2013年11月29日

トコトン走り続ける

心理療法やカウンセリングをはじめとして
色々な問題解決の方法について触れていくと
『手放す』という発想を耳にすることがあります。

執着することをやめ、ただ『手放す』だけでいいんだ…といった感じ。

本質的にいえば、そうなんだろうと思います。
『手放す』ことができれば解決する悩みは沢山あるものです。

いや、全て手放せれば、全ての悩みからも解放されるのかもしれません。

だとしたら、どうやって手放すのか?


僕が聞いたことがあるのは
 「ただ手放せば良いんですよ。”どうやったら?”とか考えずに。」
とか
 「それをやめるだけのことです。」
とか、
そんな感じのニュアンスのもの。

もしかすると、
「手放せばいいんです」
「執着しなくていいんです」
「どっちだっていいんです」
「それでいいんです」
「人生とはそういうもの」
といったことを聞いて、
フッと悩みが軽くなる人もいるのかもしれません。

しかし、そうじゃなかった人には、いくら同じことを繰り返し伝えても
なかなか期待するような効果は得られないんじゃないかとも思えます。

「どうやって手放せばいいんですか?」という質問をする人がいたとしたら
その人はもう、その言葉では効果がなかったんです。

「そんなこと言われたって、手放すなんて分からないよ」
という反応は、「手放せない」と主張しているようなものでしょう。
「無理だ」って反論されているとも取れます。
それが質問の形になっている、と。

あるいは、真正面から受け止めて
「分かりました!手放せば良いんですね!どうしたら手放せますか?
 うーん、まだ手放せない。どうしたら手放せるんだ!?あーっ、もう!」
などと『手放す』ことに執着しているか。

手放さなきゃ、手放さなきゃって、新たな固執が生まれるケースです。

いずれにせよ、「どうしたら手放せるのか?」と疑問が沸いた時点で
「手放せばいいんですよ」というメッセージの効果が期待できるタイミングは
すでに過ぎ去ってしまっているとも考えられます。
その発想に触れても、効果が薄かったのでしょう。


その場合、逆を勧めるのも1つの手だと考えられます。

もっと追求しましょう、って。

とことん悩み尽くす。
全力で色々と取り組み、嫌っていうほど考え、苦しみにドップリ浸る…。

頑張って少し乗り越えたかと思ったら、また別のことで思い悩み、
次々に模索を続けていくわけです。

そうすると、あるとき『絶望』が訪れます。
「なんだよー、もうダメじゃん。あーあ。」と。

この絶望の底に辿り着いたときがゴールです。
そこで止まる。

この上ない絶望を体験したすぐ後に、解放が待っています。

人によっては数秒、数分。
劇的な解放感までとなると数日から数カ月ということもあるかもしれません。

絶望を体験して何日たっても一切の解放が訪れないとしたら
まだ絶望が足りないというだけのことです。

底に着いたら、その先には解放があります。

反対の言い方をすると、
 絶望の後に解放がやってきたら、その絶望が底だったと分かる
ということ。

ただ、底はあるんです。

底に辿り着く前に”諦め”なければ。

そして、その絶望のどん底の程度にも個人差があります。
そこまでに取り組んできた頑張りがあるほど
かなりの絶望に耐えられてしまうこともあるでしょう。

耐えて、耐えて、希望が全て失われた瞬間、
解放への扉が開かれる。

そういうことは良くあるようです。


だからこそ、「手放せばいいんです」という教えが生まれると思われます。

つまり、『手放す』ことを伝えている人のうち、結構な割合は
 絶望の末に”手放す(=諦める)ことしかできなくなった”人たち
だろうということです。

どうしようもない絶望の底に辿り着き、
「あーあ…」となったときに解放感が訪れた。

そして解放された状態で思い返すわけです。
「なんだよ、結局、手放すだけでよかったんじゃないか!」って。

そこに自嘲や反省、照れのようなものが混ざる。
その想いが、他者の悩みを見たときに
「手放すだけでいんですよ」と言わせるのかもしれません。

自分がそうだったから。
もっと早く手放していれば楽だったのに、と思うから。
他の人はそうしなくても良いだろうと感じたんじゃないでしょうか。

まるで休憩所を目指して走り続けてきたようなものです。

「どこに行けば休めるんだ?休めるところはどこにあるんだ?」と
必死で走りまわっていた。

それで「見つかりっこない、もうダメだー」となったとき
その場に倒れ込み、走るのをやめる。

そして気づく。
「あれ、今、休んでいる。
 …そうか、ただ止まって休めば良かっただけじゃないか」
と。

そんな感じの気恥かしさが、『手放す』教えを生むんじゃないかという話です。


しかし、上にも述べたように
「手放せばいい」と聞いた瞬間に楽にならないのだとしたら、
逆に、とことん悩み続けるのも1つのやり方です。

絶望の底に辿り着くまで。

それで自分でも体験したらいいじゃないですか。
「なんだ、手放すだけでよかったんだ」という実感を。

その後で気恥かしさをシェアするのも悪くないと思います。

cozyharada at 23:56│Comments(1)TrackBack(0)clip!心理学 | NLP

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この記事へのコメント

1. Posted by 渡辺 由紀子   2013年11月30日 21:09
古井戸の底に宝物を掘り当てなければならないと自己探求して、出会ったのが泥水の水たまりのような自分・・・というのも同じような感じだと思います。
自分が水たまり、と分かった時は絶望と言ってよいような感覚だったのに、子供たちの小さな長靴に踏まれて、このごろ水たまりはご機嫌    (*´∀`*)です。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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