2012年02月23日

学者の知らない世界

僕が学んできたコミュニケーション技術や人の心のメカニズムは
心理学以外の裏づけを重視しながら、かつ
自分自身と関わってきた人たちの実体験をベースにしているつもりです。

できるだけ
 「その人の中で今、何が起きているか」
を説明する努力をしてきましたし、
これからもその重要性は変わらないと思います。

しかし、そうすると実体験として
 「なぜか、こういうことが起こる」
 「なぜか、こういう風に体験される」
という主観的な実感の部分も重視されることになるので、
説明としては逆に、全く裏づけのないものになる場合もあります。

…まぁ、本当は説明できますし、それで全ての筋道が通るんですけど
その説明の仕方は他の分野では言われていないものなので、
だったら言わないほうが良いかも、ということになってきている状態です。

なぜ他の学問分野でも、心理学の分野でも、まして心理療法の分野でさえも
説明されない内容が含まれるのかというと、
それは多分、そこにいる多くの人たちが、その体験を実感したことが無いからでしょう。

現象そのものはスピリチュアルを好む人たちや
超常現象を好む人たちにとっては受け入れやすいのかもしれませんが、
その反面、学問的な立場を取りたがる人たちにとっては受け入れにくいと思われます。

そんなことが起こるなんて思ってもいないでしょうし、
技術的にも実感したことが無ければ、発想の中にさえ入らないはずです。

一方で、徹底的に心理臨床をやっている人、
特に「無意識の領域へのアプローチ」を重視している人の中には、
全く理論的な裏付けとは無関係に、体験として実感して利用している人もいます。

ちなみに、僕が知っている
「それ」を使っていて、「それ」を言葉にすることを躊躇わなかった人たちは
いずれもドップリとクライアントとの関係に身を置きながら
学問の世界とは距離を置いていた人たちです。

「なぜか、こういうことが起こるんですね。そういうものです。」
としか言いませんでした。


「それ」の典型が『ペーシング』です。

ペーシングというと、技術として相手のペースに合わせることを言うのが一般的ですが、
ここで言いたいのは、「ペースが物凄く合ってきたときに起こる現象」のほうです。

その意味では『ペーシング』というよりも『同調』という言葉のほうが正確でしょう。

人には、なぜか『同調』する性質があるという話です。

そして、この『同調』を利用すると、コミュニケーションの質が大きく変わります。
相手から受け取れる情報の量と質が大きく高まるんです。

ただ、その体験を実感したことがなければ
それを発想として持とうともしないでしょうし、
誰かがそのことを別の言い方で説明していたとしても
「学問的じゃない話だ」ということで一蹴してしまうかもしれません。

ですが、僕は幸いにも自分自身の体験を通じて、それを実感できました。
『同調』しているときと、していないときの区別がつくようになってきましたから
技術として利用できるようになったんだと思います。

多分、僕は元々、ある程度はその感性を持っていたんでしょう。
形態模写というかモノマネというか、相手の動作をコピーするのは
良く分からないけれど得意分野でしたから。

で、あるワークショップの最中に、『同調』している状態を
運よく実感することができたんです。

そのときのトレーナーから説明されていたのは
「ペースが合ってくると、内面的な気分や状態も同じになってくる」とか
「ペースが合ってくると、相手と同じ感覚が自分の中に起こってくる」
といったところまで。

そういうことがありますよ、と。
だから、自分の中の感覚的変化を吟味しましょう、と。

そのトレーナーは、
 どうすれば『同調』してくるレベルまでペースを合わせられるか
とか
 どの状態が『同調』しているレベルなのか
とかを教えてはくれませんでした。

ただ、僕は幸い、そのワークショップの中で
ある人との1つのワークを通じて『同調』をハッキリと実感できたんです。
それは驚くほどの違いでしたから、「こういうことか!」と思えたんです。

その違いが掴めれば、あとは精度を上げていくだけ。

それから一年ぐらいのセミナー講師経験で、かなり上達した気がします。

その後は、何が効果があったかは覚えていませんが
『同調』のコツみたいなことを言語化できるようにしてきました。

1つ重要だったと思うのは、あるクライアントとの催眠的なセッションの中で
「自分が強烈に、相手へと引き込まれていく」感覚を味わったことでしょう。

そのときに「この人は、他人を自分に同調させられる力が強い人なんだ」と感じました。

その状態は僕の目線から見ると、「相手に同調しにいく」ということですから
そのときの感覚的な体験の仕方を再現してやれば、
その方法が「同調のための技術」として使えるようになるわけです。

NLP的にいうと、「同調のためのストラテジー」を探し出した、と。

それは、いわゆる「ペーシング」として扱っているような方法とは別物でしたが、
スピリチュアルの好きな人は「○○体を見ているのね」と言っていました。
(ナントカ体って言っていましたが、覚えていません。)

ここでも裏を返すと、スピリチュアルな人たちが相手を直感的に理解したり
相手から色々な情報を得ていくプロセスとして使っている手法というのも、
コミュニケーションとして言えば「同調するのが上手い」という説明に変わることになります。

こうしたプロセスを経て、僕の中で「ペースを合わせて、相手と『同調』する」という現象は
学問的な分野での説明は無いものの、明確に実体験できて
技術として伝達できるレベルのものに変わっていった、ということです。


こんな風に、人に起こる現象を実体験と、心理学以外の裏付けで説明していくと、
逆に心理学で言われていた通説や、成功法則の中身なども
別の説明の仕方ができるようになっていきます。

集合無意識とか潜在意識とかいった曖昧な言葉で片付けていたものも
「人間の中で何が起きているか」という観点で説明することもできるんです。

すると、中身の違うプロセスを複数ひっくるめて説明してしまっていることにも気づけ、
結果として「この説明はあり得る」、「こっちの説明は拡大解釈になっている」といった
違いの部分にも目がいくようになってきます。

なので僕の中には、曖昧な心理学や成功法則、自己啓発の手法などに関して
「この部分はあり得るけど、こっちは人によって違う」とか
「その説明の仕方は原因と結果の順序が逆になっている」とか
色々な反論の種が揃っているんです。

そうした反論は、「できる限り学問的にしよう」という立場の説明に対しても
同じように生まれてきます。

例えば心理学では、色々な個性や傾向を
「遺伝的な要因が強いのか」、「環境的な要因が強いのか」
といった観点で見ようとするケースが良くあります。

そこで使われる手法が、双子の調査。

双子に対しても、一卵性と二卵性で調べ分けるんです。
さらには、同じ家で育ったか、片方が別の家庭で育ったか、なども範疇に入る。

つまり、ある傾向を一卵性双生児が二人とも持っている頻度と
二卵性双生児が二人とも持っている頻度を比較して、
一卵性のほうが高かったら「遺伝の影響が大きい」と結論づけるわけです。

また別の家で育った一卵性双生児が、その性質を二人とも持っている頻度が高くて
同じ家で育った二卵性双生児が持っている頻度が低かったら、
もっと「環境の影響よりも遺伝の影響が強い」と結論づけることになります。

ただ、僕の印象からすると「遺伝の影響も強い」という結論が非常に多い。

言い換えると、
「同じ家庭で育った二卵性双生児が二人とも、この性質を持っている頻度のほうが
 別の家庭で育った一卵性双生児の場合の頻度よりも高い」というケースは少なそうだ
ということです。

「遺伝よりも環境要因が強い」というデータが少なそうなんです。

で、この結論が出ている理由に「双子を使っている」という部分が関係すると思うんです。

確かに、一卵性双生児は遺伝子が100%一緒です。
二卵性双生児は、普通の兄弟程度の一致度です。
その意味で、遺伝の影響を評価するのに、一卵性と二卵性の双子で
違いを見ていくというのは”一見すると”理にかなっているように思えます。

でも、それは『同調』ということを知らないから。

心理学をやっている人たちは、まさか『同調』するなんて思ってもいないでしょう。

一卵性双生児で一致しやすいのは「遺伝子の影響だ」って
結論づけたくなるもの無理はありません。
『同調』が関係しているなんて考慮にさえ入らないでしょうから。

しかし『同調』という現象を実感してきた立場から
『テレパシー』のような体験とか、「同じことを同時にしてしまう」とかいった
双子に知られる奇妙な体験を説明しようとすると、
それは『同調』の結果だと考えるのが圧倒的に説得力があります。

一卵性双生児は遺伝子レベルで100%マッチしているために
生理的な機能も一致する度合いが高く、自然にペースが合いやすいわけです。

近くにいれば尚更でしょう。
離れていてもペースが合っていることさえあると考えられます。

その結果として起こる『同調』の度合いの高さが
心理的な影響にも共通点を生み出しやすくなる可能性があるはずです。

もちろん、遺伝的な理由で起きている傾向もあるでしょうから、
その場合は遺伝子の一致が理由で共通すると考えるのが妥当でしょう。

一方で、一人に起きた環境要因からくる生理的な変化も
『同調』の結果として影響している可能性もあると考えられるんです。

つまり、一卵性双生児で調べた結果そのものが
最初から色々な点で一致しやすくなるかもしれない、ということです。

遺伝の影響なんて見ていない場合もあるかもしれないわけです。

ですから、僕からすると
「その結果は遺伝の影響よりも同調の影響が強いんじゃないの?」
と疑問が沸いてきたとしても、
心理学の人たちには、きっと沸いてくることのない疑問だと思われます。

知識として知られていないことで、実体験もしたことのないものだと
どうやったって発想の中に組み込まれることは無いでしょう。

まして僕が「それって同調してるんじゃないの?」なんて言おうものなら
「コイツは何を言っているんだ?」みたいに思われることでしょうし。


僕の中にある、体験を通じて実感してきた現象は
技術として利用するだけであれば、ただ便利なだけのこととして重宝します。

ところが、それを説明に取り入れようとすると、途端にハードルが高くなるんです。

実際には、その現象を理解して説明することで
辻褄の合うことが世の中には沢山あるにもかかわらず。

となると、その現象を”学問的”、”科学的”に説明することが必要なんでしょう。

それは非常に大変なことだと思いますが。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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