2014年09月13日

正しいやり方

カウンセリングだとか心理学だとかを勉強しようという人には
物事に対して真剣に取り組む傾向が高いように見受けられます。

内面のことや、自分の人生に起きていることを真剣に受け取るからこそ
そこに悩みや関心が生まれてくるのかもしれません。

きっと考えるのも好きなんでしょう。

ただし、ともすると「考え込む」になりやすいように見えます。
色々と視野を広げて可能性や繋がりを見ていく、というよりは
突き詰めて答えを探そうとするようにドップリ浸っていく感じ。

本を読み、あれこれと調べ、突き詰めていくことで
理論を知ろうとする場合も多いみたいです。

特に心理学は理論が多いんです。
しかも対立する理論が。

「〜はこう説明した。しかし私はこう考える」といった形で
新たな理論が展開される。

多くの人に当てはめる行動傾向を実験によって示そうとする学派なら
全員の集合知として心を理解しようという方向で取り組むようですが、
臨床心理寄りになってくると、「こういう手法が良い」と示そうとしますから
自動的にその手法が前提としている理論の正しさも主張されます。

心を理解しようという理論が沢山あるのですから、
心理学を勉強しようとすると、その沢山の理論を覚えることにもなります。
過去の見解をまず把握しておきましょう、と。

この勉強の仕方に「正解・不正解」が伴われます。

誰かのいった説についての知識となれば、
記憶している情報が元の情報と一致しているかどうか
という明確な「正解」の基準が生まれます。

ワトソンとスキナーを混同してしまったら、
「どれだけ覚えているか」を問われた時には「不正解」なんです。
それは「正しい」情報ではありません。

対立する理論を知識として覚えようとしたとき
そこにはどうしたって「正しく」記憶しているかどうか
という着眼点が養われてしまうといえます。

さらに、数多い理論化された手法の中から、1つが選ばれます。

大学院で勉強する場合には、教授の専門に取り組むことになります。
本やセミナーで勉強しようという場合には、好みのものに集中します。

いずれにせよ、その理論に基づいて取り組む以上、
特定の方法を選んだ時点で「正しい」やり方が存在することになります。

その手法としての「正しさ」があるんです。

○○療法をやるからには、正しい○○療法のやり方に従う必要が出てきます。
そのやり方と違うことをしてしまったら、正しくないんです。

つまり、正解を追い求めやすい人たちが集まって
「正しい」知識を覚えるように勉強して、
特定の理論に基づいた「正しい」方法のトレーニングを受ける、と。

「正しい」かどうかの視点が強くなりやすいと思われます。


しかしながら皮肉なことに、
そもそも人の悩みの多くは「正しさ」と結びついています。

「こうであるべき(こうであるのが正しい)のに、できていない」
といった形で、基準に合わないことを「問題」と捉えます。

「正しさ」への思いが強い人ほど葛藤が多いわけです。

そして社会生活をしていれば、ルールという正しさがあります。
他者から求められることや、しがらみの中で生きているんです。

正しくなければいけない環境の中で生活をして、
正しくない自分を自分自身で否定する。
「正しい」かどうかで捉えているからです。

ただでさえ日々の生活で「正しさ」に縛られて生きていて
「正しさ」を求めるがあまり悩みや苦しみ抱えている。
その「正しさ」と現状とのギャップが大きいほど悩み・苦しみも大きい。

そうした「正しさ」を求めるあまり苦しんでいる人たちが
クライアントとなってカウンセラーの元を訪れます。

そこで、流派の「正しい」やり方に則ったカウンセラーが
「正しく」問題解決の方法に取り組もうとします。

理論に沿って、クライアントの問題を「正しく」説明して、
問題を解決するための「正しい」方法を使う。
当然、クライアントも「正しい」やり方を「正しく」実行しようとする。

お互いに「正しさ」の枠組みを強化している状況です。

「正しさ」に縛られるあまり苦しんでいるクライアントを
新たな「正しさ」の枠組みに当てはめようとしているわけです。

それは楽になりにくいはずです。

カウンセラー側が「正しさ」の枠組みから離れ
「ゆるさ」をもって関われるかどうか。

この違いはとても大きいと思います。

cozyharada at 23:23│Comments(0)TrackBack(0)clip!心理学 | NLP

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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