2013年03月16日

交渉とは

どれぐらい世間一般のイメージと合っているか分かりませんが、
僕の中の勝手なイメージでは、”『交渉』が上手くいく”というと
「こちらの思い通りに相手が納得してくれる」といった捉え方がありました。

ですから、超一流の交渉人ともなると
巧みに相手の心理を誘導して、自分の主張を納得させられるんだろう
なんていう偏見があったわけです。

交渉術があれば営業も高確率で成功させられて、
隣近所とのトラブルも丸く収めることができる。

ネゴシエイターと呼ばれるような職務の人は
見事に犯人を改心させて、無傷で事件を解決できるんじゃないか。

人質を解放させ、自ら出頭させることもできるような
そんな印象でした。


ところが、社会心理学における『交渉』は
もっとドライなものとして定義されています。

交渉前の段階では、双方の要求が噛み合っていない。
交渉がまとまるためには、双方(あるいは一方)が妥協して
折り合いのつく中間点を決める必要がある。

そんな感じのようです。

ですから、人質解放の交渉だとしたら、
「犯人の要求のこの部分は飲むから、
 代わりに子供だけでも解放してくれ」
という感じのやり取りということになります。

まぁ、犯人に対する交渉の場合には、犯人の要求に少しずつ妥協しながら
徐々に人質などのリスクを減らしていって、最終的に
強引な捕まえ方をするようなこともあるようですから、
完全に交渉だけで事件が解決しているわけではないのでしょう。

この場合、言ってみれば、犯人を騙しているのかもしれません。
逃走用の車を用意する、身代金を用意する…
それを一時的に与えながら、最後は警察官が捕まえてしまうのですから。
捕まった後に、まだ身代金を所有する権利があるのかは知りませんが。

そう考えると、もっとも『交渉』らしい交渉というのは、
プロ野球選手の年俸更改とかのような気がします。

今年の成績はこれだけ。
球団としては、これぐらいを来年の年俸として提示する。
選手側は、自分の活躍には、これぐらいの評価があるべきだ、と主張する。

そこで、複数年契約をつけるとか、出来高報酬をつけるとか
妥協案を追加していったり、
いざとなれば他の球団に移籍すると脅してみたり、
色々なやり取りが生まれてくる、と。

いかにお互いが譲歩して、双方が当初の期待に満たない中で
「まぁ、それなら良いでしょう」というラインを決めていくわけです。

もちろん、お互いの期待が最初から一致していたり、
一方の期待を上回っていて「それなら喜んで」となったりする場合もあるでしょう。

ですが、交渉が必要なのは、原則として
「双方の譲れないラインが重ならない」という場面だと想定されているようなんです。

僕の印象からすると、必ずしも「win−win」ではなく
「lose−lose」に近いというか、「三方一両損」のような
「まぁ、ワガママばかり言っていても終わらないから、お互い我慢しましょう。
 それが最善じゃないですか?」
という雰囲気がありそうなんです。


そういうこととして交渉を捉えると、
交渉術があるというのは、上手く最善の妥協案を見つけられるかどうかであって、
自分側の主張を100%通すことではないと考えられます。

おそらく技術的には、表面上「ここまでは譲れない」というラインを
実際よりも高めに見積もるところから交渉を始めて
妥協点に達したときにも依然として許容範囲に入るように工夫したり、
色々なテクニックはあるとは思います。

ただ、「交渉術を○○大学で学んでいました」というような話になると
それは”科学技術”として一般化されなければならないものになりますから
個別のテクニックではなく、誰でも成果が出せるような一般論になっているはずです。

きっとそれは言葉巧みに相手を誘導するようなものではない気がするんです。

学問的な定義が、最初から妥協を前提としているわけですから。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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