2011年02月04日

とっておきのコツ

思い出したので忘れないうちに。

僕がカウンセリングやセラピーを通じて重視していることの中に
「クライアント自身が持っているパターンを利用する」というのがあります。

クライアントのリソースを利用する、とか
必要なリソースは全てクライアントが持っている、とか
色々な言い方がされますが、僕の重視しているのは心構えではなく
技術としての流れのことです。


2つに分けると、人にとって何かを変えるときには
「新しい方法でやる」か
「今までに馴染みのある方法でやる」か
のいずれかです。

細かく見ていけば、「今までにやったことがある」ものの中に
馴染みの程度(経験の量)と、効率(得意/不得意)の違いが出てきますが、
「過去にやったことがあるか、ないか」の視点からすれば、2種類しかありません。

これはチョットややこしいですが、
「新しいことを取り入れる」ときにも
「今までに新しいことを取り入れるときに使っていた方法」か
「今までとは全く違う新しい取り入れ方」か、に分けられます。

逆に、今までの方法を変えるときにも、
「今までの方法を変えるために、今まで使っていた方法」か
「今までの方法を変えるための方法として新しいやり方」か、のいずれかがある。

どのレベルにおいても、本人が良く使っていて得意な方法があるので、
全く新しい方法を試みるよりも、馴染みのある得意な方法を使ったほうが
効率が良いだろうという話です。


例えば、一時期ハマって、毎日のようにやっていた趣味が
あるときからピタッとやらなくなる、というケースがあります。

そのときに、どういう手順で「やめる」ことになるのか、は
人によって違っているものです。

反対に、あるときから急に何かに熱中して習慣化していくものもあります。

そこにも人それぞれの手順がある。

それが「馴染みがあって」「得意な」やり方であり、
「クライアント自身が持っているパターン」なんです。

これを利用してやるのが1つのコツなわけです。

仮に、毎日ジョギングをしようと決心したつもりでも
いつも三日坊主で終わってしまう人が、それを習慣化したいのであれば、
その人が何かを習慣化するときの手順(パターン)を利用すれば良い、と。


ところが、多くのセラピーの技法などは
技術として汎用化していくために手順を決めてしまっています。

その手順が、クライアントの使っている変化の手順に近ければ
短期間で効果を上げることが可能でしょう。

しかし、その手順がクライアントに馴染みがなければ
それを繰り返しても実感すら得られないと考えられます。

NLPの「スキル」や「ワーク」と呼ばれるものもそうです。

手順に沿ってやれば、そこそこの効果が出るように作られている。
その分、あるクライアントにとっては重要なことが軽んじられたり、
逆に重要性の低いことを丁寧にさせていたりします。

まぁ、どちらかというと万人向けを志向するほど
必要のない作業が増えてくることになるようですが。


NLPの中で本質的で重要にもかかわらず
丁寧に扱われていない印象があるのが「サブモダリティ・チェンジ」です。

特に、望ましくないパターンを変えるための技術として応用されるケース。
ここがかなり一般化され過ぎている印象を受けます。

望ましい体験をサブモダリティ・チェンジで強化するのは
それを実感すること自体にポジティブな効果がありますから
あまり細かくカスタマイズしなくても大丈夫でしょう。

しかし、望ましくないパターンを変えるときに重要なのは
それが「変わる」ことです。
効果が出たと判断されるのは、楽になったかどうかが基準になるものです。

その意味では、効果を出すためのカスタマイズが重要だと思います。

にもかかわらず、「サブモダリティ・チェンジ」と呼ばれるワークや
「マップ・アクロス」と呼ばれる手法、
それらを特定の目的に応用したスキルなど
ほとんど全てが簡略化され過ぎています。

1つの前提に立っているんです。

『サブモダリティを変えれば、プログラムが変わる』

僕は、この考え方には反対です。

正確には『サブモダリティが変われば、プログラムも変わる』です。

意識的に「変えた」場合と、自然に「変わった」場合では意味が違うんです。

確かに、プログラムが変わったときには、そのサブモダリティも変わっています。
だから『サブモダリティが変われば、プログラムも変わる』わけです。

そうだからといって、逆も成り立つとは限りません。
プログラムが変わるときにはサブモダリティも変わっているのだから、
逆に、サブモダリティを変えればプログラムも変わるだろう…
その発想は必ずしも成り立たないはずです。

実際、経験からすると成り立たないことが良くあります。

だからこそ、プログラムが変わるときのパターンをクライアントに合わせる必要がある。

これを分かっていたかもしれないのは、
スティーブ・アンドレアスぐらいじゃないかと僕は思います。
彼の文章を読む限りでは、それを理解して作った手法があると感じます。

ただ、そのスティーブ・アンドレアスでも、そうではない発想、つまり
『サブモダリティを変えれば、プログラムが変わる』の前提で
作り上げている手法が沢山見受けられます。


何かの手法を学ぶとき、その前提になる理論も含めて
全てを信じて取り組める人がいます。

そういう人は「効果がある」と信じてスキルを使うでしょう。
これで上手くいくはずだ、と。
実感が無くても、無意識では変化が起きています…なんて説明もあるかもしれません。

一方で、自分自身に使ったときや、クライアントの誰かに使ったときに
そのスキルの効果が実感できなかったとして
「このスキルは使えない」とか「エビデンスがない」とか
役に立たないことの判断を下す人もいます。

それらに対して、基本的に僕の考えは、
「やったことそのものの効果はゼロではないが、効果の程度には個人差がある」
というものです。

説明の仕方や理論に対しても疑いを持ちます。
最も上手く理解できる説明を探します。

効果が出にくいケースに遭遇したら、その理由を考えます。
効果が出る人と、効果が出ない人の違いを説明しようとします。

それが、より説得力のある理論を作ると思うんです。


サブモダリティ・チェンジには、その効果を生み出す理論や仮定の中に
詳しく説明されていない部分があると考えています。

そして、そこに注目していくと、クライアント一人ひとりに
カスタマイズするための方法を整理することもできます。

それが、僕が注意を向けていた部分です。

技術として紹介するのを忘れていたんですが、
最近、それが意識に上がってきました。

今度、勉強会でテーマとして紹介します。

この方法を意識しておくと、原理的には何でも出来てしまいそうです。

なんでもかんでも気軽にできてしまったら充実感がない気がしますから
必要な時にしか使わなくはなると思いますが。

相当面白いと思います。
お楽しみに。

cozyharada at 23:24│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | セミナー情報

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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