2013年08月17日

古くなる

2007年から始めたブログ。
もう6年以上になるようです。

記事の数も1000を超えます。

当然、6年前に考えていたことと
今とでは大きな違いがあるはずです。

ベースにあるものとして変わらないところがあったとしても
自分が振り返って眺めてみたら
「あの頃は未熟だったなぁ」
と感じるものも沢山あることでしょう。

幸い、ブログには日付けがついています。
だから50年後に振り返っても、いつのものかが分かる。

軌跡を読みとることも可能でしょう。

その意味でいうと、画家の作品のようなところがあるかもしれません。
初期の作品、晩年の作品…といった感じ。

そうやって捉えられれば、古い記事をインターネット上に残しておくのも
まぁ受け入れられる範囲になります。

ただ、その一部だけが一人歩きするとしたら…。
それはチョット嬉しくないかもしれません。

詩人(書家?)の”相田みつを”は、昔の気にいらなかった自分の作品を
購入者から自分で買い戻して燃やしていたそうです。

なんとなく、それも分からないでもない気がします。

例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの場合、作品数が少ないこともあって
年代ごとに作品の移り変わりを見ていくと
どういう経験と学びを積み重ねたのかが想像できます。

レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたという理由で
彼の全ての絵は、とてつもない金銭的価値を持っているようですが、
その完成度や、反映されている自然科学の知見、
世の中の本質への迫り方などを考察すれば
晩年のものほど凄味が出ているのは間違いないと感じられます。

でも僕は、相田みつをに関しては全然詳しくないので
どれを見ても、いつ頃の作品かは想像することもできませんし、
特にどれが素晴らしいなんて感じ分けることも困難です。

そうすると、仮に僕が”相田みつを作品”を偶然手に入れたとしても
相田みつを本人の想いには少しも迫れないと思うんです。

もちろん、僕がその作品に惚れ込んでいたとして、
いつのものだとか、作者本人にとっての自信作かどうかだとか、
世間的な評価や取引額が高いかどうかだとか、
そういったこととは無関係に、その作品に心打たれるのであれば
それはそれで意義のあることだとは思います。

僕のブログの記事が
レオナルド・ダ・ヴィンチや相田みつをの作品と並ぶとは考えませんが、
何かの形としてアウトプットされたものは全て、
本人と他者との間で、持つ意味に違いが生まれるものだ
という話です。

いわば、一人歩きする。

レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿にはスケッチや下描きだけでなく、
文章になった考察が沢山書かれています。

その文章もまた、翻訳されたりしながら
「レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉」として現代に残っているわけです。

いつ頃、どこにいて、どんな生活をして、誰と接しながら
何の絵を描いていた時期かといった背景は触れられずに。

アインシュタインの言葉をまとめた本も読んだことがありますが、
それだってテーマごとにまとめられていて、
アインシュタイン本人の変遷は全く考慮されていませんでした。

こうした”誰々の言葉”みたいなものは、パッと見た感じで含蓄があって
そこにネームバリューが加わっていますから
なんとなく「深い」印象を受けやすいんだと思います。

ただ、おそらく本人の想いとはかけ離れ、
ただの名言として一人歩きしているんじゃないでしょうか。

そうなったら、もう受け取り手である読者のためのものです。

そのときの自分に共鳴するものを味わっているだけ。

繰り返しますが、そのことにも意義はあるでしょう。
それで心が動く人がいるのですから。

何が、誰に、どんな影響を及ぼすかは予測できません。
そういう観点からすれば、全ての人のアウトプットには価値があります。

たまたまフェイスブックやツイッターで目にした言葉で
大きく影響を受ける場合だってあるかもしれません。

そちら側に目を向けると、
アウトプットしたものが残っているということは
それだけで意味のあることのような気もします。

”運よく”相田みつを本人に燃やされずに済んだおかげで
人の目に触れられることになった作品の1つが、
誰かの心の支えになっているかもしれない。

一方で、アウトプットする本人には
明らかにその時期特有の背景があって
そこから生まれたものだという自覚がありますから、
一人歩きすることへの怖さや恥ずかしさもあると思います。

2つの間には、せめぎ合いがあるものじゃないかと感じます。
特に、芸術家肌や職人気質の場合は。

世の中には、そんなことを全く気にする素振りもなく
じゃんじゃんアウトプットを続けられる人もいるみたいですけど。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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