2010年10月20日
論理をすっとばす癖
最近になって自覚したんですが、僕はあまり論理的ではないようです。
セミナーをしていると「論理的だ」と言われることが多いですが、
実際に英語のロジックの勉強をしてみると、
自分の論理展開に飛躍や勝手な補足が行われていることに気づきます。
まぁ、この論理展開が飛躍することや、
自分なりに情報を補いながら話の内容を理解していくというスタイルは
日本文化に固有の「察する」コミュニケーションと関連するかもしれませんが。
例えば、『月の起源』をテーマにした内容で話を考えてみます。
月の起源には以前、3種類の説が言われていました。
1つは地球と同じガス状の成分が、近い場所で凝集して塊になったという説。
双子のように同じものから同時期に生まれた、と。
2つ目は、元は別の惑星だったものが地球の引力に引っ張られて
月の軌道を回るようになったという説。
3つ目が、以前の地球は回転速度が速くて、原始地球の飛び出た部分が
遠心力で引きちぎられて分裂し、それが月になったという説。
ところが、アポロ計画で持ちかえられた月の石を分析してみたところ
いずれも説も否定されてしまったんです。
同じ成分から生まれている双子のような関係だとしたら
月の石の組成は地球の成分と同じになっているはずです。
元々、別の惑星だとしたら、成分は全くの別物と想定されます。
地球から引きちぎられたものだとしたら、月の組成は
地球の地表近くの成分と近くなって、中心部とは違うことになります。
実際は、全てに当てはまらなかった。
成分は、全体的に地球のものと良く似ていたんです。
一方で、低沸点の軽い物質は少なく、金などの沸点の低い重い物質は多めになっていた。
成分は似ているけれども、その比率が少し違っていたというんです。
そして、もう1つ。
鉄の比率だけが顕著に少ない。
似ているのだから別の惑星とは考えにくく、
違いがあるから同じものから生まれてはいない。
地表成分とも違いがある。
ということから、新たな説が提唱されています。
それは、火星と同じサイズぐらいの物体が地球に衝突して大爆発を起こし、
巻き上げられたり衝突のエネルギーで蒸発したりした成分が地球の周りに漂い、
それが凝集して月になったという説。
この説だと、月の石の組成が説明できます。
衝突のエネルギーで沸点の低い軽い成分は蒸発してしまって
再び月として凝集するときには含まれなかった。
そのため重い成分の比率が高めで、軽い成分の比率が低めになっている。
また、地球のコアの部分は鉄が集まっていると言われていますが、
衝突によって巻き上げられるものは割合として表面寄りが多くなるため
月には地球よりも鉄が少なめになっていると説明されます。
さらには、月の成分の中には、衝突した天体から持ちこまれた物質らしきものも
見つかっているようなので、その点でも説明がつく、と。
しかしながら、地球のどこを見ても、そのような衝突の痕跡は残っていないんです。
ここで、僕の論理的な理解の問題点が、不足分を勝手に補ってしまうことで
飛躍してしまう癖として表れます。
「地球上に衝突の痕跡がない」ということが何を示しているか?
…この問いを考えたときに、混乱してしまうんです。
『衝突した物体は蒸発してしまった』と考えるのが
論理的に正しくないことが、すぐに理解できません。
火星サイズの天体が地球に衝突した。
中心近くまで巻き込むように削り取って爆発して
多くのものが粉々になり、熱で蒸発して、チリやガスとして舞い上がった。
舞い上がったほうが月になり、地球はその後に今の形に変化した。
そういう流れが頭の中に浮かんでしまって
『衝突した物体は蒸発してしまった』ということが
正しい説のように思えてしまうんです。
しかしながら、「地球上に衝突の痕跡がない」こととは
直接的に結びついていません。
僕の頭の中では、
衝突したものが飛び散って蒸発してしまったから
その部分を埋めるように地球が復元されて、今の球体になった
という流れが浮かんでいます。
痕跡はないわけです。
それに、もし蒸発していなかったとしたら、
ぶつかってきた天体が地球上に残り、球体じゃない形になったかもしれないし、
それが球体に復元されたとしても、衝突してきた天体の残骸が見つかると想像します。
ところが、その考え方は直接的ではないんです。
『復元されるような時期だったから』という考え方が抜けています。
今の地球に火星サイズの天体が衝突したら、どうなるか?
という部分です。
同じように大爆発が起こり、地球は大きく欠けたようになり、
どれくらいの単位かは分かりませんが、再び球体になるかもしれません。
ただ、地表が残った部分と、持っていかれた部分では差が出る可能性があります。
その後の地球を調べられる誰かがいたとしたら、
何かしらの衝突の痕跡が見つかるんじゃないだろうか、と想像できます。
一方で、今の地球には衝突の痕跡が残っていない。
ということは、衝突の跡が完全に分からなくなるぐらい
地球の形がリセットされたという考え方になります。
そして、それが可能になるのは、まだ地球が今のように出来上がっていない時期。
つまりドロドロの原始地球のとき、ということです。
まだ固まっていない時期の地球に別の天体が衝突して
大部分が飛び散ってしまったとしても、
そこから地球は今の形になるためのプロセスを始めていきます。
出来上がったものは、何事もなかったかのように均一になる、と。
なので、『衝突の痕跡が無い』ことが示しているのは
「衝突は地球誕生の時期に起きた」という説になる。
少なくとも、
「衝突した天体は蒸発してしまった」
「衝突は地球誕生の時期に起きた」
という2つの選択肢で、どちらがより論理的かと問われたら
「衝突は地球誕生の時期に起きた」のほうになるわけです。
この辺の区別が僕には非常に難しい。
僕だけではないかもしれませんが、情報を補いながら話を理解してしまうと
こういう丁寧な論理展開を理解するのが難しいようです。
言葉が示している内容に、多くの補足情報を追加しながら理解していると分かります。
言葉の内容だけしか取っていなければ、足りない部分に気づけるんです。
こうした勝手な補足がキッチリした論理展開を妨げているように思います。
理系とはいえ、数学や物理に進まなかったのも
この辺りの考え方の癖に関係しているのかもしれません。
セミナーをしていると「論理的だ」と言われることが多いですが、
実際に英語のロジックの勉強をしてみると、
自分の論理展開に飛躍や勝手な補足が行われていることに気づきます。
まぁ、この論理展開が飛躍することや、
自分なりに情報を補いながら話の内容を理解していくというスタイルは
日本文化に固有の「察する」コミュニケーションと関連するかもしれませんが。
例えば、『月の起源』をテーマにした内容で話を考えてみます。
月の起源には以前、3種類の説が言われていました。
1つは地球と同じガス状の成分が、近い場所で凝集して塊になったという説。
双子のように同じものから同時期に生まれた、と。
2つ目は、元は別の惑星だったものが地球の引力に引っ張られて
月の軌道を回るようになったという説。
3つ目が、以前の地球は回転速度が速くて、原始地球の飛び出た部分が
遠心力で引きちぎられて分裂し、それが月になったという説。
ところが、アポロ計画で持ちかえられた月の石を分析してみたところ
いずれも説も否定されてしまったんです。
同じ成分から生まれている双子のような関係だとしたら
月の石の組成は地球の成分と同じになっているはずです。
元々、別の惑星だとしたら、成分は全くの別物と想定されます。
地球から引きちぎられたものだとしたら、月の組成は
地球の地表近くの成分と近くなって、中心部とは違うことになります。
実際は、全てに当てはまらなかった。
成分は、全体的に地球のものと良く似ていたんです。
一方で、低沸点の軽い物質は少なく、金などの沸点の低い重い物質は多めになっていた。
成分は似ているけれども、その比率が少し違っていたというんです。
そして、もう1つ。
鉄の比率だけが顕著に少ない。
似ているのだから別の惑星とは考えにくく、
違いがあるから同じものから生まれてはいない。
地表成分とも違いがある。
ということから、新たな説が提唱されています。
それは、火星と同じサイズぐらいの物体が地球に衝突して大爆発を起こし、
巻き上げられたり衝突のエネルギーで蒸発したりした成分が地球の周りに漂い、
それが凝集して月になったという説。
この説だと、月の石の組成が説明できます。
衝突のエネルギーで沸点の低い軽い成分は蒸発してしまって
再び月として凝集するときには含まれなかった。
そのため重い成分の比率が高めで、軽い成分の比率が低めになっている。
また、地球のコアの部分は鉄が集まっていると言われていますが、
衝突によって巻き上げられるものは割合として表面寄りが多くなるため
月には地球よりも鉄が少なめになっていると説明されます。
さらには、月の成分の中には、衝突した天体から持ちこまれた物質らしきものも
見つかっているようなので、その点でも説明がつく、と。
しかしながら、地球のどこを見ても、そのような衝突の痕跡は残っていないんです。
ここで、僕の論理的な理解の問題点が、不足分を勝手に補ってしまうことで
飛躍してしまう癖として表れます。
「地球上に衝突の痕跡がない」ということが何を示しているか?
…この問いを考えたときに、混乱してしまうんです。
『衝突した物体は蒸発してしまった』と考えるのが
論理的に正しくないことが、すぐに理解できません。
火星サイズの天体が地球に衝突した。
中心近くまで巻き込むように削り取って爆発して
多くのものが粉々になり、熱で蒸発して、チリやガスとして舞い上がった。
舞い上がったほうが月になり、地球はその後に今の形に変化した。
そういう流れが頭の中に浮かんでしまって
『衝突した物体は蒸発してしまった』ということが
正しい説のように思えてしまうんです。
しかしながら、「地球上に衝突の痕跡がない」こととは
直接的に結びついていません。
僕の頭の中では、
衝突したものが飛び散って蒸発してしまったから
その部分を埋めるように地球が復元されて、今の球体になった
という流れが浮かんでいます。
痕跡はないわけです。
それに、もし蒸発していなかったとしたら、
ぶつかってきた天体が地球上に残り、球体じゃない形になったかもしれないし、
それが球体に復元されたとしても、衝突してきた天体の残骸が見つかると想像します。
ところが、その考え方は直接的ではないんです。
『復元されるような時期だったから』という考え方が抜けています。
今の地球に火星サイズの天体が衝突したら、どうなるか?
という部分です。
同じように大爆発が起こり、地球は大きく欠けたようになり、
どれくらいの単位かは分かりませんが、再び球体になるかもしれません。
ただ、地表が残った部分と、持っていかれた部分では差が出る可能性があります。
その後の地球を調べられる誰かがいたとしたら、
何かしらの衝突の痕跡が見つかるんじゃないだろうか、と想像できます。
一方で、今の地球には衝突の痕跡が残っていない。
ということは、衝突の跡が完全に分からなくなるぐらい
地球の形がリセットされたという考え方になります。
そして、それが可能になるのは、まだ地球が今のように出来上がっていない時期。
つまりドロドロの原始地球のとき、ということです。
まだ固まっていない時期の地球に別の天体が衝突して
大部分が飛び散ってしまったとしても、
そこから地球は今の形になるためのプロセスを始めていきます。
出来上がったものは、何事もなかったかのように均一になる、と。
なので、『衝突の痕跡が無い』ことが示しているのは
「衝突は地球誕生の時期に起きた」という説になる。
少なくとも、
「衝突した天体は蒸発してしまった」
「衝突は地球誕生の時期に起きた」
という2つの選択肢で、どちらがより論理的かと問われたら
「衝突は地球誕生の時期に起きた」のほうになるわけです。
この辺の区別が僕には非常に難しい。
僕だけではないかもしれませんが、情報を補いながら話を理解してしまうと
こういう丁寧な論理展開を理解するのが難しいようです。
言葉が示している内容に、多くの補足情報を追加しながら理解していると分かります。
言葉の内容だけしか取っていなければ、足りない部分に気づけるんです。
こうした勝手な補足がキッチリした論理展開を妨げているように思います。
理系とはいえ、数学や物理に進まなかったのも
この辺りの考え方の癖に関係しているのかもしれません。