2014年06月08日

深入りするかどうか

例えば、巷で「脳科学の発見」として紹介されている題材などは、
かなりの割合で実は「認知心理学の研究結果」であったりします。

「脳科学( Neuroscience )」として調べられているものにも
もちろん一般受けするような研究もあります。

しかし、詳しくなってくるとデータの解釈が複雑になるため
分かりやすく推測した理論が発見された事実のように紹介されたり、
もっと親しみのある「認知の過程で起こること」の調査結果を
「脳と関係する研究成果=脳科学」として紹介したりすることが多いんでしょう。

情報としての正確さや新しさを追求して難しくなるよりも、
専門知識がなくても面白いと思える情報を説明するほうが
広く受け入れられやすいということだと思われます。

そういう情報のほうが多くの人にとって興味深く、役にも立つのですから、
情報発信の仕方としては有益なものといえそうです。

個人的には、ある程度の専門知識をベースにしながら
詳しく説明することで分かりやすくなるタイプのサイエンス・ライターが好みですが、
もっと短絡的な仮定レベルの結論だけを述べた情報も数多く目にします。

情報提供にも様々な種類と目的があって、
それぞれ対象とする人が違うということなんでしょう。

突き詰めていけば矛盾が出てきたりするとしても、
そもそも突き詰めようという人が少ないんですから
「ある程度の詳しさと正確さながら、実生活で役に立つ」
というぐらいが丁度いいのかもしれません。


こうした話は脳科学に限ったことではありません。
あらゆる分野に通じることじゃないでしょうか。

心やコミュニケーションに関するもの、自己啓発や願望実現に関するものでも
多くの人にとっつきやすい情報から、理解が大変な内容まで
様々な種類があるように見受けられます。

突き詰める人たちからすると本質的には思えない情報であっても、
とりあえず信じてやってみると幅広い人に役立つ可能性はあるんです。

それを信じて続けていくと、どこかで方向転換を迎えることが
突き詰める人たちからは予想がついても、少なくとも
その方向転換のタイミングまでは多くの人に有益となる。

「うーん、本当はそうじゃないんだけどなぁ…」なんて感じるとしても
むしろ、その「本当はこうなんだ」のほうが受け入れ難いケースもあります。

突き詰める前に興味がなくなる人だって沢山いるわけですから、
社会全体を視野に入れたときには、「ややこしい『本当はこうなんだ』」よりも
「分かりやすくて実用的」なほうが大切だとも考えられます。

『突き詰めていく』というスタンスには、そもそもニーズが少ないのかもしれません。

しかし、
突き詰める前に興味がなくなるのが多くの人にとって自然であるのと同様に、
突き詰めたい人にとっても、興味の対象に深入りするのは自然なんでしょう。

その意味では、突き詰める手段が残っていることもまた
ニーズの大小にかかわらず大切なことのような気がします。

cozyharada at 23:37│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 心理学

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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