2010年10月31日

歌手の発音

最近の歌手の中には、海外育ちだったり、海外経験が長い人たちが結構いるようです。
リズム感や発声の仕方、表現方法など、純粋な日本育ちの歌手とは違いを感じます。

逆に、日本育ちで「英語は全く…」という歌手であっても
洋楽をカバーしたりすると、綺麗な発音で歌える人も沢山います。
知らないで聞くと洋楽かと思ってしまうほどだったり。

まぁ、丁寧に聞いていくと変なところがあったりしますし、
同じ歌手が、自分の曲の歌詞の中に英語のフレーズの出る部分を歌うと
途端に英語的ではない発音になったりしますから、
やっぱり海外育ちの歌手とは違いがあるのは分かります。

それでも重要なのは、音楽をやっている人、
特にプロの歌手のように歌うことを専門にしている人は、
自然と綺麗な発音で洋楽を歌える、という部分です。

耳が良いとでも言いましょうか。
自分の歌をコントロールするためには、自分の声を聞く必要がありますし、
「こうやって歌う」というイメージを理解するために違いを聞き取る能力も必要でしょう。

その辺りの聞く能力と合わせる能力が、英語の音に対しても活きると考えられます。

だから洋楽をカバーするときには、元となる曲がありますから、
そこから音の情報を聞き取ることができて、正しい発音に近くなるように
工夫しながら発音していくこともできるわけです。


この「聞いて、真似をする」というシンプルなプロセスが
幼児期の言語獲得には当然含まれているはずですが、
大人がやろうとすると中々難しいところがある。

シャドーイングと呼ばれる練習方法は、ネイティブスピーカーの英語を聞きながら
それを陰で追いかけるように、自分も一緒に発声していくやり方で、
真似をするという意味では役に立つところがあります。

感の良い人は、シャドーイングでリズム感やイントネーションなどを
自然に身につけられるかもしれません。

しかし、シャドーイングでは自分の発声している声を聞きにくいという
デメリットがあるのも事実です。

自分の声をモニターできない。
すると、自分の発声や発音があっているのかどうかが分からないわけです。

かといって、自分で文章を音読してみたとしても
やっぱり見本となるものがないので発音に注意するのは難しい。

カラオケの場合は、ガイドメロディというのが含まれていますが、
プロが歌うときはBGMだけでガイドメロディがないので
同じ歌であっても難しさが違う、というのと似ています。

少し前のシングルCDだと、「インツルメンタル」とかいって
歌の入っていないBGMだけが収録されていました。
それだと合わせる目標やガイドラインがないので
カラオケよりも歌うのが難しいということです。

音読ではガイドメロディがない。
シャドーイングでは自分の声が聞けない。

歌の上手い人は、どちらも自分でやれる傾向があります。
ガイドメロディを記憶から再現して頭の中で聞くことができて、
自分の歌声がガイドメロディと合っているかを聞き分けることもできる。

それがあると、英語の音を真似していくのにも効果があると考えられます。

歌が得意な人のほうが、英語の発音は綺麗になりやすい、と。


日本で習うときも、発音の言語的な研究をしているネイティブスピーカーであっても
口の開け方とか、舌の位置とか、そういう指導の仕方が多いようです。

これも一理ありますが、効果は決して高いとは言えないと思うんです。

まず自分の口の中の様子をモニターするのが難しい。
そのように口を使っているつもりでも、図で示されている使い方と一緒かどうか
判別する方法がありません。
鏡だけでは口の中まで見えない。

なので、英語の分かる人に、音の練習で善し悪しを判別してもらうとき、
彼らは形云々じゃなくて、結局のところ発音された音を元に判断しています。

練習する側が意識できるのは、形をイメージしながらの筋肉の様子になる。
指導は形という見た目で入り、練習は体感覚を想像しながら、判断は音。
この基準がバラバラになっていることが1つの問題でしょう。

もう1つの理由は、1つの音だけで練習をしていても
実際に単語や文章の中で発音される時には例外的なものが出てくるということ。

発音記号が正しく読めて、発音記号だけで音読ができれば
正しい発音に近く練習していくことも可能かもしれませんが、
通常の文章は英単語で書かれていますから、
結局スペルだけでは分からない音の様子を把握する必要性は残ってしまいます。

だったら、最初から英単語ごとにネイティブの発音の仕方を習ったほうが
効率的に音を抑えていけるんじゃないか、と考えられます。


どうやったらネイティブと同じ発音ができるか。
それだけを基準に練習していくのが、発音を綺麗にする方法かもしれません。

その意味では、録音しながら元の音をCDなどで流して
それに続いて自分の発音を録音して、両方を聞き比べる、
というやり方が効率的だろうと思います。

まぁ、ここでも違いを聞き分ける能力が問われますから、
本当の意味で、一人だけでできることには限界はあるとは思います。

この違いを聞き分ける能力も、やはり音楽的な素養と関係するので
プロの歌手が発音良くカバー曲を歌える理由も納得できる部分です。

いずれにせよ、何かを自分でコントロールできるようになるためには
目指すべき基準と、それをモニターする方法の両方が
効果的である必要があるということです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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