2010年10月13日

コミュニケーションの処理能力

人間をセンサーの沢山ついたコンピューターのようなものだと喩えてみると、
コミュニケーションの能力とは何かが見えやすくなる気がします。

センサーというのは人間でいえば、五感。
見たり、聞いたり、味わったり、匂ったり、感じたり。

まずは、センサー自体に『感度』というのがあるわけです。

例えば、犬の嗅覚は人間の数千倍などと耳にしますが、
あれは別に、臭いものを嗅いだときに、1000倍臭く感じているわけではなく
人間が感じないような弱い匂いでも感知できるということでしょう。

味覚でいえば、薄い味をどれくらい区別できるか、です。
分解能、解像度、シグナル/ノイズ比のようなものと言えると思います。

センサーの感度が良いというのは、微弱な違いを感知できるかにある、と。


その上で、センサーの感知したものを解釈する段階があります。
もちろん、そのときにセンサーの感度が悪いと、
判断に使うべき意味のある情報と、誤差としてのノイズとを混同してしまい
正確な解釈ができなくなります。

ただ、人間のコミュニケーションと関連付けたときに重要なのは
センサーが感じ取った情報の解釈の仕方の部分。

解釈の仕方はセンサーの問題ではなく、
コンピューター本体側のプログラムの問題なんです。
データベースが鍵になります。

「このデータは何に対応するか?」ということで
典型的なデータベースと比較して、もっとも相応しい分類がなされます。

化学の分析機器だったりすると、どの物質が、どのくらい含まれているかを
測定することがありますが、ここでもデータベースが必要です。

「こういう種類のデータを出す物質は〜だ」と
データベースと照らし合わせて物質を特定するんです。
たとえば、この重さの物質として可能な化学式は〜と…だ、とか。

光のセンサーとして人間の目を考えたとき、
単純に光に対する感度だけでは意味がないわけです。

明るさの違いが分かったとして、色の違いが区別できたとして
それの意味が分からないと、本人にとって「意味」が与えられません。

光の強さと色の分布は、さらに形の概念を生み出します。
この形が、さらに意味を決めるようになる。

どんな形かは分かっても、その形の意味が分からなければ
なんのことはない、本人にとって無意味なものになるわけです。

外国人の漢字のタトゥーは、デザインとして形のカッコよさを見ているのでしょうが、
日本人からすると、文字という形が持つ別の意味が分かってしまいます。

タケノコ採りの名人は、地面のわずかな盛り上がりから
どこにタケノコがあるかを見分けるそうですが、
そのための判断材料がデータベースにあるから区別ができるんです。

知らないと分からない。

野球のピッチャーが、ストレートとカーブで違う癖を持っていたとして
その癖を見分けるデータベースがあれば区別できますが、
素人からでは全く見当もつかないことでしょう。

コミュニケーションでいえば、同じ表情の変化、声のトーンの変化、仕草や姿勢であっても、
それを判断するためのデータベースがなければ、
全く気づくことなく見逃されてしまうということです。


そして、コンピューターではキーボードを通じた入力もなされます。
プログラムやデータの書き込みが行われる。

ここでも、プログラミング言語の違いがあります。

それは人間のコミュニケーションでいえば、いわゆる言語の違いに対応するでしょう。
日本語か、英語か、フランス語か、中国語か。
そういう違いです。

ただ、コンピューターのようにルールが明確に決まった言語を使っていても
プログラムでは『バグ』が必ずと言って良いほど起こるそうです。
予想と違うことが起きる、と。

言ってみれば、こちらが意図したとおりの言語メッセージが
違った形で解釈されていて、結果としてコンピューターが予想外の動きをする。
コンピューターにしてみれば、言われたとおりに動いたんでしょう。

伝えたメッセージと受け取られたメッセージに違いがあった、と言えます。

言うまでもなく、人間のコミュニケーションでは
この言語による食い違いはコンピュータープログラム以上に大きいはずです。

ここもデータベースの食い違いと解釈することもできるかもしれません。
伝える側が持っている言語に対するデータベースと
受け取る側のデータベースに差があるから、情報伝達のミスが起こる、と。


つまり、センサーの感度とデータベースと、
両方がコミュニケーション能力を分けているという話です。

細かい情報の違いで作られるデータを区別するためには
違いを正確に感じ取れる感度の高さと、
その細かな違いのパターンに対応するデータベースが求められます。

違いが分からなければ何も分からない。
違いが感じ取れても、その違いが持つ意味を知らないと
気づくことなく見逃されてしまう。

そして、もう1つ。

その「感じ取る」ために、コンピューターのCPUとメモリを使わないといけません。
処理をする必要があるんです。

感度を上げれば、より多くの情報が入ってきます。
処理量を超える情報が入れば、パンクしてしまいます。

1gの差を測定する料理用の「はかり」では、60kgの体重は計れないんです。

また、同時に複数のセンサーを使って、複数のプログラムを使って
多くの情報を処理しようとしたら、メモリを超えてしまうかもしれません。

表情を見ながら、仕草を見て、声の変化を感じて、体の感覚に注意を向け…
色々とやるほどにメモリが一杯になっていく。

ただ、幸い人間のCPUは、かなり高い能力あるようですし、
慣れてくると、1つの作業あたりのメモリの使用量も下がっていきます。


ですから、
 センサーの感度を上げる
 データベースの量を増やす
 個々の作業に慣れて、効率的な処理ができるようにする
といったことが
コミュニケーションで求められるトレーニングと言えそうです。

そうしたコンピューターの性能が上がると、発熱量も増えていきますから
冷却の問題も出てきてしまうんですが。

人間でいうと「疲れるようになる」ということです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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