2014年02月10日
天才の目
2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏。
素粒子物理の世界に重要な貢献をした天才の一人です。
世の中に「天才」と呼ばれる人たちは沢山いますが、
特にサイエンスにおいては理論物理と数学の天才は特別だと思います。
僕は生物化学の分野にいましたが、そこでは理論を編み出す斬新さよりも
実験手法の真新しさや偶然の発見が業績に直結します。
つまり、予想しただけでは論文が書けないんです。
「たぶん、こういうことだと思います」という素晴らしい意見があったとしても
それを学術論文として投稿できるケースは非常に少ない。
実験的に示して初めて受け入れられる分野でした。
そうすると、重要な発見とは、現象を上手く説明する理論の発見ではなく
今まで示されていなかった実験結果を出すことになってくるわけです。
どんなに頑張っても、運が悪ければ成果が出ない分野なんです。
もちろん、業績の全てが運だというのではありません。
地道な積み重ねと緻密な計画が徐々に望ましい結果へと導いてくれる。
最初から無理なことは、運の問題ではありませんから。
ですから、大きな業績は
ずっと頑張ってきた人に対する「ごほうび」
だと言われます。
それこそが「セレンディピティ」と呼ばれるものです。
運の要素が含まれる大発見。
一方、理論物理の天才には、セレンディピティよりも
その人の頭の中で繰り広げられる思考が辿り着いた「閃き」が関わるようです。
数式で理論を作ろうとするときに起きてしまう矛盾を解消する発想。
その新たな発想を取り入れて数式を解くことで上手く説明できるようになる。
…そのような物理の大発見は、全てが思考の中で完結している分、
文字通りの「天才」といえるように思うんです。
ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏も
そうした理論物理の天才の一人。
数式ばかりで世の中を理解しようとできる学者が世界中で行き詰っていたものを
1つのアイデアを取り入れて矛盾の無い理論への一歩を切り開いたそうです。
1921年生まれで、2014年現在、93歳。
ひたすら頭を使ってきた天才だということが、顔に表れています。
画像や動画を検索すると80歳以降のものが沢山見つかりますが
是非、その目つきに注目していただきたい。
全くといっていいほど老いを感じさせません。
ネットで見つけてきた動画を1つ載せておきますので
興味があれば見てみてはいかがでしょうか。
↓こちらは2009年10月の講演会だそうですから、
もうすぐ90歳になろうという頃の様子です。
滑舌が悪くなるのは口の筋肉の老化でしょうし、
歩く様子にも全身の筋力の低下は見て取れます。
(それでも90歳にしては若いほうでしょうが)
注目すべきは、そうした老化と全くリンクしない眼光の鋭さです。
思考の世界を物凄くクリアな状態で捉えているように見えます。
穏やかな目元は人柄を表していると思いますが、
しっかりと見開かれ、真っ直ぐに向いた力強い目は
今も強い関心を持ちながらこの世界を見つめている様子をうかがわせます。
おそらく、内的に捉えている視界は
スッキリとして明るく、透明感のあるものでしょう。
その視野の中で軽やかに抽象度の高い世界がイメージされるんだと思います。
理論を生み出せる天才の頭は、いつまでも老いないのかもしれません。
いや、若い頃はもっと凄かったのかも…。
いずれにせよ、発明家や実験者、探索家とかとは
理論学者の頭の使い方には違いがあるのではないかと感じます。
ある意味では非常にファンタジーな世界を追い求めながら
妥協のない削ぎ落しによってファンタジーを数式化する。
やはり特別なものだと思えてなりません。
素粒子物理の世界に重要な貢献をした天才の一人です。
世の中に「天才」と呼ばれる人たちは沢山いますが、
特にサイエンスにおいては理論物理と数学の天才は特別だと思います。
僕は生物化学の分野にいましたが、そこでは理論を編み出す斬新さよりも
実験手法の真新しさや偶然の発見が業績に直結します。
つまり、予想しただけでは論文が書けないんです。
「たぶん、こういうことだと思います」という素晴らしい意見があったとしても
それを学術論文として投稿できるケースは非常に少ない。
実験的に示して初めて受け入れられる分野でした。
そうすると、重要な発見とは、現象を上手く説明する理論の発見ではなく
今まで示されていなかった実験結果を出すことになってくるわけです。
どんなに頑張っても、運が悪ければ成果が出ない分野なんです。
もちろん、業績の全てが運だというのではありません。
地道な積み重ねと緻密な計画が徐々に望ましい結果へと導いてくれる。
最初から無理なことは、運の問題ではありませんから。
ですから、大きな業績は
ずっと頑張ってきた人に対する「ごほうび」
だと言われます。
それこそが「セレンディピティ」と呼ばれるものです。
運の要素が含まれる大発見。
一方、理論物理の天才には、セレンディピティよりも
その人の頭の中で繰り広げられる思考が辿り着いた「閃き」が関わるようです。
数式で理論を作ろうとするときに起きてしまう矛盾を解消する発想。
その新たな発想を取り入れて数式を解くことで上手く説明できるようになる。
…そのような物理の大発見は、全てが思考の中で完結している分、
文字通りの「天才」といえるように思うんです。
ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏も
そうした理論物理の天才の一人。
数式ばかりで世の中を理解しようとできる学者が世界中で行き詰っていたものを
1つのアイデアを取り入れて矛盾の無い理論への一歩を切り開いたそうです。
1921年生まれで、2014年現在、93歳。
ひたすら頭を使ってきた天才だということが、顔に表れています。
画像や動画を検索すると80歳以降のものが沢山見つかりますが
是非、その目つきに注目していただきたい。
全くといっていいほど老いを感じさせません。
ネットで見つけてきた動画を1つ載せておきますので
興味があれば見てみてはいかがでしょうか。
↓こちらは2009年10月の講演会だそうですから、
もうすぐ90歳になろうという頃の様子です。
滑舌が悪くなるのは口の筋肉の老化でしょうし、
歩く様子にも全身の筋力の低下は見て取れます。
(それでも90歳にしては若いほうでしょうが)
注目すべきは、そうした老化と全くリンクしない眼光の鋭さです。
思考の世界を物凄くクリアな状態で捉えているように見えます。
穏やかな目元は人柄を表していると思いますが、
しっかりと見開かれ、真っ直ぐに向いた力強い目は
今も強い関心を持ちながらこの世界を見つめている様子をうかがわせます。
おそらく、内的に捉えている視界は
スッキリとして明るく、透明感のあるものでしょう。
その視野の中で軽やかに抽象度の高い世界がイメージされるんだと思います。
理論を生み出せる天才の頭は、いつまでも老いないのかもしれません。
いや、若い頃はもっと凄かったのかも…。
いずれにせよ、発明家や実験者、探索家とかとは
理論学者の頭の使い方には違いがあるのではないかと感じます。
ある意味では非常にファンタジーな世界を追い求めながら
妥協のない削ぎ落しによってファンタジーを数式化する。
やはり特別なものだと思えてなりません。