2014年10月11日

プロレス

そういえば、もう何年も前の話になりますが
当時、いつも名古屋でのセミナーでアシスタントに入ってくれていた人から

 「原田さんのセミナーは、ストロング・スタイルのプロレスみたいですね」

と言われたことがあります。

僕はあまりプロレスがに詳しくありませんが、どうやら
派手な大技で見た目のインパクトが高いタイプのもののことではなく、
打撃系や関節技で勝負が決するようなものを言っていたようです。

それが他の格闘技ではなく、プロレスだというその特徴は
 相手の攻撃を全て受け止める
という部分なんだとか。

多くの格闘技では、防御も重要な技術のはずです。
相手からの攻撃を避けつつ、自分が相手を攻撃する。

そのときに相手の攻撃に合わせてカウンターを放つタイプもいれば
スピード勝負でコツコツとポイントを重ねていくタイプや、
自分からガンガン攻撃をしかけていくタイプ、
一発逆転の派手な大技で決めるタイプなど
…様々な戦い方のスタイルがあります。

それでも原則として、
 相手から攻撃されずに
 自分が相手を攻撃する
というのが、
勝負を有利に進める上で、いたって自然な発想なんでしょう。

一方、プロレスでは
 わざと相手の攻撃を受けて、それを受け止め
 「そんな攻撃では倒されないぞ」というアピールをしつつ
 自分から相手への攻撃が上回ることで相手を倒す
といった流れが見受けられます。

つまり、相手からの攻撃を防御して有利に勝負を展開して
最終的な勝つことに「強さ」の意味を見出すような多くの格闘技とは違い、
プロレスでは、相手の攻撃を受け止めてなお相手を倒すという
防御なんて必要ないと言わんばかりの「強さ」が重視されている、と。


コミュニケーションのセミナーに攻撃や防御があるかどうかは置いておくとして
その人が表現したかったのは、どうもその「受け止める」の部分だったそうです。

確かに、トレーナーや講師の立場からすると
受講生からの質問や意見は、挑戦とまでいわなくとも
1つの「試されどころ」ではあるのかもしれません。

まぁ、僕個人としては知らないことを「知らない」というのに何も抵抗はなく
「答えられなかったら…」といった緊張を感じることもありません。

しかしながら世の中には確かに、質問されたとき
「講師としての知識を試されている」と捉えて頑張る人もいますし
「質問は挑戦だからサラリと受け流す」というスタンスの人もいます。

実際、僕が受けたトレーナーとしてのトレーニングや
人前で話す人向けの講座内容においては、講師の人から
 「質問はまともに受け答えてはいけない」とか、
 「自由に質問や発言をさせるのではなく、まとめて質問の時間を作れ」とか、
 「質問は紙に書いてもらって、その中から選んで答えるようにしろ」とか、
 「『良い質問ですね。他にはありませんか?』などと受け流せ」とか、
 「『なるほど、あなたはどう思いますか?』と逆に意見を聞き返せ」…
そんな感じのことを教わった記憶もあります。

中には、質問が出なくするための方法なんかもありました。

講座の時間や流れをコントロールしたい人は
質問や発言で時間が読めなくなることを嫌うようですし、
1つの質問がキッカケで全体の雰囲気が変わるのが嫌な人もいるようです。

ですから、受講生からの発言や質問、あるいはもっと広い意味で
トレーナー・講師側と受講生側との交流の量には
かなりの個人差が生まれているのが現状なのでしょう。

言語的・非言語的なメッセージのいずれにしても
受講生側から発せられるものをどれだけ「受け止める」か。

受け流したり、抑え込んで自分のペースに持っていったり、
自分からの発信に集中して進めたりして、受け止めない方法もあるわけです。

というよりも、そのアシスタントをしてくれていた人からすると
受け止めないトレーナーや講師が多いように見えたようです。

色々なトレーナーと関わっていたり、様々なセミナーに出たりしていましたから
多くの講師やトレーナーを見ていて、印象の違いを感じていたんだと思われます。

で、多くの講師・トレーナーは、多くの格闘技が相手の攻撃をかわしながら
自分が有利になるように試合を進めていくのと同様に、
受講生からのメッセージを受け流したり、かわしたりする。

それがその人の分析だったんです。


でも僕のセミナーは、プロレスのように全てを受け止める、と。

受講生からのメッセージを質問や発言、非言語の反応など
全部を一度受け止めて、それに対応する。

受講生側からのエネルギーを全て受け止めているように見えたそうです。

それがちょうど、プロレスラーが相手のチョップやラリアットをわざと受けて
倒れずに堪えている様子と似ている、という話でした。

当時はあまり気にしていませんでしたが
なるほど確かにそういう感じはあるかもしれません。

それで何かをしたい気持ちが強くあるわけではないんですが、
そのほうが相互交流として得られる体験学習の量が多いような気はしています。

まぁ、自由にやってもらいたいだけだともいえそうですけど。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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