2014年06月24日

映画のはなし

『トランセンデンス』という映画が話題になっているようです。

ジョニー・デップが主演ということも大きいとは思いますが、
「ある科学者の意識(心)がコンピューターに移されて
 ネットの世界に拡大して暴走する…」
といったストーリーが、最先端な印象も出しているのかもしれません。

仮に、スーパーコンピューターの性能が上がって、
人間の脳の働きを再現するように情報を移植できたとしたら、
その人が考えたりするのと同じようなことがコンピューター内で起きる
ということもありえそうだ。
…そんな想定があると思えます。

これは、高性能のコンピューターに人工知能を持たせると
コンピューターが自意識を持って勝手に動き始めるような話にも似ています。

しかし、最初からコンピューター内で知能を生み出して、
自ら環境への新しい対処を作り出せるようにプログラムするのと、
人間の意識をコンピューターに移植するのは意味が違います。

こういうことが現実にあり得たとしたら、多分
そのコンピューターには意志決定ができないんじゃないでしょうか。

というのは、人間の意識決定はほとんど全て感情を利用しているからです。

そして感情は、脳以外の体の部分(身体)で表現され、
その身体反応が脳にフィードバックされることでモニターされています。

論理的にだけ考えれば、何かの選択を迫られる意志決定の瞬間には、
複数の選択肢が想定され、それぞれに対して選択の結果が予測されて
全ての選択の結果を並べて評価したときにどれが望ましいかを検討して、
最も望ましい結果に結びつく選択肢が採用される、といえそうです。

しかしながら実際には、
それぞれの予測において関わってくる要因が多すぎるんです。
全ての可能性を検討する、というのが大変。

もしかするとスーパーコンピューターに移植されていれば
全ての条件を検討することも不可能ではないのかもしれないとはいえ、
一瞬一瞬の選択を全て膨大な計算のもとにやるのは困難でしょう。

そりゃあもう、ものスゴイ性能が求められそうです。

その代わり、人間はパターン化された予測を利用します。
過去の記憶に頼るんです。
「こういうときはこうなるだろう」と。

そしてその予測の結果の評価に感情を用いる。
Aの選択肢で予想される結果には、こんな感情が沸く。
Bの場合には、こんな感情。
Cの場合には、こんな感情…。

そういう作業をやって、身体反応としての感情をモニターして
どれが一番「シックリくるか」によって決定がなされる。

いわゆる『ソマティック・マーカー仮説』と呼ばれるものです。

これは実際に、脳の損傷によって感情を自覚できなくなった患者が
日常的で簡単な意志決定に支障をきたしたことから提唱された理論です。

これを考慮すると、
身体を持たずに意識・心だけをコンピューターに移植しても、
今までの意志決定で使っていた身体反応としての感情的な印象が使えないため
何かを選択して実行に移すというのは厳しいように想像されます。

人間の心は脳だけに依存していないんです。
身体がとても大切。

身体とのフィードバックの相互関係が
人の心の性質と密接に関わっているはずです。

身体に起きる感情を抜きにして、心だけを移植するというのは
あまり起きそうにない想定じゃないかと思います。

まぁ、映画を批判したいわけではありませんし、
映画の想定は現実的かどうかとは関係なく楽しめますから別に構わないんですが。

cozyharada at 23:28│Comments(0)TrackBack(0)clip!心理学 | NLP

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細は後日


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード