2014年09月09日

イスで手をふく人

先日、スターバックスでパソコンを使いながら
書き物をしていたときのことです。

たまたまパソコン使用率の高い日でした。

僕の右隣の人もパソコンを使っていたんです。
ホームページを作るような仕事のようでした。
30代後半ぐらいの男性でしょうか。

ときおり電話で話をしながら、パソコンで修正を加えていた模様です。

ですが、本題は仕事のほうではありません。

ドーナッツです。


その人はコーヒーを飲みながらパソコン作業をしていたわけですが、
そのコーヒーのお供に、ドーナッツを食べていたんです。

カタカタとパソコンに入力して、しばらくやったら
左手でドーナッツを取り、パクリとかぶりつく。

一口かじったら、ドーナッツをお皿の上に戻します。

そして次の瞬間、ドーナッツを触った左手をイスで拭きました。

一回ではありません。
ドーナッツを手にとって、一口食べてはお皿に戻し、その左手をイスで拭く。

完全にパターンになっていました。

もちろん、本人は無自覚でやっているんでしょう。
いわゆる「癖」」だと思われます。

「癖」といってしまうと、本人が自覚していることも多く
だからこそ「自分にはこんな癖がある」と感じるともいえますが、
この男性のように自覚していない癖も沢山あるものです。

いや、むしろ人の大部分の行動は「癖」であって
ほとんどの場合、自覚せずにその行動を繰り返しています。

座り方や歩き方、立ち方だって癖ですし、
言葉の選び方、発声の仕方、表情やしぐさだって癖の一部です。

ただ一般的には、平均から離れた振る舞いのパターンを
「癖」として認識することが多いだけのことでしょう。

ですから、その男性にとって、
「ドーナッツを食べては、左手をイスで拭く」
というのが無自覚で習慣になっていて、
いわば癖になっているということです。


おそらく子供のころから繰り返していたんでしょう。

家でオヤツを食べるとき、手についた粉や油をイスの布でふく。
テレビを見ながらご飯を食べているときにもそうだったかもしれません。

僕が高そうな可能性として想像しているのは、
 ポテトチップスなどのスナック菓子を食べながらファミコンをやっていて
 コントローラーから時折、手を離してはスナック菓子を口に運び、
 そのまますぐに絨毯やイスの布地で指についた粉を拭く
という生活習慣です。

夢中でテレビ画面と向き合って、合間でお菓子を口へ運ぶ。
ステージとステージの間とかに食べていたんじゃないでしょうか。

そう感じる根拠の1つとして、
その男性が電話で受け応えをしているときの表情と
パソコン画面に向き合っているときの表情が
大きく違っていたことが挙げられます。

電話は年相応、30代のビジネスマンぐらいの様子なのに対して
パソコン画面に向き合っているときは少年のような無邪気さでした。

その無邪気な様子、少年のような雰囲気こそが
その人のプログラムが作られた時期を物語ります。

子供の頃、好きだったファミコンの延長で
パソコンを使ったホームページ作成の仕事をしている。
(世代的には文字通り「ファミコン」だと思います)

状態依存的に引き出される沢山のプログラムの中に
「作業をしながらお菓子を食べる」というのがあるのでしょう。

その「画面と向き合う作業中にお菓子を食べる」プログラムは
 合間を見つけては左手でお菓子を手にとって口に運び、
 画面を見続けたままで手を体の左横・イスの座面に移動させ
 粉や油のついた指を拭きとる
という一連の流れを担当しているわけです。

その動作を見ないで行っていること、
動作のスピード、リズムが常に一定であることから、
それが無自覚にパターンとして繰り返されているのがうかがえます。


もしかすると、ドーナッツに派生したのは受験勉強をしていたときか
大学生の頃に宿題をやっていたときかもしれませんし、
インターネットに夢中になっていた頃かもしれません。

あるいは、ファミコンをやっていた頃からドーナッツだったかもしれません。

とにかく「画面に向かった作業をしながら、お菓子を食べる」という作業が
小学生のころに確立されて、それを流用しながら大人になり、
30代後半になった今も使われ続けている、という話です。

このようなプログラムの流用は意外と多いもので、
その振る舞いをしているときの表情や姿勢、テンションなどが
何歳ぐらいの雰囲気になっているかによって
いつ頃に作られたプログラムの流用なのかが想像できます。

そしてその人は、そのプログラムの存在にも無自覚ですし、
その動作が癖になっていることにも気づいていないはずです。

高級なフレンチで、パンを食べた後にイスで手を拭くかというと、
それは「画面に向き合う作業中」ではないので
やっていない可能性があります。

一人で黙々とやる作業の最中にお菓子を食べるときだけ
出てくるプログラムだとすると、
そのことについて指摘する人もなかなかいないでしょう。

場合によっては、そのプログラムが「手で食べる」行為全体に
一般化されている可能性もあります。
だとすると、食事中には常にそうしているかもしれません。

打ち合わせを兼ねた高級焼き肉店での食事会で
サンチュに巻いたカルビを食べてはイスで手を拭く…
なんてことがないのを祈るばかりです。
気にする人もいるかもしれませんから。


つくづく人は無自覚に行動しているものだと思います。

1つの振る舞いが他者へ与える影響を考える、というのは
面倒臭くてやっていられないのでしょう。


ちなみに僕は食事中にオシボリで手を拭くことが多いですが、
それは自覚してやっている作業です。

指先が濡れていたりヌルヌルしたりする触覚に敏感なんです。
僕の場合は単なるコダワリの強さから意図的にやっていることですね。

cozyharada at 23:17│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 心理学

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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