2010年02月26日

保存の形式

最近になって、セミナーで使うために iPod を買ったんですが、
充電が長持ちするので移動中に遠慮なく使えて便利です。

その前は携帯電話の音楽再生機能を使っていました。
僕は AU なので Lismo というやつです。

こちらでも十分に音楽を楽しめてはいました。
新幹線での移動中には結構使っていたものです。

それから本を読むときの話し声遮断用 BGM としても。
  (ちなみに、最近お気に入りの話し声遮断用 BGM は
   カーシュ・カーレイのインド風な音楽です。
   話し声が気になって集中できない時にはオススメ)


ただ、最近の携帯電話は充電の持続時間が短いので
好き勝手に聞けるというほどではありませんでした。
メインの目的は電話ですから、電池を切らすまで聞くわけにはいきません。

そこで、古い MP3 プレイヤーも使ったりしていました。

この古いほうの MP3 プレイヤーは、音楽再生用にも使えるんですが、
実際の目的は IC レコーダーなんです。
録音再生機能と併用して、音楽を入れて再生することもできる。

録音する音声ファイルの形式が、音楽再生の形式と同じになっているようです。

ポータブル CD プレイヤーを持ち歩くほどの音楽好きではなかったので、
この IC レコーダーが長きにわたって僕の移動用の音楽機器だったんです。


で、この IC レコーダーは元々、音楽再生を主目的として
作られているわけではありませんから、シンプルな仕組みになっています。

パソコン上でフォルダを展開していけば、そのまま音楽ファイルを移せますし、
新しくフォルダを作って、好みの再生リストを作ることもできます。

色々な CD から楽曲をパソコンに取り込んで、
その中の特定の曲だけを移していけば、自分好みの選曲でリストが作れるわけです。

例えば、ロックだけを集めたフォルダを作れば、再生するときにも、
そのロックのフォルダを選択して再生することで、そのリストを続けて聞ける、と。

同様にして、90年代の名曲を集めたフォルダとか、
映画で使われた音楽を集めたフォルダとか、
気分を盛り上げるための曲を集めたフォルダとか、
色々なリストを作っておける。

まぁ、他の MP3 プレイヤーも同じようなものだと思いますが、
この IC レコーダーの場合には、フォルダごとに曲を集めていくのが特徴なんです。

何かのアルバムをそのまま入れたければ、アルバムのフォルダを作って
そこにアルバム中の全楽曲を入れる必要がある。

再生リストを作るためには、そのリスト用のフォルダを作って
その中に必要な曲の音楽ファイルを入れる形式なんです。

ということは、アルバムに入っている1つの曲を気にいったとして
その音楽がロックのジャンルで、映画にも使われていて、
気分を盛り上げる曲でもあるとしたら、
ロックのリストにも、映画音楽のリストにも、気分盛り上げ曲リストにも、
入れたいリストが増えれば、それぞれ全てのフォルダの中に、
その楽曲の音楽ファイルをコピーして入れる必要があるわけです。

リストを流して聞きたければ、複数のリストで重複する曲は、
その音楽ファイルの同じものを複数コピー入れておかなくてはいけない。

保存の仕方やリストの作り方はシンプルですが、
同じ曲をコピーして保存する分、保存に必要な容量が増えてしまう欠点もあります。


一方、iPod は、CD やダウンロードした曲は、全て音楽ファイルとして保存されます。

そして、音楽ファイルに付属している楽曲情報を元にして
ミュージシャン、アルバムタイトル、ジャンル、製作年などのラベルがつけられ、
それぞれのラベルで呼び出せるようになっている。

アルバムのラベルが同じものは、同じアルバムに入っている曲として
そのアルバムタイトルのリストとして連続再生ができるスタイル。

ミュージシャンの名前で呼び出せば、iPod 中に保存されている
そのミュージシャンの楽曲全てを連続再生できるようになる。

ラベルを使って分類しているけれど、それは楽曲を選び出して再生するためのもの。
アルバムリストと、ミュージシャンのリストに同じ曲が重なっていても
楽曲の音楽ファイル自体は1つしか保存されないわけです。

次の曲の再生が始まるたびに、曲のラベルを元にして保存されている全曲から検索され、
見つかった音楽ファイルが再生されるようなプロセスなんでしょう。

毎回検索する必要はありますが、その検索をスムーズに行える処理能力さえあれば、
保存に必要な容量は少なくて済むというメリットがあります。

自分で新たに再生リストを作って、ロックのジャンルのリストとか
映画音楽のリストとか、気分盛り上げリストとかに重複させていっても、
必要なのは音楽ファイルのラベルでリストを作る作業だけ。

あとは、再生のときにリストで指示されたラベルが貼られた音楽ファイルを検索して
それを再生する処理を行えばいい。
そんな形式なんじゃないかと思います。


検索が速やかにできるような処理能力があれば、全ての楽曲を音楽ファイルとして
整理して保存しておいて、必要な時に探し出して再生する。
それによって保存の容量を少なくできる。

保存の容量が十分にあれば、分類されるリストの中で重複する楽曲を
必要な数だけコピーして音楽ファイルとして保存しておく。
それによって再生のときに探す手間が省け、検索の処理能力を必要としない。

双方にメリットがあると言えそうです。

本屋に喩えると、大型書店とアマゾンの違いのようなものでしょうか。

大型書店では、人気のある本は色々な棚に並べられています。
新刊の棚、売れ筋の棚、入口フロアの平積み、本の内容に合わせた棚…。
内容がビジネス心理のようなものであれば、内容に合わせた棚であっても
ビジネス書の棚と、心理学の棚の両方に置かれることも少なくありません。

大型書店は在庫を沢山並べられる敷地の広さがあるので、
人気のある本は、必要な分類の数だけ、色々な棚に同じ本が置かれます。

一方、オンライン書店であれば、本はジャンルや著者名、キーワードなど
様々な形で検索されてから注文がなされます。

検索で見つけて本を特定してから注文するので、在庫は一か所に管理できるでしょう。
ISBN か何かで在庫管理をしておけば発送の手間も少ないと思います。

大型書店は僕の持っている IC レコーダーの音楽保存形式に近く、
オンライン書店は iPod の保存形式に近いと考えられます。


で、人間の記憶の仕方というのは、iPod のような形式なんじゃないかと思うんです。

現時点では、特定の記憶が脳内の一か所のニューロンに
保存されているわけではないらしいというのが主流の仮説のようでもあります。

最も細かいレベルのサブモダリティの情報が散らばって保存されていて、
それぞれの組み合わせに対してグループとしてラベルをつけている。
さらにグループ同士を組み合わせて上位のグループを作る。
…そんな形式だろうと僕は考えています。

最も細かいレベルというのが1つの音楽ファイルに対応します。
(イメージとしては、もっと細かいんですが、分かりやすく楽曲を最小単位にします)

iPod に「 I believe 」や「三日月」、「 WINDING LOAD 」などが保存されている。

それぞれには、元のアルバムタイトルや、製作年もグループ情報として付いている。
で、同時にベストアルバムとして「 ayaka's history 」に収録されている、
というグループ情報も付いています。

それぞれ「絢香」というアーティスト名もグループ情報として付けられていて
「 WINDING LOAD 」の場合には「絢香×コブクロ」という
コラボレーションの情報も付いているかもしれません。

なので、「絢香」の曲という一番大きなグループの下に
製作年やアルバムタイトルなどのグループがあって、
それぞれのグループから検索しても呼び出せるようになっているわけです。

「 WINDING LOAD 」の場合には「コブクロ」で検索しても出てくるでしょう。

人が「絢香」の曲を思い浮かべるというときにも、
同じような感じなのではないでしょうか。
ラベルで検索しながらグループを思い浮かべ、実際の曲の情報は重複しない。

より具体的な例として
「昨日、山手線の車両の中で、ドアの前に立って
 ニンテンドー DS をしているサラリーマンの後ろ姿を見た」
という記憶を思い浮かべる場合で説明すると…。

山手線の車両の中のイメージも、ニンテンドー DS の見た目も、
サラリーマンの服装や髪型も、過去の記憶の中から検索してきて
全てを1つの映像の中に組み合わせて思い浮かべる、という考え方です。

ですから、
「二週間前に、山手線の車両の中で、ドアの前に立って
 携帯電話で話をしている女子高生を見た」
という記憶を思い浮かべた場合にも、
山手線の車両の中のイメージは共通しやすいと考えられます。

少なくとも、ドアの前にある「手すり」の映像記憶ぐらいは
実際に見ていたものを思い出すより、データベースとしての記憶の中から
検索して引っぱり出してきて映像に組み合わされているでしょう。

おそらく、「小学校の頃、担任の先生に褒められた」というような記憶を思い出すのも、
iPod で「気分の盛り上がる曲」のリストを選ぶのと同じようにして
なされているんじゃないかと思います。


そう考えると、iPod で再生リストを気軽に沢山作れるように
人の記憶も意外と気軽に作っていけるような気がしてきます。

そうやって考えておくと、
人が変化していくということも、それほど難しいことではない
と思えてくるんじゃないでしょうか。

cozyharada at 23:54│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 全般

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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