2010年05月26日

先を見通すこと

久しぶりに会社の先輩と飲みに行きました。
3年半ぶりぐらいでしょうか。

東京の研究所にいたとき、隣の席だった人。
会社にいながらも見ている世界が僕と近いところがあったので
あまり研究者同士ではしないような話もしていたものです。

それが久しぶりにできたわけですから
懐かしさも刺激も大きかった。


1つの会社にいると、その会社の中の視点以外は持ちにくいものだと思います。
1つの部署にしかいなければ、その視点はさらに狭くなる。

大学で研究をしていた人が、会社の研究所に入って研究職を続けるという場合、
どうしても、その研究対象にばかり注意が向きやすくなるでしょう。

だからこそ、会社組織の中では異動によって視野を広げようとするんだと思いますが、
同じ会社の中であれば、見える範囲は限られているのも当然のこと。
社長の視点は会社の中からは滅多に想像できません。

今の僕の日常生活で、自然と目に入り、意識に上がって、気になって考えることは
会社にいた頃とは全く変わっています。
それも仕事内容や関わる世界が変わったことと関係しているはずです。

逆にいえば、会社にいたときから少しは外を意識していたからこそ
会社を離れるという方向に気持ちが向いたんだとも考えられます。

その先輩は会社にいながらも、とても広い視野を持っている人。
そこまで広い視野を持てるのは、環境要因だけでなく
本人の素養も関係しているような気がします。

僕の視野には国際社会は滅多に飛び込んできません。
どちらかというと細かいところに目がいきます。

細かいところを細かくやるだけでは不十分で
色々なことを細かく理解して根底にあるものを見たい。
そんな好みがあるから、会社の研究だけでは物足りなかったんだと思います。

つまり、環境要因から要求される視野と
個人の好みとして持っている視野とがあるということ。

個人の好みとしての視野が環境として求められる視野と一致していれば快適でしょう。
その道の専門家として職人的な道を極めることも可能だと思います。

ただ、多くの人は自分の好みの視野を意識せずに
環境として求められる視野ばかりを見るものかもしれません。

見えないことは意識に上がりませんから
見ないことで楽にいられる部分もあるものです。
見てしまったら、目を背けたとしても、見る前には戻れない。

そして、見えることには面白さもあります。

そうなるともう、「好みの視野で見たい」と思うかどうかです。

僕個人の好みとしては、自分の好みの視野で世の中を見ている人と話すのは楽しいです。
自分と違う視野には好奇心や驚き、刺激が感じられますし、
自分と近い視野には共感的な喜びが感じられます。


先輩と話していて強く感じたのは、随分と時間が経ったということ。

僕の知っている元同僚たちは、皆、組織の中での立場を進めているようです。
同期や1つ後輩ぐらいまでは、研究所の中で中堅になっている。

僕が入社した時の直属の上司は、研究所の所長にまでなっているそうですし。

企業の研究員というのは概して研究寿命が短いもののようです。
研究を取り仕切る立場、グループのトップぐらいになるのは40歳前後。
大学院を出てから入社するケースが大半ですから、実質15年ぐらい。

24,5歳で新入社員として研究活動を開始して
研究部門のトップになるのが15〜20年後。
僕のいた会社では20年間、研究活動を実際に続ける人は一部に過ぎません。

部門のリーダーになる人数は限られていますから、
途中で多くの研究員は他の部署に出ていくことにもなります。

トップになればなったで、自分の手で研究を進める時間も減ってしまう。

会社の中で研究者としての時間は短いんです。

僕が入社した時のイメージでいえば、30代後半から管理職になり始める時期ですが、
研究所以外の管理職が何をする仕事かなどは全くイメージできませんでした。
当然、その先はもっと分からない。

身近なところで先輩として見ていた年代、中堅の人たちは入社6,7年目の世代でした。
10年も離れていれば、それはもう上司として関わる人たち。
そして15年あたりからは管理職です。

視野に入る範囲は、この管理職になるあたりまででした。
管理職になってから20年前後は会社にいるわけですから、
会社員人生の半分にも満たない範囲までしか見えていなかったと言えます。

極端なイメージとしては、会社員としての道が40代前半までしかなく、
その先は真っ暗な景色になっている感じ。
途中で「ブツっ」と途切れているような気がしていました。

(まぁ、僕の場合、大学に戻るような予測もしていたんですが…)

世間一般で見ても、関わる人との経験からも、発達心理の観点からしても、
世の中にアウトプットして自分の人生を形として残すタイミングが
40代あたりからのことが多いものです。

今の僕は人生全般を意識するような仕事をしていますし、
様々な年代の方と接する機会を持っていますから
人生における時期というものを幅広く見ています。

しかし、会社に入ったときの僕は40歳ぐらいまでしか見えていなかったんです。
いや、多分、ほとんどの人がそうだっただろうと思います。
そういう話しかしませんでしたし。

僕が会社に残っていたとしたら、今の年代は研究員としてベテランの域です。
言い換えると、先の目標が見えなくなり始める時期。

会社にいたときには随分先のことだと思っていた世代に
もう辿りついてしまっていたんです。

随分と時間が経っていたんだなぁと実感しました。

反面、僕の視野は会社にいた頃よりも広がっているので
進む先は長く広く続いているように感じられています。

やれることは多い。
自分の好みの視野の範囲で見えてくるものに、進んで行けるんだと思います。

見えていれば、それだけ可能性が広がるということでしょう。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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