2012年05月26日

「臨機応変」と「その場しのぎ」

僕の父は「柔軟性」とか「融通が利く」とか「臨機応変」というのが好きでした。

今は、あまりその言葉を聞きません。
単純に、父の前で何かをして教わる、という場面が減ったからでしょう。

僕の価値観としても、「柔軟性」や「臨機応変」は非常に重要なものとなっています。
というよりも、僕としては、ずっと大事にしてきたものだった気がします。

実際、今の自分のセミナーでは、その場の受講生に合わせて内容を変えるとか、
一人ひとりの個性に合わせて、課題や強調する部分を変えるとか、
そういったことは最善を尽くすために欠かせない部分です。

ブログを書くときも、内容は決まっていません。
書いているうちに方向性は変わります。

コミュニケーションでいえば、「人の顔色をうかがう」とか「八方美人」とか、
そんなのは癖になっていますし、「自分らしさ」なんて考えようともしません。

その瞬間に対応を変えられる柔軟性を大事にしているんだと思います。


ですが、一方で、僕には非常にコダワリの強い部分もあります。

それは自分にとって大切な『結果』を出すためのプロセスで表れます。
自分が設定した基準というか、「このクオリティには、この結果が必須」と思うと
その『結果』に対して固執することが多いんです。

どうでも良いときは気にしません。
「勝手にすれば?」とか「何でもいい」とか、途端に無頓着になります。

自分にとって重要な『結果』にはコダワリがあるわけです。

ただ、その『結果』のためには、途中のプロセスは柔軟で構わないんです。
というより、むしろ、『結果』に固執するからこそ、どんな手段を使っても
色々と手を変え、品を変え、求める『結果』に近づこうとする。

シンプルに言うと、「諦めが悪い」んでしょうね。

ですから、僕にとっての「柔軟性」というのは
『結果』にコダワリを持ちながら、「そのためなら対応を変えるのは当然」
という意味での柔軟性なんです。


ところが、父の捉えていた「柔軟性」はニュアンスが違いました。

ダメなら、やめる。
上手くいかないときは、諦める。
何も考えないで適当にやってみる。
やってみてから考える。
細かいことは気にしない。

そういうスタンスが「柔軟」なようでした。

ですから、その先にある価値観は、「スピード」だったんだと思います。
「スピード」を大事にする姿は、今も見て取ることができます。

僕は、出来上がったあとの状態を『結果』として捉えますから、
そこに至るまでの時間は早いに越したことはないですが、
そのために『結果』が無視されるのは嫌なんです。

僕は終了した後の状態を見ているんだと思います。
自分の手が離れた後も、その『結果』は残り続けるわけです。

そこを意識すると、「スピード」のために、細かいことは気にしない」
というわけにはいかなくなります。

「何も考えないで適当にやってみて」、取り返しがつかなくなったら
その部分は後までずっと残りますから。

だからスピードのためだけには妥協できないところがあったんです。

一方、父は「スピード」を重視して、早く完成させたい。
それで、とにかくやってみる、行動してみる…というのが優先されるんでしょう。

すると、上手くいかないところが出てきます。
「細かいところを気にしない」、「良く考えないで、まずやってみる」
ことをしていった結果、歪みが出てくることが良くありました。

そのときに登場するのが「柔軟性」であり、「臨機応変」であり、
「融通が利く」だったんだと思います。

とりあえずやってみて、上手くいかなかったら、
そのときに「柔軟に」対応すれば良い。
だから、イチイチ考えて、丁寧にやるのは「融通が利かない」と判断する。


ですが、僕にとってそれは「行き当たりばったり」に思えたり
「その場しのぎ」に思えたりしていました。

今でも僕にとっての「臨機応変」や「柔軟性」は
事前に予測を立てたうえでの対応の幅にあります。

上手くいく選択肢が沢山あって、それを自由に選べるのが「柔軟」で、
事前に予測できていなかったことが起きたときに、その場で状況を判断して
その先の展開を予測し直すのが「臨機応変」という感じがします。

求める『結果』のために、常に最善のルートを通っていく。
予測した中から最善を選び、予想外の事態には、改めて最善のルートを作り直す。

それは、スピードのために、「予測の前にやってみる」のとは違うんです。


特に人間関係では、僕にとっての「臨機応変」や「柔軟性」は
物凄く重要な要素になっています。

それは、僕にとっての「行き当たりばったり」や「その場しのぎ」、
「何も考えないで、まずやってみる」では満たされません。

とりあえずやってみて、結果を見て判断する
…その結果が、もし、取り返しのつかないものだったら。

そう思うと、予測を立てて、最善の可能性を選ぼうとしたくなるんです。

うっかり相手を傷つけてしまった、というのは嫌なんです。

問題回避型と呼ばれようが、融通が利かないと言われようが、
人間関係では避けたいミスが沢山あるんです。


まぁ、あえて傷つけてやりたくなる人も、世の中には見かけますけど。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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