2010年10月28日

11月の勉強会

11月の勉強会のお知らせ


 最初に言いますが、今回のテーマはコミュニケーションにおいて本質的です。
 全ての人に役立つ技術です。



世の中には「どうして、そんな言葉が出てくるんだろう?」というほど
人の心に響く言葉がけをできる人がいます。

僕のイメージするコミュニケーションの達人たちは
あきらかに、その特徴を持っています。

実際には、様々な技法を学びに行った方々ですが
体系化された技術そのものは、ある程度のトレーニングで身につくと感じています。

しかし、
あの言葉が生まれる瞬間に関しては
講座の内容とは別に、衝撃的な印象が残ります。

その一言でクライアントの表情が変わる。
姿勢が変わる。
場の空気が変わるんです。

前に進む力が生まれるような瞬間。

一見すると本当に些細な「あぁ、それは苦しいですね…」という一言から、
「皆には分からないところで、ずっと一人で支えてこられたんですね」、
「○○さんの会社を辞めていくなんて、もったいないですねぇ!」などと
相手の状態・状況に合わせて選ばれる複雑な言葉まで、
その人の求めていた何かを埋めるようなメッセージが語りかけられます。

この一言が、その後のコミュニケーションの展開を変えるんです。

他のどの技術よりも本質的で
何よりも効果が大きく
圧倒的に難しく
より良いものを求めれば上限のないもの。

ここの技術の差が、コミュニケーションの展開を分けるとも言えますし、
あらゆるコミュニケーション技術の集大成が、ここに表れるとも言えるでしょう。

『ねぎらい』
です。

今回は、この「ねぎらい」をテーマにします。
少しハードルを上げましたが、トレーニングは丁寧に行います。


「ねぎらい」は、英語には対応しにくい概念の1つです。
「 appreciation 」は「評価」や「感謝」に近い。
「 verbal reward 」は「言葉の報酬」ですから
 「よくやってくれた」というような言葉でしょうか。
「 back-patting 」は「激励」や「同意」に近いものですが、
 単語の意味から察すれば、背中をポンポンと軽く叩いて
 慰めや応援をするイメージが浮かびます。

実際には、日本語においても「ねぎらい」というと、
上司がチームの仕事の成果や一年間の頑張りを「ねぎらって」
食事につれていったり、「よくやってくれた!」と声をかけたり、
といったイメージが強いところもあるかもしれません。

しかし「ねぎらい」という言葉が使われる範囲は、もっと広いことがあり
なかなか一口には説明しきれない概念になっているように思えます。

まず、今回の勉強会では、この「ねぎらい」の範囲を整理します。

「ねぎらい」によって何が起こり、
どのようなメッセージが「ねぎらい」に当たるのか

それを知ることで、意識的に「ねぎらい」ができるようになります。

事実、自分は「ねぎらい」のつもりで言ったことが
相手にとって反感を買うという場面もあるんです。

誰かが言っていた素敵な言葉だから、誰にでも使えるなんてことはありません。
逆に失礼になってしまうことだってあり得ます。

だからこそ、何が「ねぎらい」になるのかを知っておくのが重要だというわけです。


勉強会の中でも解説をしますが
「ねぎらい」と「リフレーミング」には関係があります。
同じものではありませんが、関わりはあるんです。

最近の勉強会でも扱った「リフレーミング」ですが、
これまでに何度となく取り上げてきたことでも分かるように
コミュニケーションの技術として中心になるほど重要なものだと言えます。

「リフレーミングの言葉」をかけるにせよ
質問によって「リフレーミングが起こる」にせよ、
相手の変化にはリフレーミングが重要です。
必須とは言いませんが、重要です。

その一方で、どんなにリフレーミングをしようとしても
どんなに説得しようとしても、どんなにコーチングしようとしても、
「そうですよね…、でも…」と、堂々巡りになってしまうことがあります


それをセラピストは「抵抗」と呼び、
世間一般では「ヤル気がない」と言ったりする。
「本当は変わる気がないんじゃないか?」と

確かに、変わるのにはエネルギーがいります。
だからこそ、エネルギーを高めるのが大切なんです。

どんなに力のある人でも、一時的にエネルギーを失うこともあります。
そもそもエネルギーを高めることなく生きてきて、
自分のエネルギーに気づいてない方もいるでしょう。
深く傷ついて、立ち止まっているだけのエネルギーすら大変な場合だってあります。

その場合の、最大のサポートは
 エネルギーを取り戻してもらうように力づけをする
ということじゃないでしょうか。

それが「ねぎらい」の持つ効果だと言えます。

心の引っかかりを取り除く。
前に進むのを妨げる部分を解消する。
低下したエネルギーを補う。
力づけをする。
前を向けるようになる。
一歩を踏み出しやすくなる。

…どんな表現でも構いませんが、
変化の前提になる状態を作り出す関わり方が「ねぎらい」だということです。

「変化したい」状態になれば、それをサポートする技術は沢山あるんです。
その前に「変化したい」という気持ちになるほうが大変なんです。

コミュニケーションの達人とは
 「変化したい」気持ちにしてくれる人

なんじゃないでしょうか。

僕の見てきたコミュニケーションの達人が
見事な「ねぎらい」のメッセージをかけていたのは
そのことの重要性を知っていたからではないかと思います。


ちなみに変化ということでいえば、コーチングの場合は
前に進もうとするエネルギーの高さが求められます。

同時に、力がある人は、少しぐらいの傷つきやエネルギーの低下があっても
それを自分の意志で乗り越えて目標に向かって進もうとすることができます。

ですから、「ねぎらい」の技術を使わなくてもコーチングは機能しますし、
逆に言えば、「ねぎらい」がなくても大丈夫な人たちには
コーチングは有効だとも説明できるわけです。

コーチが「ねぎらい」の技術を持っていると
ヤル気を高める方向にも働きかけられますから
コーチングの技術を適用できる範囲が広がるはずです。

最初から「コーチングを受けたいです!」という相手には関係ないかもしれません。
ただ、組織の場合は状況が違います。
組織におけるコミュニケーションでは、ヤル気を高めるほうがむしろ重要でしょう。
組織にコーチングを導入したいのであれば、「ねぎらい」は欠かせないと思います。


もちろん「ねぎらい」は日常会話でも役立ちます。
むしろ、日常的なコミュニケーションの質は
「ねぎらい」が決めているといっても過言ではないかもしれません。

日常で話される内容は、特定の目的に向かってなされる建設的なものとは限りません。
日々の生活で起こる喜びやストレスが話題になることが多いものです。

変化のため、解決のため、目標達成のための話し合いじゃないんです。
そこには、もっと人として本能的な欲求があります。

それを満たすのが、まさに「ねぎらい」なんです。

ただ、上にも書きましたが、その技術は簡単ではありません。
本当に心に響く「ねぎらい」のメッセージを生むためには
コミュニケーションに求められる能力の多くが組み合わされる必要があります。

今回の勉強会では、「ねぎらい」を技術としてトレーニングするために
基本的な型と発想の生み出し方を練習してもらいます。

そして、それを活用するために求められる能力も
一緒にトレーニングしていきます。


以前にも「ねぎらい」を扱った回がありました。
そのときよりも、身につけるためのトレーニングを充実させられると思います。

輸入物のコミュニケーション技法には含まれない技術です。
日本人に大切なコミュニケーションだと思います。
海外にも輸出したい技術だと考えています。(英語の修業が必要ですが…)

自分自身、磨き続けてきたい技術です。

「ねぎらい」の技術があると、
 関係性を強い絆で結ぶことができます。
 カウンセリングの時間を短縮できます。
 コーチングを適用できる範囲も広がります。
 コミュニケーションの進行を促進できます。
 前に進むエネルギーを高めることができます。
 
トレーニングは実践的に行いますから、
「ねぎらい」の効果を自分自身で実感することも大切です。

ご自分が「ねぎらって」もらいたいような内容を準備してきて下さい。
ストレスがかかったこと、残念だったこと、困っていること、不満なこと…。

2010年も終盤に近づいています。
これまでを振り返って、ご自身をねぎらう時間にもなれば何よりです。

心のエネルギーを高める方法は、自分にも相手にも大切なものだと思います。

お越しをお待ちしております。



<ご参加に際しての注意事項>

※NLPの専門用語の説明などは省略するつもりですので、
 NLPなどに対する知識と経験のある方、もしくは
 過去に勉強会でトレーニングを積まれた方
のご参加をお薦めします。


※諸事情により資料作成にかけられる時間が限られていますので
 ご用意できる資料が不十分になってしまう可能性があります。

 その点をご理解いただいた上で、ご参加ください。



  ※最近は多くの方からお申し込みを頂いています。
   定員を設けていますので、ご注意ください。
   定員を超える場合には先着順での受付とさせて頂きますのでご了承下さい。


  ※勉強会の趣旨に関しましては、こちら(勉強会070725)をご覧下さい。


詳細は以下のとおりです。




【勉強会の詳細】


【日時】 11月23日(火・祝)

     ◆午前の部 10:00〜12:30  
     ◆午後の部 13:30〜16:30


     ★午前のみのご参加も可能です。(理論の全体像は午前に扱います)
      「午前」あるいは「両方」でお申し込み下さい。



【場所】 滝野川会館 301集会室
    (JR京浜東北線・上中里駅 東口より徒歩7分)
    (JR山手線・駒込駅 北口より徒歩10分)
    (東京メトロ南北線・西ヶ原駅より徒歩7分)


【参加費】当日、会場にてお支払いください。
     
     ◆午前の部 ・・・4,000円
     ◆午前・午後の両方 ・・・7,000円

    
    
テーマ: 『ねぎらいの技術』


 *多くの方にご興味を抱いて頂けるようになってきましたので、
  学びの密度を考えて、一定数で募集を打ち切らせていただくことがあります。
  ご了承ください。




ストレスの多い世の中のようです。

人それぞれ、違った形で頑張っています。

何を頑張っているかも人それぞれ違えば、
何を頑張っていると評価するかも人それぞれです。

自分で頑張っていることが、
他人からは「頑張っている」と評価されない。
そんなことは頻繁にあるものです。

頑張っているというのは、「大事にしたい」と言い換えても良いでしょう。
自分にとって欠かせない部分と関係するから頑張るわけです。

分かってくれる人は少ないんです。

同じ志をもった人々が集まるのは、そこで共有できるものがあるからかもしれません。
お互いに「頑張っていること」「大事にしたいこと」を認め合える場なのかもしれません。

そういう人がいることは心強いものでしょう。
ありがたいことだろうと思います。

ですが、そんなに頑張っている自分を
一番分かることのできるはずの人が、
そのことに気づいていない場合が多いんです。

自分です。

自分が自分の頑張りを分かっていない。
自分が自分の大事なことを分かっていない。

自分が分かっていない状態でコミュニケーションがスタートするんです。
自分で気づけていないところに期待しているものがある。
相手からのメッセージを期待しているのに、気づいていないんです。

そして、それが相手から得られないことに不満を高める。

しっかりとコミュニケーションのトレーニングを積み
「ねぎらい」の技術を磨いた人だとしても、
自分自身さえも気づいていない本心からの期待に沿うようなメッセージは
なかなか簡単にかけてくれるものではないようです。

かけてくれても、100%は満たされないかもしれません。

何より、メッセージをかけようとする側だってストレスを抱えているんです。
本人のことを差し置いて、誰かのためだけに努力を続けるのも大変でしょう。

だからこそ、自分自身が、頑張っている自分を
他の誰よりも「ねぎらう」ことができるようでありたいと思うんです。

上手に「ねぎらい」の言葉にできなくてもいい。
頑張っている自分に気づくだけでいい。

「誰も気づいてはくれないけど、ここは頑張っている。
 本当は、ここを分かってもらいたいのかもしれない。」
そんな部分を意識できるようになるだけで、
自分が自分の頑張りを認められるようになるんじゃないでしょうか。

「ねぎらい」の技術を学ぶということは
誰か他の人を「ねぎらう」ことだけを意味するのではないわけです。

他ならぬ自分にも気づけるようになる。
自分の中の分かってもらいたい気持ちにも気づけるようになるはずです。
それだけで楽になる部分があるものです。

それもまた、「ねぎらい」を技術としてトレーニングする価値の1つだと思います。

だからこそ、お忙しい方にも、ちょっと無理をしてでも来て頂きたいのです。


終了しました

トレーニングには色々あります。
無意識にアプローチする手法であれば、一度の取り組みで効果が出る場合も多々あります。
一方、話術や聞く技術のように、地道なトレーニングによって効果を発揮するものもあります。
この勉強会では地道なトレーニングが主体と考えていただいて良いかもしれません。


是非、お互いの頭を上手く利用し合いましょう。

今後、参加者のご様子を伺いながら、徐々にクローズドな会合にしていく方針です。
ご興味がおありの方は、お早めに一度ご参加下さいますことをお勧めいたします。


また、お気軽にお友達やお知り合いをお誘いいただけると喜ばしいです。
学びの幅が広がるとともに、勉強会が新たな学びの機会となっていただけることを
心から願っているためです。


【その他のご連絡事項】
ご自分の学びのアウトプットとして、勉強会で発表したいことがある方は
申し込みフォームの「ご意見など」の欄にご記入ください。
お時間などの相談をさせていただきます。


勉強会の最中には、質問をお気軽にドンドンして下さい。
話題を遮っていただいて構いません。

その時によって、どんな情報が関連して出てくるかは分かりません。
質問に答える側としても、その時間は非常に有意義なものです。

また、テーマに関して事前にご関心の強い点がありましたら
申し込みフォームの「ご意見など」の欄にご記入ください。

調査して勉強会にあたります。



それでは当日お会いできることを楽しみにしています

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【場所】 
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【日時】 
  2019年6月22日(土)

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  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
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   JR王子駅より2分
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《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
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   JR上中里駅より7分
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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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