2013年10月14日

健全に疑うこと

全ての思考は偏っていますから、
絶対に正しいということはありえません。

相対的に「もっともらしい」ものはあります。
サイエンスの目線でいえば、説得力のある仮説だということです。
最も”もっともらしい”仮説の集合がサイエンスだ、と。

逆に、論理の飛躍を沢山含んでいるものは
相対的な”もっともらしさ”が低いことになります。
「必ずしもそうとはいえないでしょう」という感じ。
不十分なんです。

その上で、複数の思考を合わせて
1つの意見や理論を組み立てていく段階になると、
それぞれに矛盾が生じる場合があります。

猫の話をしていたはずなのに、犬のことを説明してしまっているようなこと。
猫であり、犬でもある。
それは、ありえません。
定義上、矛盾しているわけです。

これはハッキリと「間違っている」と言えます。

1つの思考に関しては論理的な説得力が相対的なものになっていて
「どの程度もっともらしいか」で判断がなされ、
複数の思考が組み合わさってきた際には
それぞれの思考の”もっともらしさ”とは無関係に
相互の関係性として「間違っている」可能性が出てくる。

サイエンスの説明は、その中に含まれる考えが相反しないように
矛盾なく取り込まれる形で全体が成り立っています。

そこに矛盾した話が出てくると、それは「間違っている」と呼ばれる。

その一方で、サイエンスのそれぞれの考え自体は、仮説に過ぎません。
間違ってはいないけれど、「正しいわけではない」んです。

「どの程度もっともらしいか」という観点と
「間違っているかどうか」という観点と、2つがあるわけです。


「間違っている」ものに関しては、最も”もっともらしい”考えと照らし合わせて
矛盾するかどうかで判断がなされるだけのことですから、
そういう理論と照らし合わせない限り「間違い」かどうかは議論できません。

その照らし合わせる対象は、本人が信じているものになる。

もちろん、信じている理論が矛盾を含んでいれば
その理論は「間違っている」ことになるわけですが、
そのことと信じるかどうかは無関係です。

サイエンスは矛盾を含まないように吟味されていることと、
それを元に実社会のテクノロジーが作られていることで、
人々から”高い信頼”を買っているといえます。

「もっともらしく」て、「矛盾が含まれず」、かつ「信じられている」。

世の中には、サイエンスと矛盾していても、
それ自体に矛盾が含まれず、信じられていることもあります。

とはいえ、それぞれの考えが依然として
”もっともらしい”かどうかの基準の上に成り立っていることは変わりません。

1つの思考として取り上げれば、どんなに”もっともらしく”ても
”正しい”わけではないんです。
あくまでも信じているだけ。

信じるのは好みの問題でもありますし、
生育過程で、そう信じるようになった経緯もあるんでしょう。

良し悪しではなく、ただそういう性質のもの。

信じたいなら信じればいい。


以前、僕は人から勧められて、いわゆる”スピリチュアル”な人たちが
沢山集まるセミナーに出たことがあります。

皆さん、色々と信じているものがありそうでした。

生まれ変わりとか、繋がりとか、一体感とか
そういう言葉が聞こえてくるような集まりだったんです。

あまり溶け込めず(溶け込まず?)に過ごしていたら、
そのセミナーの最中に一匹のゴキブリが登場しました。

通風孔らしきところから出てきて、
セミナールームの白い天井や壁をシャカシャカと歩きまわり、
かなりの頻度で、元気に飛び回ったりもしていました。

あんなに元気に活動するゴキブリは滅多にいません。

皆のスピリチュアルなパワーで、きっと元気になったんでしょう。

トランスの雰囲気もあったせいか、最初は皆さん気づかなかったようですが
飛び回るようになれば流石に気づき始めます。

女性が多いこともあってキャーキャーと小さな悲鳴が聞こえてきました。
トランスの最中だったので、気を遣って叫び声を抑えていたんでしょうが、
もう部屋の雰囲気は一変しました。
軽いパニックです。

そして何人もの受講生やスタッフが
そのゴキブリを始末しようと試み始めたんです。

”繋がり”やら”一体感”やらの対象には、ゴキブリは含まれないみたいです。

仕方ありません。
ゴキブリは怖い、汚い、…そうやって信じているんでしょう。

ところが、その講師はなかなかのものでした。
皆がゴキブリを殺そうとしているのを感じとって
「 Don't kill it ! (殺さないで!)」と言ったんです。

その人だけはゴキブリにも一体感があったのかもしれません。

まぁ、代名詞が「 it (それ)」だったのは若干の興ざめですが、
アメリカ人は犬猫でも「 it 」で呼ぶことがあるようなので仕方ありません。

ゴキブリを怖いと信じているか、
ゴキブリにも魂があると信じているか、
その違いが振る舞いにも表れるという話です。


どちらを信じても構わないでしょう。

僕も共同生活をするよりは、住み分けをしたいと思います。
「害は与えたくないから、出てこないでね」という感じ。

重要なのは、ある考えを信じるにあたって
 それが「正しくない」ことを自覚したうえで信じるかどうか
ではないでしょうか。

反対の考え方もあり得る。
”もっともらしさ”の程度でいえば100%とはいえない。

違う可能性も1つの考えとして持っている。
けれども、こっちを信じる。
…そういうほうが安全じゃないだろうか、と思うんです

”夢を持ちましょう”
”目標を設定しましょう”
”幸せになりましょう”
”前向きに生きましょう”
などなど。
その反対の考え方が「もっともらしく役に立つ」可能性も
考えてみたほうが楽になれる場面が沢山あるような気がします。

もちろん、それとて1つの考えですから、そうじゃないこともあります。

”夢を持て!”と信じ込んで疑わない人のほうが
幸せだということは十分にありえる話です。

その人たちをとやかく言うつもりはありません。

その人たちから”夢を持て”と言われる側の人たちに
「信じるだけじゃなくて疑ってみるのも大事なものですよ」
という考えを示すのは有意義だろうと思うだけのことです。

ですから、僕は徹底的に反論します。

信じている人たちが自分のために信じているのであれば
その人たちに直接反論することはありませんが、
信じている人たちが教える立場にある場合には反論のターゲットになります。

「信じる者は救われる」
という話も疑っているわけです。

cozyharada at 23:35│Comments(0)TrackBack(0)clip!心理学 | NLP

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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