2010年08月29日

師匠という存在

師匠から学べることのメリットは情報量の多さにあると思います。

ここでいう「師匠」というのは、「心の師」と仰ぐような人ではなく
もっと直接的に指導を仰げる存在のことを意味します。

歴史上の人物で自分の「師」とか「メンター」だと思える人もいるでしょうが、
その場合には、直接的に多くの情報量のある教えを得ることはできません。

まして、学べることの多くは、自分が受け取れる範囲だけになってしまう。

その点、直接の関わりをもって指導を受けることのできる師匠というのは
与えてくれる情報量が圧倒的に違います。

意識的に受け取ることができない情報であっても、
その振る舞いの様子が、弟子に影響を与えることも良くあるものです。

言葉で説明できるものも、できないものも、
多くの情報を提供してくれるのが師匠の意味じゃないかという話です。

言葉では一切教えてくれなかったとしても
その姿を見て盗むことができる量が多かったとしたら
それは膨大な量の教えとなるでしょう。


その師匠には代わりが利かないんです。
その人からしか学べないものが沢山あるんです。

ミルトン・エリクソンは何人もの弟子を育てていますが、
その誰に対しても、自分のマネをすることを拒否していたと言われます。

それぞれの弟子がオリジナルを作り上げることを好んでいたようです。

もしコピーのような存在を増やしていたとしたら
それは誰にでも教えられるような一般化されたものが
伝わっていることになると考えられます。

なので、弟子から、そのまた弟子へ、同じようなものを伝えていける。
コピーが量産されていくわけです。

しかし、そのコピーは、誰一人としてエリクソン本人には遠く及ばない。
なぜなら、誰にでも伝えられるように一般化され過ぎているから。

個人に合ったものも、個別の状況に合ったものも省略され
誰からでも画一的な内容が学べるレベルにまで一般化されていることでしょう。

エリクソンの弟子であれば、誰から学んでも
「エリクソン流」が身につけられる。

その学び方は「師匠」から学ぶものではないと思います。

師匠から学ぶときは、もっと膨大な情報が得られるんです。
弟子本人にとって重要な情報を沢山得られます。

師匠と全く同じになることは当然、不可能です。
素養も違えば、経験も違う。
別物になるほうが自然でしょう。

近いことが近い技術レベルで達成できるようにはなるかもしれません。
ただ、その形は違うんです。


師匠から学べることは、師匠によっても違いますし、弟子自身によっても違います。

一方、一般論から学べることは似たようなものになります。
典型的な例は学校でしょう。

学校の授業で習う内容は、先生によって、学校によって教え方の差はあっても
基本的な内容は同じになっているはずです。

誰が発見した理論か分からなくなるほどに一般化されて
1つの学問という扱いの中で学習が進む。

一般論を学んでいるんです。

先生の教え方が分かりやすさの違いを生んだり、
身につけるための勉強の進め方に違いはあるでしょうが、
身についたときに得られているものは同じになる必要があります。

その一般論として学ぶ範囲は、どこの学校でも同じものです。

 もちろん、学校においても師匠から学ぶように先生と接する機会はありますから、
 その場合は、先生の専門分野や個人的な学びの成果を受け取ることになります。
 これは学校において師匠と接する状態。

 学校の先生は、師匠としての教え方と、一般論の教え方の両方を
 生徒に対して同時に行っていると言うこともできます。

 ただ、それでもバランスとしては、学校の学びには一般論としての意味が大きい。

学校で学ぶことは、極端な言い方をすれば
いつ、どこで、どの学校に入学して学んだとしても大差はないんです。

しかし「師匠につく」というのは代わりが利きません。

小学生が親の転勤の都合で転校するようには、
師匠を変えることはできないんです。

引っ越すから別の師匠に弟子入りするというのでは
師匠から学ぶということの本質的な意味を欠いていると僕は思うんです。

どうしても「この師匠から学びたい」という場合には、
一切の代替はあり得ないように思います。


幸い、僕にはそのように師と仰げるような先生がいます。

同じことは他の誰からも学べません。
その価値は、他では得られないんです。

学校に行く目的とは比較になりません。
同じテーマを学べる学校なら、学校の選択肢は多いものでしょう。
こっちに行けなかったから、あっちに行く、ということが良く起きます。

師匠の場合は、そうではない。

何を学ぶかよりも、誰から学ぶかが大きいケースです。

生活全般の中の何かを犠牲にしてでも師匠から学びたいと思うのは
その学びが他では代えようがないからです。

cozyharada at 23:27│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 全般

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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