2011年08月29日

世界の言語

ある言語学者が講演をしている動画を見ました。

なんでも、独立した言語は全世界で7000〜8000ぐらいあるそうです。

ところが、その大部分は狭い範囲に固まっている。

その分布図を見ると、地域的には、アフリカ、南米、東南アジアに多く、
赤道近くと山脈沿いなどの高地に集中しているようでした。

特に集中しているのがパプアニューギニアの島。
そこでは1つの島に1000もの言語が存在しているそうです。

4,500メートルも歩けば別の言語になるほどだとか。


その言語学者によると、そもそも言語の発生には
人類の祖先が持っていた「見て盗む」という模倣能力が関係していて、
これがあったから人類は他の動物と異なった発展をしたといいます。

チンパンジーは頭が良いと言いながら、使う道具に進歩がないのは
1頭の発案した技術を盗むスピードが遅いから、という考え方です。

人類の祖先は、その模倣の力が高かった、と。
だから加速度的に高度な技術を身につけていくことができた反面、
ある個体が見出した技術も、簡単に盗まれてしまうデメリットもあった。

自分の子孫を残していくためには、効果的な技術は
子孫や共同生活をする集落の中で限定しておいたほうが
都合が良かっただろう、というのが人類学的な考えだそうです。

そのためには、効率的に生存していける規模の集団の中で、
その中でだけ通用する特殊な情報伝達の手段を用意して、
偶然遭遇した別の集団には技術を盗まれないようにした、と。

まぁ、どれだけ目的をもって言語を生み出したかは別にして、
他の集団には理解できない方法で情報伝達を行い
有効な技術や情報を共有していた集落が生存競争を生き残った、
と考えるのは妥当だとは思います。

その名残があって、今でも個別の集落同士の交流が少ないような
限定された環境で暮らす集落では、特殊な言語が使われている
…というのが、言語分布が局在する根拠だという話でした。


この前提では、情報を共有するのは相互のメリットによるもので、
個別の集団だけの利益を考えるのであれば、むしろ
言語の壁は独自の知恵を守るためには有利に働くことになります。

しかし現代社会は、その言葉の壁を越えて、世界各国での交流が進んでいる。
つまり、情報を共有して世界全体としての利益を追求しようとしている、と。

その方向性においては、言語の壁はデメリットになり始めている、
というのが講演者の説明でした。

実際、EUにおいては、27ヶ国で23の言語が使われています。
そして会議のために、年間で10億ユーロの通訳費がかかっているそうです。

だからこそ、言語を1つにして、1つの世界にする。
それがこれからの方向性だ。
…そんな講演内容だったんです。


たしかに、言語の壁は大きいと思います。
そして、各言語には、背景となる文化もある。

その言語が重要に扱っている情報は、その文化において重要なわけです。

僕個人としては、そこで全ての言語を1つに統一するのは
もったいない気がします。

それぞれの地域で、それぞれの文化と歴史があって、
独自の思想と価値観を育んでくる。

そこには、地域ごと、言語ごとに、対極的なものさえあるでしょう。

例えば、欧米的な幸福の求め方として
目標を設定して、それを「手に入れる」達成感を重視する方向性があります。

その一方で、東洋的(日本的かもしれませんが)な方向性として
今ここにある幸せを味わう、というものもある。

優劣をつける必要もないでしょう。
むしろ、両方があるからこそ、それを統合した立場に進めるはずです。

それぞれの背景を生み出してきた過程には、
言語との関係もあるかもしれません。

様々な背景をもった人たちが関われるからこそ生まれる
新たな考えだってあるような気がします。

自分の言語、自分の文化をもった上で、
別の言語、別の文化を学ぶ。

それで比較できることもあると思います。

「真ん中」と「両方とも」は違うんです。

統合は「真ん中」を目指すことではありません。
相反するものも、「両方とも」なんです。

「両方とも」を成し遂げるには、
最初から「真ん中」にいたのでは難しいのではないでしょうか。

まずは最初に偏ったものを身につける。
それから、反対のものを受け入れる。

そのためには、言語においても全てが統一される必要はないかもしれません。
母語で培ったものを背景に、共通語を身につけていく。

その意味では、英語圏に生まれるというのは便利な反面、
 共通語を学ぶプロセスで得られる財産を期待できない
というデメリットも含んでいると言えそうです。

僕は、日本人として別言語に取り組みたいと思います。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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