2014年10月21日

セミナーのスタイル

久しぶりの投稿となってしまいました。
色々と重なっていたのとセミナーのタイミングが合わさった感じでしょうか。

コミュニケーションや個人の内面についてのセミナーでは
当然ですが技術の紹介やトレーニング、あるいは効果的な考え方の提案など
様々な内容が用意されます。

中にはプロフェッショナルとして毎回同じように講座をできる人もいますし、
受講生を聴衆として、ショーやパフォーマンスを示すような人もいます。

講座を受けて、その人が何を持って帰り、どういう風に活かすかは
当然ですが、その受講生個人によって異なるものです。

その中で、どこに講師としての成果基準を見るかというのが
かなり大きく異なる部分だといえます。

同時にそれは、講師個人の思い入れの強いところでもあるので
ここがズレている講師同士が組織を作ったりすると揉めやすい。
それほど個人差の大きな主観的な部分なんです。


ある人は、受講生が何を持って帰り、何を活かすかは
最終的にはその人次第だと割り切って、
常に自分のできる最大限のことを繰り返します。

どんな受講生が集まろうと、「これが自分のできるベスト」というものは変わらず
それを確実にこなすことが重要だという考えなんでしょう。

場合によっては、自分が表現したいことを話すとか
これが役に立つはずだと自分が信じていることを伝えるとか、
どういう受講者であるかにはかかわらず、自分の強い信念に基づいて
話をするような人もいます。

こういうスタンスだと、自分のスタイルやメッセージに合わない人は
最初から来なければいい、と考えられるのかもしれません。
少なくとも、合う人だけが集まるようになっていきますし、
メッセージの共感性が高ければ、ファンも増えていくはずです。

おそらく、こうした表現ができると聴衆が何万人になろうと大丈夫でしょう。
舞台演劇とかコンサートとかに近い印象も受けます。

とにかく自分は一番大事なことを伝えるに徹するスタンス。
受講生に合わせるというよりも、自分に合う受講生が集まるという感じ。


似た感じでありながら、もう少し受講生のメリットを考える人もいます。

自分が最も重要だと思うところを、
「できるだけ多くの人に伝わりやすい形」で伝える。
少しでも意図した通りの内容が伝わるようにと工夫するスタンスです。

ですから内容はブラッシュアップされて計算し尽くされ、
時間配分にしても、何を話すかにしても、アイスブレークにしても、実習にしても
きちんと設計されたとおりに進んでいきます。

個人差を見るというよりは、平均的な受講者を想定しているというか
あらゆる受講者の共通点を想定しているというか、
少しでも多くの人にとって得られるものが増えるように工夫を凝らした内容を
正確に、予定通りに繰り返す感じ。

個別の対応をするというよりは、どんな人でも大丈夫なように工夫するんです。

こだわって作り込まれている印象があって、
プロフェッショナルな講師の雰囲気があるかもしれません。

おそらく研修講師とかに多いでしょう。

複数回にわたる講座になったりすると宿題も出されます。
宿題を通じて身につけてもらおう、という発想があるようです。


ここにもう少し個人差に合わせようというスタンスが加わると
講座中で内容にアレンジが入ってきます。

話の内容を予定と変えたり、受講生の様子を見ながら説明の例を変えたり、
実習の時間配分を変えたり…といった具合です。

さらにその場の雰囲気に合わせる度合いが強まると、
実習の内容そのものにも柔軟性が出てきます。
事前に余裕を持って実習の候補を用意しておき、
様子を見ながら配布する資料を選ぶ人もいます。

このあたりの工夫は、「伝わりやすさ」を想定したものといえるでしょう。
それぞれの人の様子を観察しながら、どうしたら伝わるかを考えて
その場で対応していくという方針です。

もっと柔軟な講師の場合には、大まかなテーマだけ設定したり
概要的な資料を用意しておいて、詳細な説明や実習の内容は
その場で考えるといったこともあります。


以上のような「講師基準での最善」と「受講生基準での最善」の違いは、
準備や予定をしっかり立てて、最高のパフォーマンスを繰り返せるか
その場の受講生に合わせて柔軟に、毎回その瞬間のベストを出せるか
といった方向性の差に表れる、という話です。

もちろん良し悪しではなく、好みの問題、思い入れの違いだといえます。

しかしながら、この視点で区別をしたとしても、どちらにせよ
そこにあるのは「伝え方」の違いなんです。
この着眼点は「どうしたら伝わるか」をベースにしています。

誰が相手でも伝わるように自分の最善を尽くすか、
一人一人の違いに合わせられるように最善を尽くすか、と。

内容が伝わるところまでが視野の範囲なんです。
この場合、「分かりやすいか」が評価基準になるかもしれません。


一方で、「受講生にどのように役立つか」という視点もあります。

伝わったとしても、役に立たない場合もある。
分かったとしても、それが大きな効果を発揮しない場合もある。

だからこそ、どうしたら役に立つかもセミナーや講座のポイントとなります。

学校の授業や会社の研修などの中には、
「伝わる」ところまでが趣旨であって、その先どうするかについては
個人の意志によるものとされるケースも見受けられます。

伝わった、理解した、納得した…であれば、
その内容をどうするかという行動の部分は受講生次第だ、と。

それに対して、講師の中には
少しでも役に立ててもらうために工夫をする人がいます。

その1つの方法が行動してもらうこと。
分かった内容を実践する、ということです。

技術であれば日々の生活の中で使ってみる。
その技術が上達するように練習してもらう。
心構えや考え方であれば常日頃から心がけてもらう。
新しい考え方で日々を過ごしてもらって、体験の違いを記録してもらう。
…宿題の形で、日常的な実践を強調するわけです。

また、長期的に心がけたくなるような工夫をする場合もあります。
大きな気づきを促すんです。

ショックに近いほどの気づきがあると、それは強く印象に残ります。
そのことについて宿題を出さなくても、常日頃から意識に上がる。
その人の人生の中で大きな位置を占めるようになります。

この場合、新しい考え方を「分かりやすく」伝えた場合よりも
遥かに大きなインパクトを持ちます。
日々の実践を強調する必要さえないでしょう。

技術的な重要性に気づけば、毎日コツコツと心がけて
自ら進んで実践をすることになります。

この「気づき」は衝撃的な発見を伴うわけですから
分かりやすい説明からでは、むしろ得られにくいはずです。

もし分かりやすい説明で衝撃的なほどの気づきが得られたとしたら
それは事前に大きな動機づけがなされているケースです。
そもそも切迫した想いから答えを求めていれば、分かりやすい説明を聞いても
「なるほど!!そういうことか!」と大きなインパクトを伴って腑に落ちます。

それほど切迫していない状態だとしたら、気づきをもたらすには
体験的な実習で、受講者が自ら大事なものを発見する必要があります。

「自分は今まで全然やっていなかった…」
「こんな種類の体験があるのか!」
「当たり前だと思っていたけれど、全くの勘違いだった」
などと驚きに近い気づきがあれば、効果は長続きします。

伝わるかどうかとは関係なく、本人にとっての重要な発見が
講座の中で起きるように工夫するという方向性もあるということです。

さらには、そもそも講座中に技術のトレーニングを効率的に行って
日々の実践などは必要ないぐらいに、その場で身につくように工夫する
というスタンスもあります。

とにかく体験学習を通じて、その場での体験だけでも
行動に自然と変化が起きるようにサポートする、と。

当然、トレーニングの効果を高くできるかどうかが腕の見せどころでしょう。

特に、特定の手法そのものをその場でできるようにするのか、
それとも、より本質的な技能が身につくようにするのかは
講師のスタンスが分かれるところのようです。

その場でできるようになった特定の手法が
実際の場面でどれだけの期間、長く使われ続けるかなると、
技術が個別なだけに忘れ去られてしまうことも増えやすいものです。

例えばNLPの資格取得コースを修了したとして、
その講座中に習った「メタモデル」の中のナントカという質問のパターンを
どれぐらいの人が覚えているかとなると決して多くはないのが実情です。

そこを覚えてもらえるように工夫をするのも1つ。
逆に、そうした個別の手法のトレーニングを通じて
コミュニケーションの土台となる観察力や共感力、
あるいは個人としての心の余裕や安定感を高めるように工夫するのも1つ。

手法が長く心に残るようにするのか、
手法そのものは忘れてもいいからコミュニケーションの土台を育むのか、
といった方向性の違いもあるようです。

もっといえば、技術や能力に限らず、内面的課題へのアプローチも
その人にとって長期的に役立つことを目指すスタンスに含まれます。

表面的には技術や考え方の説明をしていたり、
手法のトレーニングをしたりしているようでありながら、
体験的には個人の内面的課題が解消されるように工夫する。

実習での体験内容をコントロールしたり、
直接その人に合わせた言葉をかけたり、
その場の安心感や他者との交流から繋がりの意識を高めたり、
心の傷や不満が受講生同士の交流でケアされるように関係性を調整したり…。

そうした工夫によって、受講者の内面の苦しみに対してもアプローチして
『講座に参加した効果』を講座内容以外のところで長期的に起こすわけです。

以上のように、セミナーに参加した効果が「残る」ようにするというのも
講師としての方針が強く表れる部分だということです。


講師やトレーナーとして、セミナーをどのように運営するかは
人それぞれのスタンスによって異なります。

その中でも…、

「分かりやすさ」を高めるためには
 ・多くの人に分かりやすくなるよう常に自分の最善を貫く
 ・受講生の個人差に合わせて、その瞬間へ柔軟に最善の対応をする
という両極があって、

さらに別の方向性に、「セミナーが役に立つ」基準として
 ・その講座中にどれだけ納得してもらえるか
 ・講座以外の時間にまで、どれだけ効果を及ぼせるか
という両極がある。

この2つの着眼点でセミナーや講師を見てみると
特徴が掴みやすいでしょうし、合う/合わないの判断もしやすいと思います。

講師をする側にとっても、自分のやりやすいスタンスや
好みのスタンスを知っておくのは役に立つのではないでしょうか。

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細は後日


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード