2012年11月30日

テストの受け方

期末試験を受けました。
2教科。

現役で学生をやっていた頃にはストレスでしかなかったテストですが
これは実際のところ、なかなかエキサイティングで楽しいものです。

インストラクターの個性や能力も見て取れますし、
自分の記憶の定着度を測れるのも実用的。

特に、分からなかったところ、もう少しで思いだせなかったところなどは
テスト終了後にチェックして「ああ、そうだった!」という感じが味わえるので
その後の記憶への残り方も良好でしょう。

大学の講師は必ずしも、その分野の専門家ではありませんが
それでも道端で100人にアンケートして得られる知識量と比べると
その分野の情報のポイントは掴んでいるはずです。

なので、自分の興味のポイントと、
その分野の人が一般的に重視する知識のポイントと、
両方を比較することもできます。

「この業界の人は、この情報を重視するのね」
という客観的な知識も体得できるわけです。

学生の頃はテストの意味すら考えず、
やらされるから受けていただけでしたし、
点数が後に響く場面が多かったので高得点を取るように工夫していました。

おそらく、大学教授であってもテストの実用的な意味合いを深く考えて
学生に対して役に立つものを作ろうと努力する人は少ないんじゃないでしょうか。

でも実際には、その効果と意味合いを自覚したうえで利用すると
テストは非常に価値のあるものだと思います。


そして学習効果を高めるには、その人が
80点以上95点未満程度のテストを繰り返して、
できる範囲を少しずつ広げていくのが良い気がします。

学生の能力を判定する(テストする)目的であれば
平均が70点ぐらいで、正規分布になるようなものが良いのでしょう。

ですが、本人の理解度と記憶の定着度を調べる(テストする)のなら
もっとできる状態のテストを繰り返すのが良いと思います。

そうすると、「テストをやれば高得点が普通」という状態に慣れて
”できなかったところ”が際立って印象に残ります。

そこをテスト後に復習すると、学習の効果が高まる。

それで「ほぼ完璧」という状態を積み上げていくという作戦。

逆に70点ぐらいだと、できなかったところが複数あるので
一度に復習しても印象に残りにくいんじゃないか、と。

復習して分かるようになっても、次にテストをしたときには
「以前はどこが分からなくて、今回はどこができるようになったのか」
を把握するのも難しくなってしまうでしょう。

テストをそんな風に利用してみるのも良いかもしれません。


ちなみに、テスト中の様子に注意を払っていると
どうもアメリカ人の学生には『見直し』という習慣が少ないようです。

一人だけ丁寧にチェックしている人を見かけましたが
あとは大体、一通り最後まで終わったら、その場で提出といった感じ。
終わったら教室を抜けられますから。

一般的に考えて、しばらく考えて分からなかったもの、思いだせなかったものは
いくら時間をかけても答えが出てくることは少ないように思えます。

その意味では、できるところが全部終わったときを
自分のテスト終了時間としても、それほど大差ないでしょう。

注目すべきは、ここ。
『大差ない』です。

ここが日本とアメリカのテストに対する意味づけの違いを反映しているんじゃないか、と。

つまり、
日本人はテストで1点、2点を競うような取り組み方を身につけるように
受験と学校教育のシステムが作られているのに対して、
アメリカでは、それほど1,2点の違いを気にしないで進んでくるのではないか?
という推測です。

アメリカの大学入試では、日本のセンター試験に対応する
SATというのを受けることになっているそうですが、
それとて入学判定の一部に過ぎません。

最終的に合格するかどうかは、書類やエッセイ、推薦状など
全てが総合的に判断されて決められるそうです。

また、このSATというのもハードな仕組みになっているようなので
じっくりと時間をかけて見直したりする形にもなっていないみたいです。
一発勝負の雰囲気が強いわけです。

一方、日本のテストには、もっと時間に余裕のあるタイプのものが見受けられます。

そして、テスト中も、終わったからといって早く退室できない場合もある。

僕が通っていた大学は、テスト開始から何十分かは
どんなに早く終わっても教室から出られないルールになっていました。

となれば、早く終わったテストの残りの時間は
見直しのために使うことになるのが自然でしょう。

それでウッカリした間違いに気づいたりすれば
見直しの重要性を体験して、染みついていくこともあると思われます。

もし、アメリカの教育の流れにおいて、テスト時間の使い方が
早い段階から自由なスタイルだとしたら、見直しの習慣も
あまり身につきにくいかもしれません。

良く言えば、日本人のほうが「一点の重み」を知っていることになりますが、
裏を返せば、「一点に左右される」ような仕組みの中で
教育を受け続けているということになりそうです。

一概にどちらが良いとは良いずらいところでしょうが、
個人的には、見直しをして、ミスのチェックをするスタンスのほうが好きです。

何かを仕上げるときに、最後まで気を抜かないということに繋がる気がしますから。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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