2011年01月26日

奇妙な動き

お台場、日本科学未来館で『テオ・ヤンセン展』が開催されています。

テオ・ヤンセン( Theo Jansen )はオランダ人のアーティスト。
『ビーチ・アニマル』と彼が呼ぶ、ヘンテコな作品を作っています。

今回、その作品群が日本に来ているというので見に行ってきました。


「ビーチ・アニマル」というのは、テオが作りたかった海辺の生物なんだそうです。
風を「食べて」生きる、と。

現実的な言い方をしてしまえば、風力を回転エネルギーに変えて
回転軸の周りにつけた「足」の構造が歩くような動きをするので
結果的に動くことができる、ということ。

で、どの「生き物」も骨格標本のような全体イメージの中に
沢山の足がついていて、それがワシャワシャと一度に動くので
見ていて面白いんです。

足は中心となる回転軸の周りに沢山ついていますから
足の数を増やすと形は細長くなります。

テオ自身は、その細長い方向に形の差をつけて、
頭っぽい構造物と、尻尾っぽい構造物を作っているので
パッと見た印象としては、頭と背骨と肋骨と尻尾がある骨格標本のようなイメージです。

しかしながら、その形からくるイメージに反して
足は背骨を軸にした回転運動によって動くために
頭と尻尾からなる前後方向ではなく、左右方向に進むことになります。

まぁ、ハッキリ言えば、頭と尻尾は完全な飾りなんです。

動画で見る限り、前後に進んでいるように見えるヤツもいますが、
日本に来ているのは、なぜか横歩きバージョンばかりみたいです。

言葉で言ってもイメージしにくいところもあるでしょうから、
YouTube で「テオ ヤンセン」と検索して動画を見てもらうと良いかもしれません。

かなり沢山の動画があります。

僕のオススメは、これ

16秒から23秒ぐらいに出てくるデカイやつが楽しいです。
沢山の足が奇妙に動く様がコミカル。

ゆっくりながら重厚感があって、いかにも動物っぽいのはコイツ

とてもスムーズに見えます。


動作的にいうと、あの足の動きは非常によく計算されていて
なんだか少し、モデル歩きみたいに見えたりしますが、
接地面で高さをキープできるのは重要なポイントじゃないでしょうか。
それによって支えているんだと思います。

実際、展示会の中では、その足の構造をどのように決めたかが解説されています。
なんでもコンピューターで計算したとか。

とはいえ、構造のアイデア自体は、テオ・ヤンセン自身が考えて、
各パーツの長さの比率をコンピューターで最適化したということでしょうが。

『テオ・ヤンセン展』では、実際にデモを見ることもできます。
ワシャワシャと進むところが見られる。

展示されている全てが砂で汚れているので
文字通り「ビーチ・アニマル」として海辺に置いていたことが伺えます。

動きを見せてくれるのは、そのうちの2体ぐらいらしく
圧縮空気を動力源にしたタイプでした。

で、肝心の動きなんですが、これがチョット期待外れ。

動画で見るとスムーズに見えますが、実際はギシギシと音を立てながら
ところどころ引っかかりつつ動きます。

大型の構造に対して中心骨格が貧弱なようで、すぐに歪みが出ていました。
1つ1つの部品も手作りですから、決して精密とは言えない感じ。

歪みがスムーズな動作を妨げ、ギクシャクした感じは否めませんでした。
少しガッカリ。


なんでも20年ぐらい、作り続けているんだとか。

芸術といえば芸術かもしれないし、科学の要素もあるのでしょうが、
楽しいことを除けば、かなりバカげた話だと思います。

それを本気になれるのは、スゴイものだと感じます。

「バカバカしい」と純粋に楽しい気持ちから笑えることを
一生懸命やっている人たち。
僕は、そういう人をとても尊敬しています。

僕の中で「役に立つかどうか」は重要な基準の1つです。

その意味でいうと「無駄」なことというのは
人生において、かなり「役に立つ」ことなんです。


日本科学未来館は、たしか例の「仕分け」騒ぎのときに対象に入っていたはずです。
ニュースで見た記憶があります。

僕が科学未来館に行ったのは、8年ぶりぐらいでしょうか。
変わらないものもあれば、変わったものもありました。

最先端の科学知識が反映されるところと、
基礎的な知識として変わらないところと両方がある。

非常に勉強になる施設です。
中学生以下には厳しいぐらい。

分かりやすく、詳しく、見ごたえがあります。
頻繁に行くところではないでしょうが、面白い場所です。

そのように感動や好奇心、楽しさなど、人の「興味」をひくものに対して
「無駄」を省くための仕分けをするのはナンセンスな気がします。

そんな仕分けをするために時間と労力をかけているほうが無駄だと思います。

クリエイティブなものは無駄の中から生まれることだって多いはずです。

面白い。
楽しい。
そのこと自体が素晴らしいんじゃないでしょうか。

見た人が一様に「オー…」と歓声をあげる。
見た人が一様に「はぁー…」と息をもらす。

そのあたりが物語っていると思うんです。

cozyharada at 23:01│Comments(0)TrackBack(0)clip!全般 | NLP

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード