2014年12月25日

トータルリコール

少し前にリメイクされた映画『トータルリコール』をDVDで見ました。

アーノルド・シュワルツネッガー主演の物とは少し違うストーリーですが
随所に前作を彷彿とさせるシーンがあって
前作のファンにも楽しめる作りになっていると感じました。

前作のほうがもう25年近く前の作品ですから、
僕はストーリーをしっかりと理解することなく
単なるアクション映画として見ていたような気がします。

改めてリメイク版を見てみて、『トータルリコール』というタイトルの持つ意味や
主人公に起きている体験の恐ろしさなどが強く感じられました。

「自分とは何か?」を考えさせられる話だと思います。


『トータルリコール』、日本語にすれば「全部思い出すこと」です。

主人公は記憶を書きかえられたスパイ。
名前も成育歴も全ての記憶を書きかえられているんです。
自分は別人だと思い込んでいる。

あるキッカケで自分の素姓が判明し始めますが、
それでも自分では自分の記憶が偽物だとは信じていません。

結婚生活だと思っていた記憶さえも作り物で、
奥さんだと思っていた相手はスパイとしての監視役にすぎない。
しかもその人から命を狙われる。
(この辺は前作と共通するストーリー)

そして過去の別人だった頃の自分が残した手掛かりを辿って
導かれるようにストーリーは展開していきます。


で、前作に描かれていなかった、より印象的な部分は
 主人公の元へ、そこへいないはずの親友がやってきて
 「お前が今体験しているのは幻想だ」
という場面です。

確かに、主人公は「記憶を売ってくれる」店に立ち寄っているんです。
そこでスパイのストーリーを(仮想?)体験しようとする。

客観的には作られた情報ですから仮想体験ですが
脳に直接記憶として埋め込むため、主観的には実体験に感じられるはず。
そういう装置を体験しに行っています。

物語のうえでは、その装置を使った体験のプロセスを完全に始める前に
アクシデントがあって中断されているように描かれています。

しかし、
 もしかすると、その中断のあたりから実は仮想体験が始まっていて
 その延長の今、自分は仮想体験の中にいるのかもしれない
という可能性は否定できません。

実際、そのいないはずの親友は、
 「仮想体験から呼び戻すためにやってきた」
ということを主張し、色々な角度でそれが現実ではないと示そうとします。

そういわれると主人公には「今の体験が現実だ」と信じる根拠がないんです。

一体、現実の体験とは何なのか?
自分についても世界についても信じられなくなる様子が描かれています。


この映画の中においては、その作られた記憶を消し去れば
どうやら過去の記憶を「全部思い出す(トータルリコール)」できるようです。

しかしそれは、その作られた記憶としての自分が消滅することを意味します。

一般的に「思い出す」といえば、今の『自分』の記憶に
忘れていた記憶が追加されることに当たるはずです。

ですが「トータルリコール」ということは、『自分』という記憶ごと思い出し
それと同時に、もう1つの自分の概念は消え去ってしまうわけです。
作られた今の自分に、過去の元の自分が追加されるわけではないんです。

まぁ、あまりにも違う『自分像』が記憶として2つ混在した場合、
それをどのように統合できるのかは想像もつきませんが、
おそらくそこにも自分の中で対立が起きるのではないでしょうか。
(いわゆる多重人格のような)

過去の自分を取り戻せば、今の自分は消え去る。
しかし、今の自分は作り物だという証拠ばかりが周りには溢れている。

そこで主人公はどういう決断を取るのか?

このあたりのストーリー展開がまた考えさせられる部分でした。


自我や記憶、意識といったものについて、興味深い形で描かれた映画だと思います。



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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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