような人が
近くにいることも含んだニュアンスとして考えてみるということです。

誰かの良さを判断するときには、その人自身の調子の良いときを元にして見る。
もしくは、その人の本来の良さを引き出せるような
「光」にあたる関係性がある状態から判断するわけです。

自分が他人の良さを引き出せる「光」になれば、
関わる多くの人が、その色の本当の美しさを表せる気がします。

「世界に1つだけの花」じゃありませんが、
人それぞれ違った色の花を咲かせるものだとしても、
その色の美しさを感じられるのに十分な「光」も必要じゃないでしょうか。

目の前の人が、その色を十分に見せられていない状況があるとしたら、
もしかすると自分の光が十分に明るくないのかもしれません。

自分の色を表現するのと同時に、
自分自身の「光」としての明るさを上げていきたいものです。

cozyharada at 23:22│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 全般

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード