2012年08月28日

言葉の違いを理解してから勉強する

ドイツ人に聞いたんですが、ドイツ語では
「 bad 」と「 bed 」と「 bet 」は全部同じ音に聞こえるそうです。

他にも音節の最後に「 b 」が来ると「 p 」の音になって
「g 」が「 k 」の音になるらしいので、
後ろに母音が続かないときの子音の発音を聞き取りにくいようです。

「 dog 」と「 doc 」なんかも聞き分けにくいのでしょう。


日本人は「 L 」と「 R 」の発音が苦手、というのは
日本に限らず世界中で有名なようですが、
同じような発音と聞き取りの問題は色々な国であるんですね。

韓国語だと「 Z 」の発音が無いという話も聞いたことがあります。
それで「ざじずぜぞ」が言いにくい、と。

まぁ、それでも日本語の音は英語から一番離れているという説もあるようですが、
日本人にとっての英語習得を発音のせいにするのは
あまり本質的ではない気がします。

個人的には、物凄くロシア語っぽい英語や、イタリア語っぽい英語、
インド人独特の英語、どういう発音だか分からない英語など、
色々な英語を聞いたことがあっても、皆、流暢に会話をしていました。

確かに音の違いで聞き取りが難しいところはあると思います。

ただ、それ以上に、多くの人は予測で言葉を聞いています。
正確な音が聞こえなくても、文脈から想像して音を補って聞いているわけです。

ですから、その意味では単語を聞きとれるようになるよりも
良く使われるフレーズの単位を一単語のように覚えるようが
実用的なようにも感じられます。


最近思うのは、日本人は英語を勉強するときに
自分の使わない日本語の言い回しに対応する英語を
一生懸命に覚えようとし過ぎるんじゃないか、ということです。

ドイツ人やイタリア人が英語を勉強するときは
文章の構造をあまり意識しなくても、同じ順番で言葉を対応させていけば
無理なく英語の文章が作れると考えられます。

文法の違いをアレンジするとしても、
「何を、どのような順番で」説明するかというのは共通するだろう、と。
論述の形式を同じにできるという話です。

日本語と英語では論述の仕方が大きく違います。
修飾節のかかる順番が違う(後ろから)とか
動詞が表れる位置の違いなどが強調されるみたいですが、
それだけではありません。

言語に対応する内的表象の作られ方自体が違います。

言葉をイメージに対応させたとき、
日本人が話す内容としてイメージしている映像と
英語圏の人が話す内容としてイメージしている映像は、
サブモダリティに結構な違いがあるわけです。

日本語が状況を説明する傾向が強いのに対して、
英語は動作や影響を説明する傾向が強い。

日本語は主語を省略する(特に一人称のとき)傾向がありますから、
イメージの中で特定の”物”や”人”にピントが合うことが少ないんです。
強くピントが合って注意の中心になっているところが、通常「主語」になりますから。

それに対してネイティブの英語は、動作の主体(主語)と、
その動作がクリアに説明されている傾向が見受けられます。
だから一文が短くなる。

短い文章を次々に続けて、情報を重ねていく感じ。

ですが、日本人はただでさえ状況を説明しやすいのに、
大人になってくると、さらに客観的な文章に慣れていきます。

日本語を話しているときから、ネイティブの英語のようなに
シンプルな文章の構造をしていないことが多い。
その傾向は、仕事の話など、複雑な内容になるほど高まるでしょう。

そのような状態で英語を1から勉強すると
短い文章で作れる「誰が何をした」を中心に覚えようとします。

そんな文章、日本語で普段から使っていないのに、です。

なるべく簡単なところから勉強したほうがいいだろうと考えたい気持ちは想像できます。
しかし、簡単過ぎて普段使わない文章は、言語活動として
普段の仕事の会話では、頭に上がってこないはずなんです。

大人は、自然と思いつく考えが高度になっています。
その考えをそのまま言語に変換すると、複雑な文章になる。
そういう形で思いついて、それを口に出して意見交換をしている。

その自然に思い浮かぶ考えを、そのまま言語に対応させるほうが
スムーズなんじゃないでしょうか。

つまり、できるだけ高度な英語を最初から使えるように頑張る、と。

自分が普段使っている日本語を、そのまま英語に変換する。
思考として浮かんでくるものを全て英語に変換できれば
英語を使いこなすのも楽になる気がします。

そもそも思考というのは受動的なものですから、
英語で考えるときにだけ発想の順番を変えるというのは大変でしょう。

むしろ自分にとって自然な思考の内容を
日本語にも、英語にも対応させられるほうが
スムーズではないだろうか、という話です。


幸い、英語でもアカデミックな説明や、書き言葉は
客観的な説明の仕方でも大丈夫なようです。

あくまで印象ですが、日本語よりも英語のほうが
話し言葉と書き言葉の差が大きいと感じます。

ですから、アカデミックな書き言葉で話している人は
ネイティブからは少し変わって見えるかもしれません。

それでも言いたいことを英語で言えるようになるには、
そっちのほうが近道だと僕は考えています。

スムーズに話せるようになれば、話しながら考える余裕が生まれます。
話しながら観察する余裕も生まることでしょう。

日本語の論述形式で浮かんでくる考えを全てそのまま英語にして、
それを伝えて相手が理解してくれなかったら、
話しながら言い方を変えても大丈夫でしょうから。

大人は思考の内容そのものが既に複雑になっています。
それをシンプルなものに戻しながら英語を勉強するのは
なかなかのストレスじゃないかと思うんです。

日常会話よりも先に、専門的なディスカッションができるようになる。
それから日常会話に近づけていく。

そういうタイプの英語学習法があっても良いんじゃないでしょうか。

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード