2014年01月21日

【セミナー】共感力強化 集中トレーニング

ご案内: 2月9日(日)開催

   カウンセリング講座・集中トレーニング〜共感力を強化する〜



今回の講座はコミュニケーションの土台を集中的にトレーニングします。

『共感力』です。

共感という言葉の定義には色々ありますから
あくまで「ここで何を養うのか?」に絞ってご理解ください。

トレーニングの対象は、相手の感情や価値観を察する上での土台です。


他者の感情を捉える際には、大きく2つの方向性があります。
「観察」と
「同調」です。

観察は、他者の感情を他者のものとして外から眺めて判断する方法。
同調はペーシングによって自分の内部に沸き上がるものから判断する方法。

今回の講座は同調よりも、「観察」を中心に構成します。
(実際には両方の感情の捉え方に効果を発揮するトレーニングです)


そして、「観察」にも大きく分けると2通りの方向性があります。
「客観的に判断する」か
「共感的に想像する」か、です。

他者の感情を客観的に判断するには、
自分が他人とコミュニケーションしてきた経験を通じて
 「こういう様子のときには、こういう反応をする傾向がある。
  世間では、これを○○という感情の名前で呼ぶらしい。」
のような理解を積み重ねる必要があります。

他人の様子をうかがって、それに合わせて自分の振る舞いを変えるようにして
人間関係を乗り切ってきたような人は、こうした客観的判断の能力が上がります。

また、心理学の本などに多い「〜しているときは、…のサインだ」といった
”大まかな動作や表情との関係性”を知識として持っている場合にも、
その知識を当てはめて他者の感情を判断することがあります。

これも客観的判断です。

客観的に判断する場合の特徴として、経験か知識を利用するため
”知っている”場合には速やかな判断が可能となりますが、
アレンジが利きにくいリスクもあります。

実際には別の感情も一緒に表れていたとしても、
自分がその経験や知識を元に注目してしまった場合には
他の部分の非言語メッセージが意識に上がりにくくなるわけです。

結果として、いつも観察する部位が偏ってくることも多いでしょう。
「あの人は感情が読みにくい」と感じた相手は、ただ
自分が注目しない部分で感情を表現している…なんということも起きやすい。

さらに、自分が経験したことのない表現をする人が相手の場合や、
自分の知らない動作については、捉えることもできません。

判断の速さのわりに、正確さと対応範囲は限られてしまうんです。


その点オススメなのが、もう1つの方法、
「共感的に想像する」やり方です。

この講座では、その「共感的に」の部分を集中的にトレーニングします。

他者の感情を共感的に想像するとは
 「あの人は今、こういう非言語メッセージを表現している。
  もし自分がそれを表しているとしたら、どんな感じだろうか?
  …この感じは、世間では○○と呼ばれるから、
  おそらく、あの人は今、○○の状態なんだろう」
といった流れのものです。

一度、自分の体の中に相手と同じ状態を想像して作り出すのが特徴です。

合っているかどうかの保証はありません。
ただ想像して仮に体験する。

もしかすると「合っているかどうか分からないのに想像して意味があるのか?」
と思う方もいるかもしれませんが、「合っているか分からない」のは全て同じです。

どんなやり方で読みとろうとするにせよ、合っている保証はありません。
直接質問したとしても、です。
相手が「悲しいんです」と言ったところで、それが本当だとは言いきれませんから。

むしろ、相手が言語化したくない感情だってあるのが自然なものです。
それを質問せずに読みとって、言語化したくない気持ちまで含めて
対応の仕方を考えていくほうが、現実的には望ましい対応をしやすいでしょう。

また、相手自身が気づいていない感情もあり得ます。
それは質問では聞き出せません。
こちらが読みとるんです。

複雑に入り乱れた相手の感情を、相手自身さえ気づいていない精度で捉える。
それによって、相手一人では整理できなかった気持ちがまとまってくるわけです。

相手の気持ちを質問するのではなく、観察によって読みとる価値があるのは
この部分だといえます。

そして、その観察の際に『共感』を使う。
これがポイントです。

相手の話を聞いて、気持ちを聞いて、
その状況に対して思いを寄せるのではありません。
それを共感と呼ぶ人もいるようですが、ここでは別物として扱います。

相手の動作やしぐさ、表情や姿勢、声のトーン…、
あらゆる振る舞いに含まれた非言語メッセージを捉え、
それらを自分の身体に再現する。
そして、そのときの状態を相手のものとして想像するんです。

慣れてくると「注目して、想像して、体の中に再現して…」という流れは
大部分がショートカットされて自動的になってくるものです。

例えば、人がビンタされている場面を見ると
自分まで「ウッ!」と肩をすくめて体を緊張させたり、
といった経験のある方もいるかもしれません。

「想像して体の中に再現して…」という流れを自覚していないでしょうが、
自然とそういうプロセスが起きたケースです。

特別なことではありません。
ただ思い出しているんです。

その思い出す度合いに個人差がある。
だからトレーニングの効果があるんです。

つまり、相手の様子を見て、それと同じ状態を思い出すということです。

ただそれだけ。
ですが、これを細分化して思い出す作業を丁寧にやる人が少ないんです。

そこを徹底的にトレーニングします。

どんな些細な非言語メッセージに対しても、
どれだけ複雑な形で同時に表現された非言語メッセージに対しても、
「自分がやっていたときのこと」として思い出して想像できるようになれば
相手の繊細な感情の動きまで『共感』することができるわけです。

繰り返しますが、あくまで想像です。
思い出しているだけです。
ですから外れることはあります。

しかし、合っていないとしたら、それはむしろ
 非言語メッセージの捉え方や、自分の体の中での再現の仕方が不十分
という可能性のほうがずっと高い。

細かな違いを正確にとらえ、それを正確に再現できるようになれば
その”想像”が相手の実際の状態と一致する確率は上がっていくはずです。


相手の非言語メッセージを細かく注目して、
そのメッセージを自分が出しているときの状態を思い出して再現する。
…この流れを『共感』と呼ぶことにする。

そして、『共感』によって起こったその状態を自覚して、言語化する。

こういう観察の仕方です。
相手の感情を「共感的に想像する」観察法だといえます。

そのためには
 ・相手の非言語メッセージを細かく分けて注目し、
 ・その非言語メッセージを正確にコピーして、
 ・それに伴う身体の状態を思い出し、
 ・その状態を言語化する
ことが求められます。

例えば、皆でビデオを見ながら、ある瞬間で静止画にして
「ほら、ここに悲嘆の様子が出ているでしょ?」
と指摘したとすると、
上記の4項目が全て含まれているということです。

指摘された部分に注目した時点で
一番目の「細かく分けて注目する」はクリアされていますが、
それをどれだけコピーして身体の状態として思い出し
その状態を”悲嘆”という名称と結びつけられるかは、
トレーニングの量によります。

どれかが欠けても正確性は落ちますから、
この講座では各項目のトレーニングを行う予定です。

当然、一日のトレーニングで劇的に変わるわけではないでしょう。
トレーニングは日々の中で心がける必要があると思われます。

が、人によっては今まで自覚していなかっただけで
注意の向け方のコツを知ったら、それだけで飛躍的に感度が上がる
という可能性もあります。

苦手分野はどこなのか、何を中心に練習していく必要があるのか。
そのあたりのことを掴んでいただくだけでも有用なはずです。


理論的な話は、以上の話でほぼ網羅されていると思います。
後は、どんなトレーニングをするか。

ビデオに撮りながら細かくチェックするような作業も行います。

些細な違いを気にしない人だと「同じようなことばかり…」と
退屈さやイライラを感じたりするかもしれません。

細かい作業を「メンドクサイ」と感じる人には楽しくないかもしれません。

そういうものです。

相手の繊細な心の動きを読みとるための共感力強化です。
最初から細かいんです。
細かい部分が大事だという前提で進みます。

人の気持ちの機微を大切だと感じる方にはオススメです。

「お気軽にどうぞ」とは言いにくいですが、
人の心は細かく捉える価値があると思う方は是非お越しください。



◆今回の講座で期待されること
【メリット】
●共感が起きる流れを把握できる

●共感に必要なトレーニング法を練習できる

●自分の気持ちの変化に敏感になれる

●他者の気持ちを細かく読みとれるようになる

●感情表現への理解が深まる

●非言語メッセージと結びついた個性を理解できるようになる

【デメリット】
×常日頃から人の気持ちが気になって仕方なくなる

×他者の苦しむ様子で、自分の身体にも苦しさを感じやすくなる



◆録音/録画、再生機材に関しまして

トレーニングとして動作を録画・再生して
細かくチェックするときがあります。
ビデオカメラやスマートフォンの録画機能などをご利用いただくと
客観的なチェックがしやすくなると思われます。
ご持参下さることをおススメいたします。

また、ICレコーダーなどを用いた講座全体の記録は
個人的なご利用の範囲でお願いいたします。

※ただし、プライベートな内容の扱いに関しましては
 十分にご配慮ください。






【セミナーの詳細】

カウンセリング講座・集中トレーニング 〜共感力を強化する〜

【日時】  2月9日(日)
       9:30〜16:00


       ※開始時間にご注意ください 
       ※終了時間は30分程度まで前後する場合があります。

【場所】 五反田文化センター 第一研修室
    (JR山手線・五反田駅より徒歩15分)
    (東急目黒線・不動前駅より徒歩8分)

【参加費】 ・・・15,000円 

       当日、会場にてお支払いください。


    ★定員に達した場合、キャンセル待ちとして受付させていただくことになります。
     ご了承ください。




終了しました

脳科学の分野で「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞が報告されています。

ある動作をするときに発火するニューロンが
他の個体の同じ動作を見たときにも活動する、というものです。

見ているだけなのに、あたかも自分が行動しているかのように活動するニューロン。
まるで鏡映しのように真似をして活動するので「ミラーニューロン」と。

一部の脳科学者や心理学者は、
「ミラーニューロンのおかげで人は自然と模倣をして学ぶことができ、
 ミラーニューロンのおかげで他者の気持ちを感じとることができる」
といった説を提唱しているようです。

しかし世の中には、その捉え方に異論を唱える研究者もいます。
そして個人的にも、この解釈には反対です。

ミラーニューロンを拡大解釈している人たちは、
「これがあるから模倣するように体験できる」というニュアンスで
あたかも生まれ持った自然な機能のように説明しがち。

多分、そうではないと思います。
ミラーニューロンは結果。
生得的なものではないでしょう。

単純に、「誰がするかに関わらず同じ行動」として捉える機能をもった
”抽象度の高い行動の概念に対応したニューロン”があるだけ。

例えば、「食べる」であれば、自分が食べようが他人が食べようが
「食べる」という概念として把握するためのニューロンがあって、
「食べる」に関連する体験をするときには活動する。
活動すると「食べる」に関する様々な機能と記憶も活性化される。

「食べる」に限らず、こういうニューロンが沢山あるのでしょう。
だからミラーニューロンは様々な脳の部位から複数見つかっているんだと思います。

それぞれの動作の概念に対応するニューロンが沢山存在していて、
それぞれのニューロンが、いわゆる”ミラーニューロン”の活動パターンを示す。

”ミラー”になるのは、自分の動作と他者の動作の両方を抽象化した
「動作主に関わらない行動」の概念が作られているため、
他者の動作を見たときにも、自分がその動作をするときにも共通して発火する
…ということが起きているからだと考えられます。

自他の区別をしていないために”ミラー”のような活動をするのであって、
自然と真似してしまう機能とは別物だろう、と。

むしろ、他者の体験を見たときに、同じ体験をしている自分の状態が
記憶から再活性化されていると考えるほうが妥当だと思います。

自然と真似をする機能ではなく、思い出す機能。

つまり、「他者の体験を見て、自分が体験した時のことが思い出される」という
いたってありきたりな学習の産物だという考え方です。


まとめると、

×「生まれつき真似をする仕組みが脳には備わっていて、
 それがミラーニューロンと呼ばれる神経細胞で、
 その真似の仕組みが共感の源泉になっている」

…という発想ではなく、

○「動作や体験を一般化された概念として認識するニューロンが沢山あり、
 その中に自他の区別なく、同じ種類の体験として認識するものがある。

 そのニューロンは他者の体験を見ても、自分が体験するときと同様に発火し、
 これが”ミラーニューロン”と呼ばれる神経細胞群に対応している。

 他者の体験を見たときに活動したこのニューロンは
 自分の体験記憶を活性化するため、過去の体験の身体反応が再生される。

 思い出された身体反応は、他者の体験への『共感』として意識にあがる。」

…という考え方です。

ですから、”ミラーニューロン”と呼ばれるものは生まれつきのものではなく、
自分と他人との間で、同じ種類の体験を積み重ねていった結果として
体験の種類の数だけ何個でも作られていくものだ、と考えられます。

言い換えると、
 ある体験に対して”ミラーニューロン”が作られていれば
 その体験をしている他者を見たときに、自然と共感が生まれる
ということです。

「ミラーニューロンが共感の源泉となる」という表現そのものは同じですが、
想定している仕組みが別物なんです。

生まれつき持っているミラーニューロンが共感力の源泉だとしたら
共感力の個人差をトレーニングで埋めるのは大変でしょう。
生まれつきミラーニューロンが強い人は共感力が高く、
弱い人は共感力も低い…といった説明になってしまいますから。

しかし、そうではないと考えます。

”ミラーニューロン”は数が大事。
共感できる体験の種類がミラーニューロン群の数と対応していると考えると
数を増やすことで共感できる量(=共感力)を高められるわけです。

つまり、カギになるのは
自分と他者とで同じ種類の体験をすることです。

同じ種類の体験を重ねることで、自他の区別なく
その種の体験と遭遇したときに働く神経細胞が増える。
ミラーニューロンを増やせる、と。


その結果、同じ体験として認識されたときには、自分の記憶が引き出されます。
対応する自分の記憶には生理状態に関する部分もありますから、
その瞬間に再体験するかのように生理反応が蘇ることもあります。

一方、ミラーニューロンが作られていない
(=他者の体験と、同じ種類の自分の体験が結びつけられていない)場合には、
他者の体験を見ても、同じ種類の体験として認識されません。

当然、自分の体験記憶にはアクセスされず、
身体感覚として蘇ってくるものはないわけです。

ここが、この講座における『共感』が起きるかどうかの分かれ目だといえます。

 どうしたら自他で共通する体験を増やせるか。
 しかも、できるだけ正確な分類で。

その部分をトレーニングします。

いわば、精度の高いミラーニューロンを増やすトレーニングです。

数を増やします。
数が多いほど共感力が高いんです。

脳の測定はできませんが、そういう想定でトレーニングをします。

共感力は上げられる能力だということです。

重要性を感じる方は取り組んでみてください。

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【日時】 
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【場所】 
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《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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