2014年08月27日

ネガティブなプラセボ

プラシーボ効果とかプラセボ効果とか呼ばれるものがあります。
日本語では「偽薬」なんて訳されるみたいです。

解熱剤だといって砂糖を飲ませても熱が下がる…などの話。

「イワシの頭も信心から」といった感じでしょう。

薬だと思って飲むと、実際には薬の効果がないはずのものでも
何もしない場合と比べて効果が表れる、ということです。

実際には薬だけでなく、何かしら『処置』を検討する場合には
プラセボ効果が認められます。

セラピーとか施術とかでも
「専門家に何かをしてもらった」という印象そのものに
改善効果が含まれる、と。

ですから、何か新しい手法の効果を調べる場合には、少なくとも
・何もしない場合
・専門家が意味のない(ランダムな)関わり方をする場合
・専門家が新しい手法を用いる場合
とで比較をするのが一般的です。
(さらに、よく知られた「これまでの手法」とも比べることも多いですが)

平たく言うと、「効果があると信じていれば、効果が表れる」ということになります。

心理学では、そういった暗黙の効果を色々と細分化して調べられていますが
とりあえずは「信じていると効果が出る」という範囲で話を進めます。


こちらの動画はスタンフォード大の準教授、アリア・クラムという人のスピーチで、
プラセボの効果について色々な例を挙げて紹介しています。(英語です)



例えば、手術後の鎮痛剤としてモルヒネを投与する場合、
「これからモルヒネを入れますよ」といって注射するのと
何も知らせずに自動的に点滴で投与するのとでは、
その鎮痛効果が全く違うといいます。

もちろん、教えて目の前で投与するほうが効果が高いわけです。
同じ量のモルヒネを使っているにもかかわらず。

つまり「プラセボは効果を期待されるような状況で起きる」といえます。

また、この動画ではありませんが、プラセボは
患者が「これはプラセボで本当の薬ではない」と知らされていても効果が出る
という研究結果もあります。

医者から渡されたという状況、薬というものの見た目、薬を飲むという行為…
そういった過去の全ての記憶に基づく暗黙の期待が、効果を生むのでしょう。

しかも面白いのは、その「効果」が多岐にわたることです。
痛み止めであれば、痛みが下がる。
気分がすぐれないのであれば、気分が楽になる。
期待されている効果が信じていることによって起きるようです。


こういう話は「信じたことが現実になる」といった趣旨の考えに響きやすいのか
「心の持ちようで健康になれる」という方向性と繋がりやすい印象を受けます。

そういった好みの人たちの中には
健康法についても色々と思い入れがある人も多いみたいで、
「こうすると体にいい」とか「これはよくない」とか
色々な話を耳にすることがあります。

どんな健康法でもその人の好みですから構わないと思いますし、
そこにも「効果がある」と信じることで得られるものもあるはずです。

何も、世の中の健康法がプラセボだといっているのではありません。
効果があると期待している人のほうが、より大きなメリットを得られる
という話です。

しかしながら、そうした健康法を進めていくと
「こういうのは体に良くない、だからこっちにしましょう」
という方向に展開していくケースが多く見受けられます。

例えば、味の素に代表される「うま味調味料」は
人工的で体に害があるという主張を見たことがあります。

「化学調味料」と書かれることもありますが、実際は発酵食品ですし
グルタミン酸はアミノ酸の一種です。
工場で大量生産すること以外に、人工的な要素はほとんどありません。

一方で、チャイニーズ・レストラン・シンドロームと呼ばれる症状は
中華料理に大量に含まれるグルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)が
原因だと言われていました。

多くの科学的な研究が、グルタミン酸ナトリウムとの関連を否定していますが
今でも実際に、化学調味料を含んだものを食べると気分が悪くなる
と言っている人たちはいます。

確かに僕も中華料理を食べると、異常に喉が渇きます。
なんだか口の中がいつまでもビリビリしたような感じもします。
正直なところ、中華の次の日は体調がすぐれないことも多い気がします。

だからといって、それが全て化学調味料のせいだとは思いません。
どちらかといえば、僕にとっては中華料理の油の多さがキツイ。
匂いのするような油を使った店だと、余計に体調が悪くなりますし。

もう少し化学的にいえば、グルタミン酸ナトリウムのナトリウムは
塩化ナトリウム(食塩)の塩分と同じものですから、
多量のグルタミン酸ナトリウムは塩分過剰を引き起こすとも考えられます。

味の素を使うと喉が渇く、といった場合には
単純に塩分を取り過ぎている可能性だってあるわけです。

「化学調味料を使っていません」というような料理店は
全体的にヘルシーな印象が出るように、薄味で油も控えめな傾向もあるでしょう。

そういう店と、味の素もバンバン使ってコッテリした味付けにしてある店とでは
全体として使っている調味料や油の量だって違うはずです。

その二つを比較して体調への影響を考えるとしたら
味の素だけが悪者だとは言いにくいはずです。

しかしながら、そうした体験を元に
「化学調味料は体に悪い」と信じるようになって、
「化学調味料の入ったものを食べると体調が悪くなる」
という暗黙の期待を持つようになったとしたら、
実際に体調が悪くなることだってありえると考えられます。

プラセボは必ずしもポジティブな効果だけを生むものではない。

「これは体に悪い」と信じていれば、
そういう期待通りの反応が生まれる可能性があります。

「これは体にいい」と信じているのと
「これは体に悪い」と信じているのとは、
一見すると対極のようで、両方を取りこんでしまいそうですが、
「悪い影響」という期待を生むリスクもあるような気がします。

「良い」と信じるのと、「悪い」と信じるのは
分けて捉えたほうが無難なのかもしれません。

まぁ、個人的には「なんでも大体は大丈夫」のスタンスなんですけど。

cozyharada at 23:52│Comments(0)TrackBack(0)clip!心理学 | NLP

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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