2013年02月28日

気持ちを汲み取る

個人的にカウンセリングの練習をやっています。

といっても、これまでに自分の身につけてきた方法ではなく、
いわゆる「カウンセリング心理学」の分野のやり方で
ロジャース派をベースに精神力動的な視点が加わっているというもの。

インストラクターはアメリカで学んできた人ですから
日本で一般的に知られているロジャース派のカウンセリングとは
随分と印象が違います。

ただし、原則は
 クライアントと共にいて
 クライアントの進みたいように任せる
というところなので、
カウンセラー側から何かの働きかけをすることは滅多にありません。

クライアントの世界をカウンセラーが理解するために質問するのは
この手法においては構わないようですが、そこも最終目的は
クライアントに対して「あなたのことを、これだけ理解していますよ」と
伝えるところにあるようです。

カウンセラーが「知りたい」から聞くのでもなければ、
好奇心を持って関わるわけでもなく、
その情報を使って援助内容を決めるわけでもない。

沢山聞いて、状況をまとめて伝え返すんです。
「なるほど、こういうことなんですね」って。

ですから、クライアントが「そう、そうなんです!」となるのが目指す所となります。

徹底的にクライアントが心をオープンにしていくプロセスが重視されています。
それは、その結果としてカウンセラーとクライアントの間に強い結びつきが生まれ
深い絆が作られていくという『関係性』そのものが、
カウンセリングの目的とされているからです。

その『関係性』が作られて、その中に浸っていることによって
クライアントは自然と力を取り戻し、自ら前へ進み始めるという考え方なんです。

気づきを促す必要もありません。
問題を整理する必要も、ゴールを設定する必要もない。

「何も解決しないことが、解決に向かう方法だ」
といった感じでしょうか。


現実的には、そういう関わり方を必要としているクライアントもいるでしょうが、
その割合は、アメリカほど日本では高くないような気がします。

何より、僕個人の想いとして、そういった深い絆の関係性は
カウンセラーと結ぶもべきものではなく、
もっと身近な人との間であって欲しいと思っているところがありますから、
好みとして家族療法のスタンスに気持ちが向きやすいんでしょう。

カウンセラーが、クライアントの一生の思い出と呼べるような相手になるのか、
一生の間に出会う無数の職業人・専門家の中の一人になるのか。

クライアントとの関係性の作り方によって、
そのあたりの印象が変わってくるはずです。

どうやら、僕が今トレーニングに参加しているところ、
つまりアメリカで行われているカウンセリング心理学では、
前者の方向性になっているようだ、と。

僕は、そんな覚えられ方をするのがカウンセラーの理想だとは考えておらず、
むしろクライアントが「自分で自分の人生を切り拓いた」
という印象をもって進めるようになることのほうが、
その人自身の人生を生きている感じがするので好きなんです。

その意味で、今受けているトレーニングは
自分の好みとは別物として切り分けながら練習しているところがあるわけです。

なので、僕にとってメインの課題は、英語でカウンセリングをするところだといえます。


で、「これだけ分かっていますよ」というのを示すために
要約や復唱が求められます。

と同時に、感情に対しても理解の様子を示していく必要があります。

共感的なメッセージを伝えたいんです。

しかし、これがやってみると難しい。

僕自身の英語のボキャブラリーとして感情を説明する単語が足りないのもありますが、
日本語の感情の説明とは言葉の使い方が違っているところがあって
なかなかシックリと対応する単語が見つかりません。

後から気になって辞書で調べても、やっぱりニュアンスが違う。

日本語なら突き詰めていくと、擬態語とか身体感覚的な表現を使って
ダイレクトに状態を言葉にすることができますが、
そのあたりも英語だと難しく感じます。

ネイティブの人に聞いても、インターナショナルスクール育ちや帰国子女に聞いても
「そもそも、気持ちをそういう風に言葉にしようとしない」
と言われてしまいます。

日本語なら、話を聞いて
「それは切ないですね…」
と言えるところも、
英語では一言で表しにくいようです。

気持ちを正確に表現しようとするほど詳しい状況説明が増えて、
複雑な気持ちとなると
「〜に対して、○○な気持ち」
「…に対しては、△△な気持ち」
という具合に、組み合わせが使われる場合も。

と考えると、ロジャース派が相手の言ったことを丁寧に繰り返したりするのも
そこに伴う感情を取りこぼさないためには重要なのかもしれません。

でも、ただ繰り返すというのは野暮な感じがしてしまいます。
情緒的ではない。

もしかすると、抒情的なメタファーなんかを使うと効果的なのかもしれません。
今度やってみます。

…まぁ、情緒的なものを目指したい時点で、日本人の発想のような気もしますが。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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