2010年11月02日

我流の限界

前に英語の発音の向上について書きましたが、勉強している中で
自分がいかにできていないかに気づかされるときがあります。


僕自身は学習やトレーニングの過程において
できるだけ細かく意識をしていくようにしていますし、
そこから得られるフィードバックを活かすように心がけています。

体育に関していえば、走ったり飛んだりというシンプルな運動が苦手で
逆立ちとか道具を使った競技とかのほうが上達が早い傾向がありました。
野球とかゴルフとかは集中的に取り組んだ時期も少しだけあります。

野球に関していえば、モノマネが好評で、大学時代には
相手チームからモノマネのリクエストが出ることもありました。

面白いもので、モノマネをするというのは打ち方を変えるということですし、
体の使い方やバットの運動のさせ方を変えることになりますから、
結果として得られる打球の質というのも変わってくるんです。

運動とは離れますが、最近では書道をやっていますので
これもまぁ、筋肉を最適にコントロールするという意味では
フィードバックを活かしながらトレーニングを進めるタイプの作業と言えます。

楽器は本格的に取り組んだものがないので何とも言いにくいものの、
芸術の類は、自分では結構な得意分野だと思っています。

…どれも器用貧乏というヤツで高いレベルではありませんが。


どのような作業においても、単純な筋力アップを狙うものではなく
作業の質を向上させていくような場合には、
「自分のしている作業と、それで得られる結果」との関係を
フィードバックさせていくことが求められます。

どうすれば上手くいくか?を自分なりに学んでいくわけです。

このときに、どれくらい細かい要素でフィードバックしようとするかは
個人の好みによっても変わるところがあるようですが、
僕自身は、できるだけ詳細にフィードバックできることが
パフォーマンスを安定して向上させることに役立つと思います。

例えば「どうすれば野球でヒットが打てるか」を考えたときに、
ある人は「赤いパンツをはいているとヒットが良く打てる」という関係性から
「試合の日には赤いパンツをはく」というゲン担ぎに進むかもしれません。

イチロー選手は、そこを常人では考えられないほどに細かくフィードバックをして
細かい体の使い方だけでなく、野手の位置とピッチャーの投げるボールに合わせて
「ヒットになる」ための要素を意識しているんじゃないかと予想します。

僕の書道の先生は、他の書家が意識しないでやっているだろうことを
自分は意識しながらコントロールしているという話をしていました。
だからこそ、僕のようなタイプは、その先生から得られるものが多いんですが。

一方、僕が心理やカウンセリングを習っている先生は
まさにセラピー的な技法において達人的なパフォーマンスを発揮しますが、
その解説では「なんとなく」、「浮かんできたから」、「分からない」ということも
頻繁にあります。

「どうすれば的確なリフレーミングができるか?」という質問にも
「『本当にクライアントにとって、どういうことが役立つだろうか?』と
心をこめて考えていると浮かんでくる」と答えていました。

こちらの先生は、意識的に心がける要因が少ないけれども
圧倒的な経験と努力の裏付け(才能というのもあるでしょうが)によって、
自然にできてしまうというレベルにいるんだろうと思われます。


どれくらい意識しながらトレーニングを進めるかというのは
結果さえ良ければ問題にならないとも考えられます。

ただ、注意すべきは「結果さえ良ければ」という部分です。

自分がやっていることの中に、望ましくない結果に結び付く可能性の高いものがあれば、
それを改善することのメリットはあると思うんです。

特にパフォーマンスを向上させるという意味においては
望ましくない結果を導きやすい要素は改善したいところでしょう。

もちろん、心がけの仕方として
「どうすればもっと上手くいくか」という視点と
「何が問題で、どこを修正すべきか」という視点があるとは思います。

ですが、この2つは本質的に同じところを見ています。
注目する人の気持ちの問題が大きい。

「どうすればもっと上手くいくか」と考えたほうが
自信を損なわずに改善に向かうことをしやすいメリットがあります。

ただ、そもそも向上心のある人は、ベースとしての自信が高い人の場合は
問題点に意識を向けて、「意地でも改善してやろう」という気持ちになることが
大きなモチベーションに繋がることもあります。

本人の気持ちのコントロールの問題なわけです。
重要なのは
・良い結果に結び付いた要因は意識的に続ける
・悪い結果に結び付いた要因は改善できるように変えていく
というシンプルな2つの方針に集約されます。

その意味で大切になってくるのは
・何が良い結果であるかを判別できて
・その結果を生むためのポイントを意識できて
・何が効果的か/どのときが上手くいっているのかを知ることができる
ということでしょう。

つまり、自分のしていることが上手くいっているのか
上手くいっていないのかが分からないと上達には限界が来る可能性がある
という話になります。

だからこそ、客観的な視点というのが役立つんです。
そこに専門的で、高度な判別能力が加わると、その意味は更に大きくなる。


僕は自分のパフォーマンスをできるだけ細かく判別しながら
素晴らしい結果を出している人と要因を比較することを良くします。

英語の発音の場合においては、どうしたら同じように発音できるかを
色々と自分なりに工夫してやってはいるつもりです。

それでも盲点が出てくる。

自分では気づかない「できていない」部分が沢山ある。
それを指摘してもらえるというのは非常に重要だと感じています。

日本語で学んだことが癖として反映されているところもあるんだと思いますが、
例えば、1つの単語の中に複数の音節があるとき、僕は
全ての音節をそれなりの音の強さで発生してしまう癖がありました。
(多分まだあると思いますが…)

「 conduct 」「 contribute 」「 conputer 」などの「 con 」は
いずれもアクセントがない音節ですから、実際の発音としては
非常に母音が弱く、子音だけしか聞こえない感じになるそうです。

確かにネイティブは「クンピューラ」のように発音します。

アクセントの無い部分の母音は、ほとんど省略されるもの。
そういう発想がなかった僕は、日本語感覚で全ての音節を一応の音にしますから
アクセントのある位置は強調したとしても最初の「 con 」を
「コン」に近い音ととして発音する癖を持っていたんです。

これに関しては、自分の中に判断基準さえ無かったですから
ネイティブのを聞いていて、自分で練習しているつもりでも
自分の発音がネイティブと違っていることには全く気づいていませんでした。

もしかすると、ビデオに録画したり、録音した自分のスピーチを聞いたら
気づけた可能性もあるかもしれません。

ですが、自分のだけを聞いていたら気づけなかったと思います。
同じ文章をネイティブが発音しているのと、自分が発音しているのを
録音された音声として客観的に比べて、やっと気づけたかどうかでしょう。

自分の中に「上手くいっているか」どうかの判断基準さえ無い場合には
それを改善することさえ難しいということです。

だからこそ、そこはスパッと指摘できるレベルの人に教わったほうが早い。


ちなみに、言語習得に関していえば、英語を自然に使えている人であっても
たとえばフィリピン人の英語の発音とインド人の英語の発音、
中国系シンガポール人の英語の発音でも、アメリカ人とは違いがあります。

イギリス、アメリカ、オーストラリアでも違いがありますが、
その中で使われないものは、正確ではない発音として捉えられるのが現状のようです。

なので、フィリピン訛り、インド訛り、ということになるのでしょう。
イタリア人の英語は極端にアクセントが強いですし、
ロシア人の英語は、やっぱりロシア語っぽい訛りの雰囲気があります。

そういう意味では、日本人っぽい英語の発音の訛りがあっても
コミュニケーションには支障がないという考え方もあるはずです。

国際的に活躍する日本人でも、決してアメリカ人のような発音ではないけれども
英語を使ってコミュニケーションをしている人たちは大勢います。

どこを目標におくかという視点が欠かせないわけです。

草野球で楽しく試合ができれば良いのであれば問題のない癖も
プロ野球で活躍していくためには改善すべき重要なポイントになり得るかもしれません。

目指すレベルによって改善していくものは変わります。
目指すレベルが高いほど、的確な指導が役に立つわけです。

そして超一流になると、他人の指導では判別できないところにいく。

超一流になるからには、上手くいくための判断をする能力さえも超一流なんでしょう。

超一流になる前には、我流では気づけないところを改善させてくれる
効果的で客観的な判別基準が効果的だと思います。

cozyharada at 23:09│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 全般

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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