2013年11月16日

アピールの仕方

特徴を説明しようとしたとき、
形容詞が比較を前提とすることがあります。

人によっては、その特徴を相対化せずに捉えることもありますが
特に能力に関する説明となると、相対化されやすいものでしょう。

例えば、「走るのが速い」だとしたら、
 どれくらい?
という情報が暗黙のうちに含まれやすい。

そこには走るスピードだとか、100mのタイムだとか、
「〜よりも速い」とか、そういった基準が考慮されます。

そして、その基準に対して相対的な「足の速さ」が評価される。
クラスの中で一番速いのか、100mを10秒で走れるのか、
何かの大会で優勝したことがあるのか、
…そのようなデータが「どのくらい速いのか」を示してくれるわけです。

特徴の説明をアピールのためにするのであれば
これらのデータが役に立ちますから、大体のプロフィールだとか
広告だとかには、色々な客観化された情報が載っているのでしょう。


一方、特徴をアピールしたい状況であっても
あまり客観的なデータを示せない場合もあります。

例えば、「親切だ」とか「分かりやすい」とか「親しみやすい」とか。

こういう特徴は他者からの評価で判断されるものです。
「私の話は分かりやすい」という表現は、自信とも取れますが、
より自然なのは「私の話は分かりやすいと良く言われます」などだと思います。

その意味で、アピールをする場合には
他者からの「推薦メッセージ」がよく使われると考えられます。

「私の特徴は話が分かりやすいということです」と自分でいうよりも
「○○さんが『あの人の話は分かりやすい』と言っています」と
アピールするほうが、より納得しやすいところでしょう。


逆に、もっと主観的な特徴もあります。

「私は慎重に話をします」
「私は時間配分に気を配ります」
といった感じ。

「慎重であること」や「時間配分」を『大切にしている』んです。
つまり、価値観を表現している。

これに関しては他者から判断される必要はありません。
誰かが「いや、あの人は慎重というほどじゃないでしょう」と言ったとしても
本人が「慎重にやるように気をつけている」と主張する限り、大丈夫なんです。

あくまで『大切にしている』ものですから。

これもアピールの場面で使われますが
その際には「こだわり」だとか「大事にしていること」として説明されるようです。

ちなみに、ただ「私は慎重に話をするんです」と主張するよりも、
その慎重さを感じさせる具体例があったほうが説得力は上がるかもしれません。

例えば
「私は以前、思いついたことを気軽に口にして、人を傷つけたことがありました。
 悪気があったわけではありませんが、それで関係が険悪になりました。
 ああいう想いは二度としたくないんです。
 だから、目の前の人がどういう人なのか、今どういう感情なのかを
 注意深く観察して、自分の言葉がどんな影響を及ぼすかを想像して
 その上で口に出すかどうかを決めるようにしているんです。
 思いつきで話すことはしたくないんです。」
といった感じ。

過去の体験談だとか、実際の行動として何を心がけているのかとか、
そういう情報を追加するというわけです。

このように、どんなに工夫をしても
この類の説明はあくまで『価値観』と通じる特徴です。

ここには比較が前提とされません。
前の2つとの違いです。


まとめると…。

ゝ甸儔修任る・量として測定できる特徴 
…例:「速い」、「大きい」、「多い」など→「話がゆっくり」、「実績がある」など

他者からの評価で判断される特徴
…例:「分かりやすい」、「親しみやすい」、「楽しい」
    「気軽に話しかけられる」、「オープンな雰囲気」など

主観的な『価値観』として判断されやすい特徴
…例:「慎重」、「バランス」、「時間配分」など


とりあえず、この3種類に注目すると
どのようにアピールをするかのバリエーションが見えやすいと思います。

そして重要なのが、
 ,鉢△任枠羈咾前提とされやすい
ということです。


,蓮⇔未箸靴撞甸儔修任ますから
「良し悪し」の判断には乗りにくいといえます。

「2000時間の実績です」、「1000人と関わってきました」…
といったデータは、ただそれだけなんです。

それを「良い」と捉えるかどうかは受け取り手次第。

人によっては「それだけの経験があるんだ!」と安心するでしょうし、
逆に「長くやっているからって技術とは関係がない」とか
「単純作業として繰り返しているから経験が多いだけで
 技術を磨いているとは思えない」
のように否定的に捉える人もいるはずです。

「話が速い」のが好きな人もいれば、嫌いな人もいる。
「テンションが高い」のが好きな人も、
それを引いて見てしまう人もいるんです。

量として捉えられるものは、判断を受け取り手に委ねやすい。
そういう表現もできると思います。


ところが△瞭団Г蓮
能力としての優劣が他者から評価されているような印象が出がちです。

説得力を高めるために他者のコメントを追加するというのも
「皆がそのように”高く”評価しているのだから、きっとそうなんだろう」
といった判断が受け取り手の中に起きやすいといえます。

これをアピールすると、暗黙のうちに
 「他よりも…において上だ」
というメッセージが含まれる可能性がある。

例えば、「僕のブログは長い」と主張すれば、
それは「1記事の平均文字数が○○」のようなデータでサポートされますが
その長さが良いことかどうかの関係は薄いわけです。
「長いから暇つぶしに丁度良い」かもしれないし、
「長いから読むのが大変だ」かもしれません。

それを「僕のブログは論理的だ」と主張したとすると、
「よくセミナーのときに『原田さんの文章は論理的ですね』って言われる」
というコメントで説得力が上がる一方で、
「世の中の他のブログ一般よりも…」という比較を含みやすくなる。

もちろん、「論理的」を良いとも悪いとも評価しない人もいますが、
「論理的である」ことが望ましい状況となると、
このアピールは優劣の表現のような印象を生み始めます。

仮に僕がロジカル・シンキングを教える講師だったとして、
講師としての自己PRの中に「論理的な文章で評判」と書いたら、
同業のロジカル・シンキング講師との比較を受け取られるかもしれません。

つまり、「他のロジカル・シンキング講師よりも論理的なんです!」
という感じのメッセージとして受け取られかねない、と。


もちろん、他者との比較でアピールすることが悪いというのではありません。
あえて同業の他者をこき下ろす方法もあります。
そうやって強みをアピールすることだってできるでしょう。

ただ、あまりに無頓着にそういうアピールをしていると
その比較が他者へ与える影響が裏目に出るケースも想像されます。

もしかすると業界で敵を作るかもしれない。
場合によっては、同僚に敵を作るかもしれません。

例えば、組織を作って活動している場合。
それぞれの人物が自己PRを書くことがあります。

セミナー業界であれば、1つの組織の中に複数の講師がいて
それぞれの講師が自己紹介や自己PRを述べるといった感じ。

1つのパンフレットやホームページの中に複数の講師のプロフィールがあって
それぞれが自分の特徴をアピールするような状況です。

こういうときに、△痢崑昭圓らの評価で判断される特徴」を述べると
同じ組織の同僚との比較がほのめかされてしまうことがある。

「私の説明は論理的です」といえば、
(同僚の講師は私よりも論理的ではありません)という意味も
同時に伝えてしまう可能性があるわけです。

「私のセミナーはフレンドリーで分かりやすく、質問がしやすいうえに
 オープンな雰囲気なので深い心の繋がりが生まれます」
なんてアピールしたとしたら、
別の講師のセミナーは
「他人行儀で小難しく、気軽に発言できるような雰囲気じゃない」
と受け取られることもあるかもしれません。


特徴を述べるときには、その特徴そのものが持つ前提について
注意をしておくのも役に立つことじゃないかと思います。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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