2014年04月26日

似て非なるもの

ハリウッド映画なんかを見ていると
日本人や日本の景色として描かれているものが
全く日本っぽくないことがあると思います。

面をつけずに剣道をやっていたり、
剣道なのに足元を斬ろうとしてみたり、
剣道の防具をつけているのに組み技や投げ技があったり…。

新幹線の走るところに、やたらと看板が出ていたり、
都会のビル街のデザインが中国っぽかったり、
日本家屋なのか日本の寺なのか、カンフー映画の少林寺みたいなものなのか
色々なものが混ぜこぜになっていたり…。

日本企業の社長として登場する俳優の日本語がカタコトだったり、
中国人の俳優が日本人役を演じていたり…。

ケン・ワタナベ、ヒロユキ・サナダなど、
日本人俳優がハリウッド進出するケースも出てきましたが、
やはり脇役として登場する日本人の役は、日本人っぽくないことが多いでしょう。

おそらく一般的なアメリカ人にとっては、
そのあたりの違いは気にならないんだと思います。

というよりも、違いが分からない。


実際、僕が会ったことのある若い英会話の先生は、
親に「日本に行く」と言ったときに、
「あんた、あそこは南北で別れて争いが激しいんじゃないの?
 危なくない?大丈夫?」
と心配されたそうです。

彼が「それはコリア( Korea )の話だ」と親に答えたら、
「え?違うところなの?」と、地理的なことさえ分かっていなかった、
と言っていました。

心理学でも「西洋文化( Western culture )と
「東洋文化( Eastern culture )」あるいは「アジア文化( Asian culture )」で
比較をするような研究は見受けられますが、
アジアの中で比較することは滅多に無いようです。

そもそもそういう比較研究をする心理学者だって
アメリカの大学で教授をしている日本人であることが大半で、
アメリカ人を被験者として研究されることが中心となっている心理学分野において
アジアの各国を比較しようという人は少ないのが現状みたいです。

ですから自然と、アジア文化は1つのものとして説明されます。

日本人からすると随分と違う文化に思えるアジア諸国も
大半の欧米人からすると似たようなものに感じられて
それらを区別する基準さえも見えてこないのでしょう。


逆に、日本人からすると欧米文化の区別がついていないのかもしれません。

僕が出会ったアメリカ人の多くは、比較的
本人の出身地や家族の血統としての出身地などを気にしているようでした。
アイリッシュ系だとかユダヤ系だとか。

当然、地域ごとの特色もあるでしょうし、発音の違いなんかもあるはずです。

ですが、知らない側からすると区別のつけようがないわけです。
違っていることにさえ気づかない。

同じものとして扱ってしまう。


2つのものに違いが見えるということは、
両方を見比べ、それぞれの特色を把握して
その中から差異を見つけることができる、ということです。

両方の特色を詳細に知っているほど、多くの違いが見えてくる。

昆虫の新種を発見できる人は、それまでに知られている同種の虫に詳しくて
沢山の情報を持っているから、今までのとは違う種類に気づけると言えます。
僕が新種の蝶を偶然に捕まえたとしても、他の蝶に対する情報がないので
それが新種だと気づくこともできず、ただ「蝶を捕まえたよ」と報告して終わりです。

詳しく知っていないと違いを捉えることができないんです。


幅広い物事についても同様のことが言えます。

何か新しい情報を入手した。
そのときには詳しい内容が分かっていないことでしょう。

ですから今までに知っていたものとの違いもハッキリしない。

さらに、今まで知っていたものの知識量が少なかった場合には、
新しい情報と区別することはもっと難しくなるはずです。

カウンセリングというものを良く分かっていない段階であれば
初めてコーチングについて説明されたときには、違いを理解しにくい。

「カウンセリング?コーチング?まぁ、結局、話を聞いて
 会話を通じて、相手に上手くいってもらうやり方のことでしょう?」
…のように”似たようなもの”として感じられると考えられます。

新しいことを学んだとき、「なんだ、あれと同じようなものか」と感じるとしたら
元からあったほうの理解に関しても、新しく学んだことの内容に関しても
両方とも、違いを見つけるだけの情報量に達していない可能性があります。

ただ物事を大まかに捉える傾向があるだけ、という場合もあり得るとはいえ、
それでも違いを感じ取るのに十分な理解に達していれば
「うーん、同じかというと、なんかチョット違うところがある気がする」
といった答えになって、「同じ」という判断にはならないんじゃないでしょうか。


共通点を見ようとすれば、似ている部分は少なからずあるはずです。
ただし、共通点は抽象度を上げれば必ず見つかるんです。

その意味では、似ていないものなんてないんです。
どれぐらい似ているか。
そして、どれぐらい違っているか。

英語でいうと「 contrast 」です。

「 compare 」は「共通点に注目して”比較する”」
「 contrast 」は「共通点と差異の両方を”見比べる”」。

どちらも日本語にすると「比べる」になるようですが、
物事を理解するプロセスには「 contrast 」が求められると思うんです。

人は皆違う。
一人ひとりが別の存在だ。
…そういう視点が、コミュニケーションで強調されることはよくあるものです。

しかし、人が作ったり考えたりしたものを理解する段階では
「同じようなもの」で済ましたくなるかのような場合も見受けられます。

普段から共通点と違いとの両方に注目しながら捉えていくと
理解も深まるだろうと思われますし、何より、
違っていることが当然のようにも感じられてくる気がします。

そうなれば、自分と異なるもの、異質なものに対する恐怖や拒否感も減って、
同じであることだけで極端に安心しようともしなくなるかもしれません。

そして違いが見えてくるほど、全てのことが別物に見えてくるほど、
意外なことに、唯一の共通点を通じて全ての物事に親しみが沸いてくる。

そういうこともあると思えるんです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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